老後の生活に必要な資金はいくらか

老後の生活に必要な資金はいくらか

定年を迎えると給与はなくなり、大半の人は年金収入に頼って生活していくことになります。

しかし、年金収入だけで生活していける人はごく僅か。大多数の人がそれまでに準備した預貯金を取り崩し、生活費に充当しながら生活していくことになります。

近年では平均寿命が延びたこともあり、こういった定年後の時間も長くなってきています。

人並みの老後生活を送るにはどれくらいの資金を準備しておく必要があるのでしょうか。

老後の生活に必要な資金はいくらか

金融庁は、令和元年の6月3日にまとめた「高齢社会における資産形成・管理」の中で老後資産は長寿化に伴い95歳まで生きた場合、公的年金だけでは夫婦で約2,000万円不足するということを報告しました。

参考:公的年金だけで不足する金額は2,000万円

老後資金は3,000万円必要?

また、近年では、テレビの番組などで、年金支給だけでは不足する生活費を補うため、「老後の資金として3,000万円必要」といったようなことを放送しています。

老後の資金として3,000万円必要とする根拠の一つとして考えられているのが。総務省統計局が発表した「二人以上の世帯のうち高齢無職世帯の家計収支」を参考に算出したもののようです。

参考:二人以上の世帯のうち高齢無職世帯の家計収支(総務省統計局)

これによれば、平成29年の二人以上の世帯のうち高齢無職世帯(60歳以上)の実収入は平均204,587円で、消費支出は、237,682円となっています。

そして、これをもとに老後資金の算出が以下のようになされています。

モデルケース
・夫婦二人暮らし
・定年退職年齢:60歳
・年金支給開始年齢:65歳
・生活費:月額25万円
・年金収入:月額20万円
・平均寿命:88歳
・老後年齢の定義:60歳

・60歳から88歳までの生活費 = 8,400万円(25万円 × 336ヶ月)

・65歳から88歳までの年金収入 = 5,520万円(20万円 × 276ヶ月)

・不足分 = 2,880万円(8,400万円 - 5,520万円)・・・約3,000万円

老後に必要な資金として一つの目安にはなりますが、このモデルケースから外れると必要な金額も当然変わっています。

個人差がありますので一概に3,000万円とは言えないことが分かります。

老後に必要な資金の算出の仕方

上で算出された老後に必要な資金は平均的なモデルケースにより算出されたものです。

独身者の人もいれば20万円の年金が貰えない人もいます。特に国民年金分しか貰えない自営業者は、この算出方法に違和感を持っているのではないでしょうか。

従って、自分にとって必要な老後資金は自分の置かれた環境や条件に合わせて個別で計算すべきだということが分かります。

老後に必要な資金はいくらか

ということで、あなたの必要な老後資金を少し詳しく計算してみることにします。

前提条件は、老後は60歳からとし、寿命は88歳とします。

従って、老後の期間は28年となります。

支出する金額を割り出す

家族構成や現在の平均支出月額から、老後の生活にかかるであろう最低額(平均支出月額)を割り出し、336ヶ月を掛けます。

例えば、20万円であれば、336を掛けて6,720万円です。

これに、大きいところでいうと車の買い替えや家のリフォーム代・修繕費、介護費用や冠婚葬祭費などを、細々したところでいうと電化製品の買い替えや医療費などの予備額を加算します。

車を2回買い替えるとして例えば500万円、その他の合計を500万円とした場合は、生活費との合計で7,720万円となります。

最後にインフレや消費増税などのリスクをとって10%加算します。

結果、この例では、8,492万円となります。

収入額を割り出す

次に収入額を割り出します。

ねんきん定期便で、貰える年金額もある程度わかっていると思います。

貰い始める期間にその金額を掛けて貰える年金収入額を算出します。

但し、ここから所得税や住民税、国民健康保険料、介護保険料などの約1割が差し引かれますので、年金収入額から予め差し引いておくか、支出額に入れ込む必要があります。

その結果、年金支給開始年齢が65歳、年金支給額が18万円だとしたら、276ヶ月掛けて4,968万円です。夫婦で貰えるのであれば配偶者の分も加算します。

今の精度では年金の支給開始年齢を例えば70歳に繰り下げると年金額は42%増額されます。寿命が延びてますので可能であれば繰り下げをした方が良いかもしれません。

但し、年金制度も今後変わっていきます。支給開始年齢が上がったり、支給額が減少するリスクも考えなければなりません。

計算している人の年代が若ければ若いほどそのリスクは高くなることが予想されます。

ここでは、リスクを加味して1割減少で算出。

その結果、この例では4,500万円ほどとします。

尚、年金以外に安定した収入が見込める場合はその額も加算します。

老後に必要な資金額を割り出す

老後に必要な資金額

以上の例で計算すると、老後(60歳時点)に必要な資金額(貯蓄額)は、3,992万円(8,492万円 – 4,500万円)、およそ4,000万円となります。

こうして老後資金を計算した結果、貯蓄や退職金などをプラスしても老後資金が不足しそうな場合は、その程度によっては働く期間を延長したり、大物である車や住居について見直したり、また、生活を見直して節約するといった対策が必要になります。

特に車はその価格や駐車場代などの維持費を考えると負担は大です。車は所有せず、必要に応じてカーシェアリングやレンタカーを利用するなども検討してみて下さい。

参考:定年後の生活が楽になる4つの経費削減策

配偶者のことを考慮する

尚、これらは、夫婦が二人仲良く同じ期間生きている場合の計算式です。

配偶者がいない場合や配偶者が亡くなった場合は前提条件も大きく変わります。

配偶者がいる場合は、一般的には妻が若く、また平均寿命も長く長生きすることから、夫が死亡した後、妻は10年以上生きていくことになります。

このように残された配偶者のことも考えて計算することになります。こういった不確定要素には保険を利用して対策を打つことも有効です。

近年は、子供リスクや介護リスクもありますが、リスクを考えるときりがありません。ある程度準備したらあとは野となれ山となれです。

老後に必要な資金を確保するためには

老後に必要な資金を確保

こういった計算をすると、大多数の人は、年金をはじめとした社会保障だけでは老後資金は不足することが予想されます。下手したら老後破産しかねません。

老後は必ずやってきますので指をくわえて待っているのではなく、危機感を感じた時から対策を打つ必要があります。

そして、今からできる老後に必要な資金を確保する対策としては、支出を減らすか、収入を増やすか、の2通りしかありません。

日頃から光熱費や通信費、食費といったものをこつこつと節約して貯蓄に励むことも大事ですが、投資や資産運用で資産を増やしたり、できるだけ働いたり、また、定年後、老後に備えて稼ぐ力を養うといったことを考えることも大事です。

そして、最も効果的な対策は、やはり定年後もできる限り長く働くことです。ノーリスク・ハイリターンで健康的でもあります。

定年後に再雇用してくれないのであれば、再就職を目指しましょう。

例え、現役時代より収入が減っても働き続ければ老後資金の取り崩しのスピードを遅らせることができますし、厚生年金の年金支給額も増額されます。

また、定年や老後まで時間がある方は、投資をしてお金を増やしたりスキルを身につけて働く期間を延長したり、また、稼ぐ力を養ったりすることもおすすめです。

参考:老後に備えて投資をする場合、安全性を重視したおすすめの投資は何か

参考:定年後に役立つ資格を再就職用と独立用に分けて解説