過去に、何等かの理由で国民年金保険料の免除や納付猶予、また、学生納付特例の承認を受けた期間がある場合は、保険料を全額納付した場合と比べて貰える年金額が少なくなります。
しかし、あの頃は納められなかったが今は支払う経済的能力があるという場合は、一定の条件で後から追納できるという制度があります。そういった場合は追納を検討してみましょう。
ここでは、国民年金保険料の追納制度とは?追納は行うべきか?について解説します。
国民年金保険料の追納制度とは?
収入が減ったり、失業したりして、国民年金保険料の免除や納付猶予を受けたり、また、学生時代に支払う余裕がなく学生納付特例を受けた場合は、年金の受給資格期間としては計算されますが、免除されたり納付猶予を受けた分は貰える年金額には反映されません。
つまり、納めていない分、貰える年金額が少なくなります。
しかし、国民年金保険料の免除・納付猶予、学生納付特例の承認を受けた期間の保険料については、後から納付(追納)することにより、老齢基礎年金の年金額を増やすことができる国民年金保険料の追納制度があります。
人生100年と言われる時代。終身に対応した国民年金制度は、長生きリスクに対応できる年金制度ですので、追納できる分は追納を是非検討してみましょう。
追納分は、社会保険料控除により所得税や住民税が軽減されますので節税対策にもなります。
また、よく似た制度に国民年金の任意加入制度があります。
これは、20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480ヶ月未満の人が、本人の申し出により60歳以上65歳未満(65歳誕生日の前月まで)の5年間に、納付月数480ヵ月を上限に、国民年金保険料を納めることで、65歳から受け取る老齢基礎年金を増やすことができる制度です。
国民年金保険料を納めていない期間がある方はこちらも加入することをおすすめします。
追納できる条件
過去10年間に保険料の免除または猶予、学生納付特例を受けた期間がある人は、最大10年間分まで遡って追納することができます。それを過ぎてしまうと追納できません。
また、過去2年以内に未納の国民年金保険料がある場合もその分について追納ができます。
但し、老齢基礎年金の請求権がある65歳以上の方については、追納をすることはできません。
- 国民年金保険料の免除や納付猶予を受けたり、また、学生時代に支払う余裕がなく学生納付特例を受けた人
- 追納できるのは最大過去10年分まで
- 過去2年以内に未納の国民年金保険料がある人
- 老齢基礎年金の請求権がある65歳以上の方は、追納をすることはできない
例えば、免除や猶予を受けた年月が平成24年(2012年)10月分であれば、令和4年(2022年)10月末まで追納が可能です。
そして、3年以上前の国民年金保険料について追納をするには、当時の保険料に加えて数十円から数百円の加算額を上乗せした金額を支払う必要があります。
追納する手続き
国民年金保険料追納申込書(年金事務所で記入してもいいですし、書式はネットからもダウンロードが可能です)に必要事項を記入し、年金事務所に提出すると、厚生労働大臣の承認を経て「納付書」が送付されてきます。
その納付書をもって納付します。口座振替やクレジットカードでの納付はできません。
国民年金保険料の追納は行うべきか
できることなら追納をした方がお得に思えますが本当にそうでしょうか?
国民年金保険料の追納は、貰える年金額が増えるほか、節税メリットもあります。長生きした場合でもずっと追納分がプラスされた年金が受け取れます。
しかし、現在、国は高年齢者雇用安定法を改正して70歳まで働ける環境を作っています。
年金の受取開始年齢も後ろ倒しになり、さらに年金額自体も下がっていくことも想定されます。
将来はどうなるか分かりませんが、そういうリスクを考えると、追納できる分を貯蓄や投資にまわした方がいいとも考えられます。
将来、どうなるかわかりませんので、そこは個人の判断となります。
まとめ
国民年金保険料の免除・納付猶予、学生納付特例の承認を受けた期間の保険料については、最大10年間分まで遡って後から納付(追納)することにより、追納した分、老齢基礎年金の年金額を増やすことができます。
追納を行うべきか、は、平均余命や少子高齢化で年金制度が変化していくことを踏まえ、追納以外の方法で運用した場合と比較してどうなるかなど、広い視点から判断するようにして下さい。