エンベデッドシステムスペシャリスト試験の難易度

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ここでは、エンベデッドシステムスペシャリストとは何か?また、エンベデッドシステムスペシャリスト試験の概要やその難易度などをまとめています。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験とは?

エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が実施している情報処理技術者試験の一つで、エンベデッドシステムスペシャリストとしての知識や技術、経験が一定以上であることを認定する国家試験です。

エンベデッドシステムスペシャリストは、ハードウェアとソフトウェアの両方の知識が必要な組み込みシステムの専門家です。

組み込みシステム(IoT)とは、ネットワークを通じてサーバーやクラウドサービスに接続され、相互に情報交換をする仕組みで、スマートフォンをはじめ、テレビや洗濯機といった家電、自動車や産業用ロボットなどに組み込まれているコンピューターシステムのことです。

IoTの技術を活用することで、これまでに無かった、より高い価値やサービス生み出すことが可能になります。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、システムエンジニアの中でも、IoTを含む組込みシステムの開発に関係する広い知識や技能を活用し、最適な組込みシステム開発基盤の構築や組込みシステムの設計・構築・製造を主導的に行う者を対象者像として試験が実施されます。

組込みシステムの開発の技術者は、テレビや洗濯機、スマートフォンなど特定のものに特化したハードウェアとソフトウェアを同時に開発しますので、特殊な領域を扱うことになります。

このため、情報処理技術者試験の中で受験者数が最も少ない試験の一つです。

試験のレベルは情報処理技術者試験の中では最高峰とされる高度レベルの4の試験で、高度情報処理技術者試験に含まれます。

資格を取得しておけば、組み込み系エンジニアとして、家電や自動車等を開発するメーカーや関連する企業で活躍することができます。勿論、就職や転職時に非常に有利になります。

企業によっては、合格者に資格手当や一時金を支給する場合もあります。

特に、今後はさらに家電や自動車にもIT機器を搭載した製品が増え続けることが見込まれますので人材は不足してくることが予想されます。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験 評価
受験資格 なし
就職・転職に役立つか
定年後の再就職に役立つか
独立に役立つか
難易度 かなり難しい

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の概要

受験資格

受験資格は必要ありません。

年齢、学歴、国籍、性別、実務経験等に関係なく誰でも受験できます。

試験日時・試験地

試験日時

エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、年1回、秋に実施されます。

試験は、例年7月中旬から8月中旬にかけて申し込みを受け付け、10月の第3日曜日に試験が実施されます。

試験地

全国47都道府県の主要都市が試験会場となっています。

試験免除制度

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の午前Ⅰ試験については、次の①~③のいずれかを満たせば、その後2年間、受験申込み時に申請することによって受験を免除されます。

  1. 応用情報技術者試験に合格する
  2. 情報処理技術者試験の高度試験又は情報処理安全確保支援士試験のいずれかに合格する
  3. 情報処理技術者試験の高度試験又は情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績を得る

例えば、応用情報技術者試験に合格した者はその後2年間、受験申込み時に申請することで、エンベデッドシステムスペシャリスト試験の午前Ⅰ試験が免除され午前Ⅱ試験から受験することが可能です。

試験の方法と内容

試験は、午前Ⅰ・Ⅱと午後Ⅰ・Ⅱに分かれて下記の要領で実施されます。

試験の方法 午前Ⅰ 午前Ⅱ 午後Ⅰ 午後Ⅱ
試験時間 9:30~10:20
(50分)
10:50~11:30
(40分)
12:30~14:00
(90分)
14:30~16:30
(120分)
出題形式 多肢選択式
(四肢択一)
記述式 論述式
出題数
解答数
出題数:30問
解答数:30問
(高度試験共通)
出題数:25問
解答数:25問
出題数:2問
解答数:1問
出題数:3問
解答数:1問

午前Ⅰの試験

高度試験に共通して出される問題です。

テクノロジ系(技術)、マネジメント系(管理)、ストラテジ系(経営)から30問出題

※四肢択一問題30問×3.4点で合計100点

午前Ⅱの試験

テクノロジ系(技術)、マネジメント系(管理)、ストラテジ系(経営)から25問

※四肢択一問題25問×4点で合計100点

  1. コンピュータ構成要素
  2. システム構成要素
  3. ソフトウェア
  4. ハードウェア
  5. ネットワーク
  6. セキュリティ
  7. システム開発技術
  8. ソフトウェア開発管理技術
  9. システム企画
  10. 経営戦略マネジメント
  11. 技術戦略マネジメント
  12. ビジネスインダストリ

の12分野から出題

特に、コンピュータ構成要素、ソフトウェア、ハードウェア、セキュリティ、システム開発技術について高度な問題が出題されます。

午後Ⅰ・Ⅱの試験

出題範囲は次の通りです。

  1. 組込みシステム・IoT を利用したシステムの事業戦略・製品戦略・製品企画・開発・サポート及び保守計画の策定・推進に関すること
  2. 機能要件の分析・機能仕様の決定に関すること
  3. 対象とするシステムに応じた開発手法の決定・汎用モジュールの利用に関すること
  4. 組込みシステムのシステムアーキテクチャ設計・要求仕様の策定に関すること
  5. 組込みシステムのソフトウェア設計・実装に関すること
  6. 組込みシステムのハードウェア設計・実装に関すること
  7. 保守に関すること

