ここでは、キャリアコンサルタントとはどういう職業か、キャリアコンサルタント試験の難易度や合格率などを解説しています。
キャリアコンサルタントとは?
キャリアコンサルタントとは、2016年4月に創設された国家資格です。
どんな働き方が良いかわからないと思っている求職者がベストなキャリアを積めるよう、企業と求職者の適性なマッチングをサポートしたり、能力開発に関する相談・助言を行う専門職です。
求職者は、キャリアコンサルティングを通じて、自分の適性や能力、関心などに気づき、自己理解を深めるとともに、社会や企業内にある仕事について理解することにより、その中から自身に合った仕事を主体的に選択できるようになることが期待できます。
キャリアコンサルタントは、独占業務はありませんが、登録制(5年ごとの更新)の名称独占資格で、守秘義務・信用失墜行為の禁止義務が課されています。
従って、資格保有者でない者はキャリアコンサルタント、またそれに似た紛らわしい名前を用いてはならないとされています。
キャリアコンサルタントは、企業の人事や大学などの教育関連部門をはじめ、公的就業支援機関、人材紹介・人材派遣会社など幅広い分野で必要とされています。
社会保険労務士などとのダブルライセンスで独立して活動しているケースも見られます。
尚、キャリアコンサルタントは、登録後5年ごとの更新が必要です。
キャリアコンサルタント | 評価 |
---|---|
受験資格 | あり |
就職・転職に役立つか | |
定年後の再就職に役立つか | |
独立に役立つか | |
難易度 | 易しい |
キャリアコンサルタントになるには?
キャリアコンサルタントになるには、キャリアコンサルタント試験に合格した後、厚生労働省に備えるキャリアコンサルタント名簿への登録を行う必要があります。
キャリアコンサルタントとキャリアコンサルティング技能士との違い
キャリアコンサルティング技能士とは、キャリアコンサルティング技能検定(国家検定)に合格した方をいいます。
キャリアコンサルティング技能検定は、キャリアコンサルタント試験の上位に位置づけられており、1級と2級があります。
キャリアコンサルティング技能士1級は指導レベル、2級は熟練レベルとして位置づけられており、いずれも実務経験年数が受検要件として設定されています。
技能検定に合格すると、ハローワークや職業訓練などの公的機関で相談員として働いたり、企業でも昇進で有利になったりする可能性が増えます。
キャリアコンサルタント試験の概要
キャリアコンサルタント試験を実施する団体は、
- 日本キャリア開発協会(JCDA)
- キャリア・コンサルティング協議会(CC協議会)
の2つがあります。
学科試験は共通問題ですが、実技の論述試験と面接試験は、2つの団体で異なりますし、合格率なども異なります。
以下は、日本キャリア開発協会(JCDA)が実施する試験について解説します。
受験資格
キャリアコンサルタント試験は下記のいずれかの条件を満たせば受験資格が得られます。
- 厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した者
- 労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験を有する者
- 技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した者
- 上記の項目と同等以上の能力を有する者
厚生労働大臣が認定する講習は、例えば、以下の講座がこれに該当します。
試験の免除
以下に該当する方は、キャリアコンサルタント試験の該当試験が免除されます。
- キャリアコンサルタント学科試験又は実技試験においてどちらか片方の合格者は、合格している試験が免除
- 技能検定キャリアコンサルティング職種の1級又は2級の学科試験、実技試験のどちらか片方の合格者は、キャリアコンサルタント試験の対応する試験が免除
試験日時
キャリアコンサルタントの国家試験は年3回実施されます。
第23回試験・第24回試験の日程は以下の通りです。
第23回試験 | |
---|---|
受験申し込み期間 | 2023年4月12日(水) 〜 2023年4月28日(金) |
学科・実技論述試験 | 2023年7月2日(日) |
実技面接試験 | 2023年7月8日(土)・9日(日) 追加日程:2023年7月15日(土)・16日(日) |
合格発表 | 2023年8月10日(木) |
第24回試験 | |
---|---|
受験申し込み期間 | 2023年8月16日(水) 〜 2023年9月1日(金) |
学科・実技論述試験 | 2023年11月5日(日) |
