遺伝子検査というものをご存じでしょうか?
遺伝子検査という言葉は聞いたことがあっても、実際どういう検査をして何が分かるのか、結果が分かって何ができるのか、ご存じの方はそう多くないと思います。
以来、何かにつけて自分の遺伝子の傾向に合わせた健康対策をとってきました。
ここでは、実際に遺伝子検査を受けたことのある筆者が、
- 遺伝子検査とは何か?
- 遺伝子検査の仕方
- 遺伝子検査でわかること
- 遺伝子検査のメリット・デメリット
など、遺伝子検査のレビューをしてみたいと思います。
遺伝子検査とは?
遺伝子検査とは何か?
簡単に言えば、DNAの解析を行い、生まれ持った疾患発症リスクや体質などの遺伝的傾向を知る検査です。統計や発表された論文に基づいてリスクの度合いを知らせてくれます。
あなたは、○○に関する病気を発症するリスクが高いです、太りやすい体質です、といった検査結果で、あくまでも個人の病気のリスクや体質などの遺伝的傾向を知る検査です。
現在の病気の診断や未来の病気を特定できるものではありません。
では、何故、遺伝子検査に需要があるのか。
それは、自分の病気発症のリスクや体質などの遺伝的傾向を知ることで、効率的で効果的な対策が事前に打てるためです。
例えば、アンジェリーナ・ジョリーさんが、将来の乳がん予防のために乳房を切除したことは有名です。動機は遺伝子検査の結果、癌になる確率が高いという結果が出たからでした。
病気の発症は、遺伝的要素と生活習慣などの環境要因が影響すると考えられていますので、例えば、特定の病気になりやすい遺伝的傾向を知ることで、それに関する生活習慣を改善することによって発症するリスクを軽減することができます。
遺伝子検査のレビュー!病気リスクを知り健康対策に役立てる
私が遺伝子検査を受けたのは7年前の2013年ですが、今でも検査の仕方や検査でわかることなどは全く変わってないようです(商品によって検査項目は異なります)。
ですので、以下、実際に経験した遺伝子検査の仕方、遺伝子検査でわかること、遺伝子検査のメリット・デメリットのレビューは今でも参考になると思います。
遺伝子検査の仕方
遺伝子検査は自宅でできます。
私は、ジーンライフという遺伝子検査会社で遺伝子検査を実施しました。
インターネットから検査キットを申し込み、送付されてきた検査キットで唾液を採取して返送するだけで、遺伝子検査を行ってもらえます。
検査の結果は、インターネットで閲覧することができるようになっています。
当時は検査項目が37項目で、価格は3.5万円ほど。夫婦で検査したので約7万円でした。
唾液や口腔内の粘膜組織を採取して返送
ネットで申し込みを行うと数日で検査キットが送られてきます。
検査キットには、説明書のほか同意書など署名や捺印を行い検査キットと一緒に返送しなければならない書類も同封されていますので必ず目を通します。
この間、ジーンライフのマイページ登録と検査ID登録を済ませます。
遺伝子検査の方法は、綿棒とか使わず、唾液をそのまま検査キットに出すだけです。
採取時は喫煙や飲酒、飲食はNGです。
唾液を採取して同意書にサインしたら、速やかに返信用封筒で返送します。
遺伝子検査の結果はマイページで閲覧可能
検査キットを返送すると最長1ヶ月ほどで検査結果のお知らせのメールが届きます。
検査結果は、ジーンライフのURLにアクセスし、自分で予め決めたIDとパスワードを入力してマイページにログインすることで閲覧が可能となります。
遺伝子検査の検査でわかること
ジーンライフのホームページから、IDとパスワードを入力してマイページに入室すると検査結果が閲覧できるようになっています。
7年経った今でも閲覧が可能です。
検査結果の内容
「検査結果を見る」をクリックすると、下のような画面が表示され、大きく、「遺伝子的特徴」と「DNA合致度」という項目が表示されます。
現在は、より多くの検査ができるようになっているため、表示される内容も違うと思います。
遺伝子的特徴
遺伝子的特徴は、それぞれの検査項目において、自分の遺伝子の特徴が解説されています。
例えば、一番左の「髪の太さ」という箇所をクリックすると自分の遺伝子型とその特徴(例えば髪の毛が太くなる傾向があるなど)が解説されています。
病気に関する項目では、鼻炎やアレルギー、関節炎、腰痛、痛風、糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞などの発症リスクを確認することができます。
結果の表示は「あなたは将来、○○という病気になります」というように断定的な表現ではなく、例えば、「リウマチの発症リスクは3.3倍です」といった結果の出し方です。
