資格を取って独立し、成功した例と失敗した例

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独立開業をする方法の中で、比較的リスクが少なく有効な手段の一つが、資格を取得して独立開業するという方法です。

しかし、今は、どんなに難しい資格を取って独立をしたからといって、必ずしも誰もが成功できる時代ではありません。

ここでは、資格を取って独立した事例の中から成功した例と失敗した例を1つづつ紹介します。

社会保険労務士として独立して成功した例

社会保険労務士として独立して成功した例

筆者の友人に、定年間近に社会保険労務士として独立した者がいます。

彼は、以前、私も務めていた会社の人事部に在籍。50代前半で役職は次長でした。

仕事もそつなくこなし、上司や部下にも慕われていた彼ですが、ある頃から社会保険労務士の受験勉強をはじめます。

昼休みになると人の目を気にせず参考書を開いて勉強をしていましたが、社会保険労務士の受験勉強は、企業の人事や労務管理、健康保険や厚生年金保険などに関する手続、書類作成、コンサルティングなど人事部や総務部の仕事に関することなので、周りはスキルアップのための学習だと思い、まさか独立を考えて勉強しているとは思っていませんでした。

ところが1年もしないうちに突然会社を辞めます。

試験に合格して独立か、という噂も立ちましたが、そうではなく、受験勉強に専念するために、職安を通して社会保険労務士事務所に転職するというものでした。

社労士として独立するという決意表明です。

50代半ばに、後には一歩も引けない状態に自分を追い込んでの挑戦は、無謀とも思えましたが、手取り15万円という安月給の中、2回目のチャレンジで社労士試験に合格。

社会保険労務士名簿に登録するには、実務経験が2年以上必要ということで、その後引き続き1年ほどその事務所に勤務した後、独立開業を果たしました。

クライアントを少し分けてもらっての独立でしたが、当然それだけでは食べていけません。

自宅の一室をオフィスにし、毎日、電話帳を見ながら数十本の営業の電話をしたり、会社員時代にお世話になった先輩や後輩に挨拶をして回りながら名刺を配ったと言います。

そうした地道な活動をしているうちに、少しづつ仕事を受注できるように。

仕事が軌道に乗るまでは異業種交流会(朝会)などにも積極的に参加していました。

独立してすぐに筆者にホームページの作成依頼がありましたが、ホームページの納品後は、毎日かかさず、関連する時事問題についてブログ記事を書いて更新していました。

しばらくするとホームページを見た人からも問い合わせの電話がかかるように。

努力が実って、独立して3年目の昨年の年収は約450万円。

経費の中で最もかかるガソリン代を差し引いてもどうにか食っていけるようになりました。

今年は、新型コロナウイルスの影響で、助成金などの申請手続きの相談が殺到しているそうで、これをキッカケに今後も付き合ってくれるところもあるようです。

成功した秘訣は?

成功した秘訣を聞くと、

  1. 計画的に物事を進めたこと
  2. とにかく考える前に行動したこと(実行力)
  3. 会社員時代の肩書や年齢を忘れ、1年生になったつもりで営業に励んだこと
  4. 自宅を事務所にするなどして経費を最小限に抑えたこと
  5. Web戦略としてホームページを活用したこと

などをあげていました。

大学時代は、ホノルルのフルマラソンに参加したこともあると言っていましたので、ガッツと体力はあるのでしょう。

癖のある経営者がいたり、納期に追われたりと大変なこともあるようですが、会社員の時と比べて今はストレスも少なくなり、調整しながら自由にやれて充実していると言っていました。

柔道整復師として独立して失敗した例

柔道整復師として独立して失敗した例

一方で、独立に失敗した人もいます。

筆者の知人に、柔道整復師として独立した者がいます。いわゆる整骨院の開業です。

20代に名古屋の専門学校に3年間通い資格を取得して卒業。

それから5年ほど先輩の開業した整骨院に勤務した後、ここ長崎に戻ってきて、わずかの自己資金と親と国からの借金で独立開業です。

マンションの1回にあるテナントを借りて改装して夫婦(奥様は受付)二人で営業。

腕がいい上にお年寄りの送迎サービスなどもウケ、大盛況です。

お客様を長時間待たせることも多くなってきたので、2年ほどで従業員を新しく3人雇い、高額な治療器なども購入。店舗も費用をかけてさらに改装し、倍の広さにしました。

ところが、ちょっと調子にのったのか、金遣いが荒くなり、挙句の果て、女性問題を起こして奥さんが家から出ていってしまいます。

しばらくは姉に受付をお願いしていましたが、彼が2回目の結婚をした後は二人目の奥さんが受付をするようになりました。

しかし、二人目の奥さんは、愛嬌のあった元奥さんとは違い、態度が横柄で客や従業員からの評判もよくありません。

周りは奥さんを店に立たせないようにアドバイスし、本人もよくわかってはいたものの言いだせずにズルズルと・・・。

結果、次第に客が減り、従業員も二人辞めてしまいました。

その頃、近場に同業者の整骨院がオープンします。

みるみるうちに客がそちらに流れていき、最後の従業員にも辞めてもらうことになりました。

もともとの借金の返済に加え、お金をかけて改装した倍の広さのテナントの家賃、購入した医療機器のローン返済で、十分にあったたはずの貯蓄もみるみるうちに減っていきます。

しかも肝心の客も戻ってきません。

周囲の指摘もあり、奥さんに受付から離れてもらいましたが、時すでに遅し。

お店の前に休診のお知らせが貼りだされるようになりました。

休診のお知らせ

結局、彼は一時は店を畳んで就職活動することを決断しましたが、条件付きで親の援助を受け、店と借りている駐車場を半分して2か月後にお店を再開しました。

受付はしばらく姉にやってもらい、奥さんはお店が軌道に乗るまで働きに出ることが条件です。

失敗の原因は?

失敗の原因は何かと問うと、初期投資が大きかったこともありますが、最も大きな要因は要所要所で正しいと思われる判断を、情に流されて実行できなかったことだと言います。

調子に乗って遊んでしまったことよりも、その後のリカバリーが問題だったと。

二人目の奥さんが受付向きではないことも分かってましたし、客の評判もSNSなどで目や耳にしていましたが、情に流され、目を瞑っていたのが失敗の最大の要因だったと反省していました。

  1. 過大な初期投資
  2. 情に流されてしまった
  3. 実行力の不足

事業をしていると様々な問題が起こります。

これに対して、情に流されずに正しいと判断したことを先手先手で実行に移す決断力が必要で、それも経営能力の一つだということです。

一時期は、少し経営状態がよくなったと聞いていましたが、最近は、新型コロナウイルスの影響で苦戦しているといいます。

奥さんも他に働きに出ていますし、店舗も最小限必要なもので身軽にしていますので何とか乗り越えてほしいと思います。

まとめ

資格を取って独立した例の中から、筆者の身近にある成功例と失敗例を紹介してきました。

今はどんな資格であろうと資格があれば食えるという時代ではありません。

成功している例は他にも知っていますが、成功した人に共通して言えることは、みなさん資格に甘んじることなく資格を取った後にさらに努力されています。

スキルはあって当たり前。営業戦略なんてものも1時間もあれば考えられます。

後は行動するのみ。成功した人はみんなそれがよくわかっていてよく動いています。

特に独立開業した当初は行動力が求められます。

さらに、成功しつづけることは大変。

いつかは必ず襲ってくる危機に正しい判断で乗り越えなければなりません。

独立して成功するということは、ずっと成功しつづけるということです。