雇用保険に加入していれば、失業してもハローワークで仕事を探す間は、一定の期間、失業手当を貰うことができます。
しかし、パートやアルバイト、また、個人事業主として働いていた人や無職の人など雇用保険に加入してなかった人はこの制度の恩恵を受けることはできません。
そこで、活用したいのが「求職者支援制度」です。
求職者支援制度は、失業手当を受給できない求職者が利用できる制度で、職業訓練が無料で受講できたり、条件を満たせば、月額10万円が受給できたりする制度です。
条件が整っていれば、定年後に仕事を探している人でも、無職の人でも、また、年金を受給している人でもこの制度を利用して再就職にトライすることができます。
ここでは、自営業者でも無職でもまた、定年後の再就職でも利用できる求職者支援制度とは?について解説しています。
自営業者でも無職でも定年後の再就職でも利用できる求職者支援制度とは?
求職者支援制度とは、平成23年10月1日からスタートした就職支援制度です。
働く意思と能力があるのに「雇用保険の受給資格がない人」や「雇用保険の受給期間が終了した人」など、雇用保険(失業手当)を受給できない求職者を対象に、就職にあたって必要な知識や技能を身につけて早期に就職できるようハローワークが中心となって実施する制度です。
具体的な支援として、職業訓練(求職者支援訓練)が無料で活用できたり、条件を満たせば、月額10万円の給付金+職業訓練のために通う際にかかる交通費等が支給されます。
詳しい制度の内容を見ていきます。
求職者支援制度が利用できる対象者
求職者支援制度の職業訓練を受けることができる対象者
まず、求職者支援制度を利用して無料で職業訓練を受けることができる人は、
- 雇用保険に加入できなかったパートやアルバイト、短期派遣だった人
- 前職に就職してから1年以内に辞めるなど雇用保険の受給資格要件を満たしていない人
- 雇用保険を受給中に再就職ができず、無職のまま受給期間が終了してしまった人
- 自営業を廃業した人
- 学卒未就職者(就職先が決まらないまま高校・大学等を卒業された人)や主婦などで働いたことがない人
のいずれかの条件を満たしている人で、
- 労働の意思と能力があり
- ハローワークに求職の申込みをし
- ハローワークが職業訓練などの支援が必要だと認めている
人です。これらの条件を満たせば無料で職業訓練を受けることができます。
定年退職した60歳以上の方でもこの制度を利用することが可能ですので、再就職で事務職を希望する場合などはパソコン操作のスキルを身に着けて再就職に挑戦するといったことができます。
勿論、現在無職の方でも職業訓練を受けることができます。
尚、雇用保険受給中であっても、ハローワークで相談する中で、求職者支援訓練の受講が本人の就職に適した訓練であると判断された場合は、求職者支援訓練を受講可能です。
但し、この場合、訓練受講中の雇用保険の延長は行われません。
求職者支援制度の職業訓練にはどのようなコースがあるか
求職者支援制度の柱である職業訓練は、ハロートレーニングとも言われ、民間では数万円から数十万円する通学講座や通信講座を無料(テキスト代は自己負担)で受講できる制度です。
ハロートレーニングには、多くの職種に共通する基本的能力を習得するための「基礎コース」と特定の職種の職務に必要な実践的能力を一括して習得するための「実践コース」があります。
「やりたい仕事はあるが経験やスキルがない」「専門的で実践的なスキルを身につけたい」といった方は、IT関連やWEBデザイン関連、また、電気関連、建築・土木関連、介護、デザイン関連などのコースが用意されていますので是非活用したいものです。
特定のスキルがなく、非正規雇用として転々とされてきた人でもこの制度を利用して正社員の専門職として就職し、安定する方も少なくありません。
1コースの職業訓練期間は、およそ2ヶ月~6ヶ月です。
どのようなコースがあるかは地域によっても異なります。
ハローワーク インターネットサービスの「ハロートレーニングコース情報検索」から地域を指定りて検索をかけ確認することができますので、そちらで確認し、受講したいものがあれば住所地を管轄するハローワークに足を運んで下さい。
募集は定員になり次第、打ち切られます。
求職者支援制度の職業訓練受講給付金が受給できる対象者
さらに、求職者支援制度では一定の支給要件を満たせば、最長1年間
- 職業訓練受講手当:月額10万円
- 通所手当(交通費)として:所定の額(上限あり)
- 寄宿手当:月額10,700円
が、職業訓練受講給付金として支給されます。
職業訓練受講給付金の一定の支給要件は、
- 本人の収入が月8万円以下であること
- 世帯全体の収入が月額25万円以下であること
- 世帯の金融資産が300万円以下であること
- 現に居住する土地・建物以外に土地や建物を所有していないこと
- やむを得ない場合を除き、全ての訓練実施日に出席していること
- 同世帯の方が同時に給付金を受給し訓練を受けていないこと
- 過去3年以内に失業等給付等の不正受給をしていないこと
などの条件を全て満たしている人です。
本人の収入には、各種年金を含む税引前の収入全般が対象となります。
様々な細かい条件がある上に、例えば、やむを得ない場合を除き、1日でも訓練を欠席したり、やむを得ない事情がある場合でも支給申請の対象となる訓練期間の8割以上出席していなければ給付金は支給されないなど厳しい条件があります。
また、不正受給については不正受給額(3倍額まで)の納付・返還のペナルティがあります。
求職者支援制度を申し込むには
求職者支援制度の申請窓口は、原則として住所地を管轄するハローワークです。
求職者支援制度を利用できる条件を満たしている場合で、職業訓練(ハロートレーニング)を申し込みたい場合は、住所地を管轄するハローワークに出向き、相談する必要があります。
ハローワークで職業相談をしつつ、求職者支援制度についても確認します。
ハロートレーニングコース情報検索から希望するコースが無くてもハローワークで新しい情報をキャッチできる可能性がありますので諦めずに一度は足を運んでおきましょう。
また、求職者支援制度を利用できる条件には、「ハローワークが支援の必要を認めている」という項目もありますので、ハローワークに再就職のために訓練が必要ではないと判断された場合は、申込ができない場合もあります。
適切な訓練コースを選び、受講申込書などの必要書類を受け取り、必要事項を記入して受講申込みの手続きを行います。必要あれば同時に給付金の事前審査も申請します。
訓練実施機関による選考(面接・筆記等)がありますのでそれを受け、合格できれば職業訓練を受けることができるようになります。
まとめ
自営業者だった人や無職の人、また、定年退職後に再就職する人でも利用できる求職者支援制度について解説してきました。
求職者支援制度は、雇用保険(失業手当)を受給できない求職者が利用できる制度です。
職業訓練(求職者支援訓練)が無料で活用できたり、条件を満たせば、月額10万円の給付金+職業訓練のために通う際にかかる交通費等が支給されます。
「やりたい仕事はあるが経験やスキルがない」「専門的で実践的なスキルを身につけたい」といった方は、IT関連やWEBデザイン関連、また、電気関連、建築・土木関連などのコースが用意されていますので是非活用したいものです。
求職者支援制度を利用できる条件を満たしている場合で、職業訓練(ハロートレーニング)を申し込みたい場合は、住所地を管轄するハローワークに出向き、相談する必要があります。