実技面接試験 | 2023年11月18日(土)・19日(日) 追加日程:2023年11月11日(土)・12日(日) |
合格発表 | 2023年12月18日(月) |
試験の方法と内容
試験は、
- 学科試験と
- 実技試験(論述試験・面接試験)
に分けて実施されます。
試験科目
学科試験の試験科目
- キャリアコンサルティングの社会的意義
- キャリアコンサルティングを行うために必要な知識
- キャリアコンサルティングを行うために必要な技能
- キャリアコンサルタントの倫理と行動
実技試験の試験科目
- キャリアコンサルティングを行うために必要な技能
出題形式と問題数
試験 | 出題形式 | 問題数と試験時間 |
---|---|---|
学科試験 | 筆記試験 四肢選択のマークシート方式による回答 |
50問・100分 |
実技・論述試験 | 逐語記録を読み、設問に解答する記述式 | 1~2問・50分 |
実技・面接試験 | ロールプレイ(受験者がキャリアコンサルタント役となり、相談を行う) 口頭試問(自らの相談について試験官からの質問に答える) |
1ケース・20分 ・ロールプレイング15分 ・口頭試問5分 |
受験手数料
学科:8,900円
実技(論述試験・面接試験):29,900円
いずれも税込み
試験地
学科試験・実技試験ともに、札幌・仙台・東京・金沢・名古屋・大阪・広島・高松・愛媛・福岡・沖縄で実施の予定。
キャリアコンサルタント試験の難易度
合格基準・合格率
合格基準
学科 | 100点満点で70点以上の得点 |
実技 | 150点満点で90点以上の得点。ただし論述試験の満点の40%以上、かつ面接試験の評価区分の中の「主訴・問題の把握」「具体的展開」「傾聴」のいずれにおいても満点の40%以上の得点が必要 |
合格率
例年、学科試験、実技試験とも合格率は60%から70%で推移しており、最終合格者は50%~55%で推移しています。
2つの団体が実施していますが、両者で合格率(難易度)の差は殆どありません。
難易度と合格までの時間の目安
難易度: 易しい
合格までの学習時間の目安:150時間
キャリアコンサルタントの通学・通信講座はヒューマンアカデミーがおすすめです。
ヒューマングループは社会の要請に応えるために、「キャリアコンサルタント」の育成と地位向上に力を入れています。
キャリアコンサルタントとして独立や就職・再就職ができるか
キャリアコンサルタントとして独立が可能か
例えば、キャリアコンサルタントとの対話による自己分析は自分一人ではたどり着けない真の自分の姿を浮き彫りにしてくれることもあります。
相談者が本当にやりたい仕事に出会うきっかけを作るなど意義のある仕事ですが、日本ではキャリアについての相談をお金を払って個人に相談するという文化は根付いていません。
その理由の一つは業務独占資格ではないので誰でもできるということ。実際、行政機関や民間企業、教育機関でも担当者が相談者の就職や転職の相談に乗っています。
従って、キャリアコンサルタントとして独立するには、セミナーや勉強会などに参加するなどして同業の方とのコミュニケーションを図りながら人脈を広げて仕事に結びつけていったり、実績を積み重ねつつ企業や大学などへの営業活動が欠かせません。
尚、社会保険労務士の資格などを併せ持つことでフリーランスのキャリアコンサルタントとして活躍することが可能です。
労務管理の視点からもアドバイスが可能となるため需要が見込めます。
キャリアコンサルタントの資格は就職や転職、定年後の再就職に有利か
キャリアコンサルタントの資格が就職や転職に有利かという点ですが、ハローワークや学校、大企業、人材派遣会社等への就職や転職には有利に働きます。
また、人材派遣会社に登録して派遣社員として働くことも可能です。派遣社員として区役所の窓口で生活保護受給者の相談を受けるといった働き方もあります。
定年後は、今の会社でニーズがあれば再雇用してもらえるチャンスが増え、また、人材派遣会社に登録して派遣社員として働いたり、タイミングに恵まれれば別の会社への再就職も可能です。
2016年4月より創設された比較的新しい国家資格のためまだ知名度が低いのですが、今後は評価されることが期待できます。
但し、5年ごとにある更新では、厚生労働大臣指定のキャリアコンサルタント更新講習(知識講習8時間・技能講習30時間)を受けることが義務づけられています。
キャリアコンサルタントの上位資格である「キャリアコンサルティング技能士」に合格すれば、更新講習は受けなくてもよいことになっていますが、そうでない場合でキャリアコンサルタントの資格を維持するためには、5年ごとに数十万円の費用がかかります。