午後Ⅰは、上記の範囲からシナリオ問題が2問出題され、1問を選択して解答します。

1問で100点

午後Ⅱは、論述です。上記の範囲から問題が3問出題され、うち1問を選択して解答(課題について実務体験をもとに概ね2200~3600文字程度で論述)します。

A、B、C、Dの4段階で評価され、Aのみ最終的に合格となります。

受験手数料

7,500円

エンベデッドシステムスペシャリスト試験合格者の特典

他の情報処理関連試験の免除

エンベデッドシステムスペシャリスト試験に合格、又は、午前Ⅰに基準点以上を得れば、その後2年間、受験申込み時に申請することによって、他の高度情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰの科目免除され、午前Ⅱ試験から受験することが可能です。

その他の試験の科目の免除

また、エンベデッドシステムスペシャリスト試験の合格者は、

  1. 弁理士試験の科目免除(理工V・情報)
  2. 技術士試験の科目免除(情報工学部門)
  3. ITコーディネータ(ITC)試験の科目免除

などの科目免除があります。

任用資格

任用資格とは、特定の職業ないし職位に任用されるための資格のことです。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の合格者は以下の任用資格が与えられます。

  1. 技術陸曹・海曹・空曹及び予備自衛官補(技能公募)の任用資格
  2. 警視庁特別捜査官の4級職(警部補)のサイバー犯罪捜査官の任用資格

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の難易度

合格基準

午前Ⅰ・Ⅱ、午後Ⅰともに100点満点中60点以上が基準点です。

午後Ⅱの論述式の採点は、

  1. 設問で要求した項目の充足度
  2. 内容の妥当性
  3. 論理の一貫性
  4. 見識に基づく主張

で評価され、A、B、C、Dのランクで採点されます。

そして、評価ランクがA(合格水準にある)で合格となります(Aランク以外の場合は不合格)。

評価ランク 内容 合否
A 合格水準にある 合格
B 合格水準まであと一歩である 不合格
C 内容が不十分である
問題文の趣旨から逸脱している
D 内容が著しく不十分である
問題文の趣旨から著しく逸脱している

尚、エンベデッドシステムスペシャリスト試験には以下の足切りがあります。

  1. 午前Ⅰ試験の得点が基準点に達しない場合は午前Ⅱと午後の試験の採点を行わずに不合格
  2. 午前Ⅱ試験の得点が基準点に達しない場合は午後Ⅰ・午後Ⅱ試験の採点を行わずに不合格
  3. 午後Ⅰ試験の得点が基準点に達しない場合は午後Ⅱ試験の採点を行わずに不合格

試験結果に問題の難易差が認められた場合には,基準点の変更が行われることがあります。

合格率

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の合格率は例年17%前後です。

令和4年度は、2,415人が受験して合格者は476人。合格率は、19.7%と高めでした。

午前の問題を免除された受験者(午前の問題が合格レベルに達した者)がおよそ半数いる中での合格率ですので、かなり難易度の高い試験と言えます。

情報処理技術者試験の中では、ITストラテジジスト、システム監査技術者、プロジェクトマネージャ試験に次ぐ難易度となっています。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の難易度

エンベデッドシステムスペシャリスト試験のレベルは、他の高度情報処理技術者試験と同じスキルレベル4に相当します。

合格率は17%前後とさほど低くはありませんが、これは受験者のレベルが高いためです。

応用情報技術者やその他の高度情報処理試験の合格者やそれらの1次試験をクリアした者、または、それとほぼ同等の者が受験しますので、言わば、合格率においては2次試験的な意味合いを持つ試験と考えていいでしょう。

難易度: かなり難しい

合格までの学習時間の目安:1200時間

合格までの学習時間の目安は、知識ゼロから合格を目指す場合です。

経験やその他保有資格により目安より短期間で合格することが可能です。

エンベデッドシステムスペシャリストは独立や定年後の就職・再就職で有利に

エンべデッドシステムスペシャリストは、組み込みシステムを専門的に扱うエンジニア向けの資格となります。

現在はスマート家電やロボット等が普及し、スマート家電等に内臓される組み込みシステムも需要が高まっています。

組み込みシステムの設計・開発においては高い専門性が求められ、かつ、セキュリティ保守やトラブル対応などのアフターサポートを行う場合も多いので安定した需要があります。

また、現代社会ではIoT化の動きが加速的に進んでおり、業界・業種問わずIoTの導入を進めていますので、資格の保有者はIoT分野においてスペシャリストとして評価され、社内でも昇進や昇給のチャンスがあり、就職や転職でも大いに役立ちます。

さらに、組込みエンジニアは、単発契約で業務が行えるため、フリーランスとしての需要も増加傾向にあります。そのため、経験を積めば定年後でも再就職や独立をすることが可能です。

尚、IoTの導入にはクライアントの要望をくみ取りながらシステムを組み立てていく必要がありますのでエンジニアとしてのスキルの他にコミュニケーション能力も必要となります。