3.3倍という数字は、その病気を発症するリスクをオッズ比で示したものです。
勿論、数字が高いからといって必ず病気を発症するものではありませんし、数字が低いからといって発症しないとも限りません。
また、項目によっては、ビタミンAやビタミンEを摂ると発症リスクを抑えることが期待できます、といったように予防と対策などがアドバイスがされているものもあります。
DNA合致度
一方、DNA合致度とは、遺伝子の特徴と今のライフスタイルで総合判定するというものです。
病気の発症リスクは、遺伝的要素だけでなく生活習慣などの後天的な環境要因が影響すると考えられているところから、今のライフスタイルをアンケート方式で回答することで、総合的な評価を数値で表示してくれます。
遺伝子的特徴では60点でも規則正しい生活をしていれば90点になる、遺伝子レベルでは90点でも不摂生な生活をしていると60点になる、といった具合です。
質問に答えた結果、総合判定結果は92点となりました。あくまでも参考値です。
検査結果の信ぴょう性
検査結果の信ぴょう性については個人的には高いと感じています。
一つだけ究極の個人情報を公開すると、「アルコール」という項目では、私の遺伝子型は、「*2*2型」というものでした(図の黄色部分)。
ちなみに、「*1*1型」はアセトアルデヒドの分解が普通にできる人(お酒が飲める人)で58%の人がこれに該当します。
そして、「*1*2型」は、アセトアルデヒドの分解能力はもともと弱いものの練習すればある程度お酒を飲めるようになりますが、私のような「*2*2型」は練習しても気分が悪くなるだけで飲めるようにならないとか。
その他の項目を確認しても概ね心当たりがあると感じます。
遺伝子検査のメリット・デメリット
遺伝子検査のメリット
この遺伝子検査を通して私自身の病気発症リスクの高い項目が分かりました。
私の場合、最も注意すべきものの一つが加齢黄斑変性の発症リスクです。
加齢黄斑変性とは、加齢により網膜の中心部である黄斑に障害が生じ、見ようとするところが見えにくくなる病気です。欧米では成人の失明原因の第1位とか。
特に私の場合は、パソコンを扱う時間が長いので気を付けなければなりません。
リスクの高い項目における「予防と対策」と「シーンライフ提案」を参考に、リスクを軽減する生活習慣を常に念頭に置いており、効果的とされるサプリメントを摂取したりしています。
リスクを知って今後のライフスタイル(予防)に役立てたい、できれば健康的な老後生活を送りたい、健康寿命を延ばしたい、というのが動機だったので、遺伝子の情報は、健康管理においては何かにつけて参考にしています。
遺伝子検査のデメリット
個人情報を検査会社に渡してしまうという点はデメリットになるかもしれません。
もし、個人情報が営利目的で使われると、例えば保険会社などに渡ってしまうと、入りたい保険に入れなくなるといったことになるかもしれません。
会社の雇用面で使われると差別される可能性もあります。
個人情報が漏れてしまうリスクはゼロにはできませんが、遺伝子検査を受ける場合は信頼できる会社を選ぶことが重要です。
遺伝子検査のレビューまとめ
遺伝子検査というと何となく怖いイメージがありますが、内容は、統計や論文から計算されたリスク度を表示したもので怖いものではありません。
高額ですが、病気などを発症するリスクを知って効果的な健康対策に役立てることができればトータル的には随分安く済むかもしれません。
それに何といっても効果的な対策を打つことで病気の発症リスクを軽減させることができます。
ただ、病気などは遺伝子によるものだけではなく、生活習慣など後天的な要因で発症することが多いのも事実です。遺伝子的にはリスクが少ないからといって安心できるものではありません。
緑内障や乳がんのように遺伝的要素が大きいものもありますが、全体的な病気疾患や感染症を見た場合、遺伝子学的には、遺伝的要因が3割で環境的要因が7割とされています。
それだけ生活習慣は重要ということですので日頃から規則正しい生活、バランスの取れた食事をするように心がけたいものです。
興味のある方は一度、遺伝子検査を受けてみてはどうでしょうか。
現在は、ユーグレナ・マイヘルス遺伝子解析サービスも人気があるようです。
以前受けたジーンライフの遺伝子検査にも「記憶力」の検査項目がありましたが、現在は、例えば、ユーグレナの遺伝子検査では、記憶力のほか、海馬容積や数学能力、非言語IQ、顔知覚能力、試行錯誤学習(学習能力)といったものも検査できるようになっています。
色んなことを知ることで無駄な努力をせずに済むかもしれません。
定年後・老後の健康寿命を延ばすために今できること、という点でもおすすめです。