定年後・老後は自然豊かな田舎に移住してのんびり暮らしたいと考えている人が増えています。
いわゆるスローライフと言われる生活ですね。誰でもが一度は憧れる生活スタイルです。
田舎暮らしは、のんびりした生活というイメージがありますので、仕事や人間関係などで心身ともに疲れた方や、定年退職後、老後に都会の喧騒から離れて静かに生活したいといった方に根強い人気があります。
しかし、実際に移住した人の声を聞くと、「こんなはずではなかった」と後悔する人が少なくないという現実があるもの事実です。
そして、その理由には多くの共通点があります。
事前に確認しておけば、覚悟しておけば、後悔・失敗するリスクも少なかったはず。
ここでは、特に、「定年後・老後の田舎暮らし」で失敗・後悔しないために、事前に確認しておくべきこと、覚悟しておくべきポイントを解説しています。
定年後・老後の田舎暮らしで後悔しないために確認しておくべきポイント
生活費は本当に安くなるのか
都会の生活と比較して田舎暮らしは生活費が大幅に減少する。漠然とそう思って田舎への移住を計画する人も多いと思います。
実際、限られた年金では今の生活を維持していけず田舎への移住を余儀なくされる人もいます。
しかし、生活費が削減できるかはケースバイケース。
家賃は田舎の方が圧倒的に安いので、生活を工夫して生活費を切り詰めればそれこそ都会の半分くらいの生活費に抑えることも可能ですが、工夫や努力もせず都会にいた時と同じ生活スタイルを保持しようと思えば、余計に生活費がかかってしまうこともあるので注意が必要です。
本当に田舎暮らしの方が生活費を削減できるかシミュレーションしてみる
田舎暮らしは多くの場合、車が不可欠になります。
買い物をするにも通院するにも車が必要です。
そうすると車本体に加えてガソリン代や保険料、税金、車検代などの維持費が必要になります。
水道光熱費は都会と変わりませんし、水道代などはむしろ都会より高くなるケースもあります。
食費はというと、広い土地を活用して家庭菜園や半農業などをして抑えることは可能ですが、そうでなければ食材の物価は都会と変わりません。
物によってはむしろ都会で買うより高いものもあります。
そう考えると、田舎暮らしといっても安くつくのは家賃くらいです。
そして、その安い家賃も、車を持つことでチャラになるかもしれません。また、田舎の家の傷み具合によっては簡単なリフォームが必要になることも念頭に置いておかなければなりません。
そんなことを考えると、結局、今の暮らしの中で節約した場合の生活費と田舎暮らしの生活費を比較するとあまり変わらないかもしれません。
生活費の大幅な削減を見込んで移住を計画する場合は、現在お住まいの環境での節約生活と移住する田舎暮らしでの生活の実態を把握し、とことんシミュレーションしてみる必要があります。
地元の人と溶け込めるか
田舎暮らしと言えば、いかに地元の人と溶け込めるかが重要なポイントです。このことは、近年のテレビ番組でそういったことが放送されているため理解している方も多いと思います。
田舎だからといって必ずしもご近所付き合いや地域のコミュニティの活動が活発だとは限りませんが、やはり、これまでより濃い付き合いをしなければならなくなる場合が殆どです。
収穫祭や盆踊り、運動会、消防団、老人会といった地域のコミュニティが存在し、活動が頻繁に行なわれている場合も少なくありません。
地域によっては、冠婚葬祭の手伝いをしなければならないところもあります。
つまり、積極的にそのコミュニティに溶け込み馴染んでいくことが必要になります。
テレビでは、地元の人とうまく溶け込んでいるシーンばかりが放送されますが、田舎は閉鎖的で保守的な人が多いのも事実で、なかなか溶け込めない人がいるのも事実です。
地元の人と溶け込めずに田舎暮らしを断念する人は少なくありません。
田舎暮らしに向いた性格か
そういう意味では、田舎暮らしには性格的に向き不向きがあるのも事実です。
コミュニケーション能力が高く、進んで人の輪の中に入ろうとする社交的な人で物事をあまり気にしない大雑把な性格の人が田舎暮らしに向いていると言えます。
人の絆や助け合いの精神は田舎に住む以上は欠かすことはできません。
田舎暮らしを検討する際は、最も重視しておくべき点の一つです。
刺激や変化がなく不便で不快な生活が我慢できるか
便利で快適で刺激的な都会の暮らしに慣れている人が、刺激や変化がなく不便で不快な田舎暮らしに馴染むことができるかは疑問です。
移住してしばらくは、のんびりとした生活を快適に感じますが、これがずっと続くとなると飽きてきて退屈を苦痛に感じる人も出てきます。
そして、時間の経過とともに刺激や変化の無い退屈な生活に我慢することができなくなり、田舎暮らしを断念する人もいます。
交通の便も悪いです。銀行や郵便局、病院、市役所などの公的機関もおそらく近くにはなく交通手段も少ないため、車が無ければ生活は成り立ちません。
また、夏になると蚊や虫、蜘蛛などが大量発生し、虫対策も必要になりますし、冬になると隙間風でなかなか部屋が暖まらないといったことも。
場所によってはスマホに電波が入らないところもあります。
このように刺激が無く不便で不快な生活に我慢できるか、退屈な生活を創意工夫して少しでも刺激のある生活に変えられるか、自問自答してみる必要があります。
孤独に耐えられるか
今までは、近くに親や兄弟、友達がいたかもしれません。しかし、見知らぬ町での田舎暮らしとなると親類や友達も近くにいなくなり孤独を感じることになります。
普段は気にもしなかった孤独感。田舎暮らしをしてはじめて感じます。
特に寂しがり屋の人や人付き合いの苦手な人は安易に田舎暮らしをするべきではありません。
まとめ
以上、定年後・老後の田舎暮らしで失敗・後悔しないために事前に確認しておくべきこと、覚悟しておくべきことを記してみました。
定年後、老後に田舎暮らしをして失敗・後悔することは、
- 生活費のこと
- 地域の人との人間関係
- 刺激や変化がなく不便で不快な生活
- 孤独
といったものによるものが殆どのようです。
ちなみに若い世代で田舎暮らしをする場合は、これらに加えて、
- 仕事がない
- 給料が少ない
といったことが失敗する原因に入ってきます。
定年後・老後の田舎暮らしで失敗・後悔する原因の多くは事前のリサーチ不足です。
失敗・後悔しないためには、これらのことを事前に徹底的に確認し、自分が住める環境かどうかシミュレーションしてみることが大切です。
中にはこういった心配が不要な地域もありますので、移住する動機と、譲歩できる点・そうでない点を整理して検討します。
理想的な田舎暮らしができそうであれば覚悟をもって移住しましょう。
そうすることで田舎暮らしに失敗・後悔するリスクを大幅に減少させることができます。