ITサービスマネージャの試験の難易度

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ここでは、ITサービスマネージャとは何か?また、ITサービスマネージャ試験の概要やその難易度などをまとめています。

ITサービスマネージャ試験とは?

ITサービスマネージャは、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が実施している情報処理技術者試験の一つで、ITサービスマネージャとしての知識や技術、経験が一定以上であることを認定する国家試験です。

IT企業や事業会社のシステム部門でシステムの「運用管理・保守」を担う人が目指す資格で、ITサービスマネージャ試験は高度IT人材として確立した専門分野をもち、サービスの要求事項を満たし、サービスの計画立案、設計、移行、提供及び改善のための組織の活動及び資源を指揮し、管理する者を対象として行われます。

試験の合格者は、新規サービス又はサービス変更など顧客のニーズを把握し、要員・供給者・資源・予算を管理したり、サービスの設計、構築及び移行を行い、安定稼働を目的に、導入、セットアップ、機能の維持・拡張、障害修復ができるプロフェッショナルとして認定されます。

試験のレベルは情報処理技術者試験の中では最高峰とされる高度レベルの4の試験で、高度情報処理技術者試験に含まれます。

資格を取得しておけば上級エンジニアであることを証明でき、就職や転職時に非常に有利になることは間違いありません。

企業によっては、合格者に資格手当や一時金を支給する場合もあります。

ITサービスマネージャ試験 評価
受験資格 なし
就職・転職に役立つか
定年後の再就職に役立つか
独立に役立つか
難易度 かなり難しい

ITサービスマネージャ試験の概要

受験資格

受験資格は必要ありません。

年齢、学歴、国籍、性別、実務経験等に関係なく誰でも受験できます。

試験日時・試験地

試験日時

ITサービスマネージャ試験は、年1回、春に実施されます。

試験は、例年1月中旬から2月中旬にかけて申し込みを受け付け4月の第3日曜日に実施されます。

試験地

全国47都道府県の主要都市が試験会場となっています。

試験免除制度

ITサービスマネージャ試験の午前Ⅰ試験については、次の①~③のいずれかを満たせば、その後2年間、受験申込み時に申請することによって受験を免除されます。

  1. 応用情報技術者試験に合格する
  2. 情報処理技術者試験の高度試験又は情報処理安全確保支援士試験のいずれかに合格する
  3. 情報処理技術者試験の高度試験又は情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績を得る

例えば、応用情報技術者試験に合格した者はその後2年間、受験申込み時に申請することでITサービスマネージャ試験の午前Ⅰ試験が免除され午前Ⅱ試験から受験することが可能です。

試験の方法と内容

試験は、午前Ⅰ・Ⅱと午後Ⅰ・Ⅱに分かれて下記の要領で実施されます。

試験の方法 午前Ⅰ 午前Ⅱ 午後Ⅰ 午後Ⅱ
試験時間 9:30~10:20
(50分)
10:50~11:30
(40分)
12:30~14:00
(90分)
14:30~16:30
(120分)
出題形式 多肢選択式
(四肢択一)
記述式 論述式
出題数
解答数
出題数:30問
解答数:30問
(高度試験共通)
出題数:25問
解答数:25問
出題数:3問
解答数:2問
出題数:2問
解答数:1問

午前Ⅰの試験

高度試験に共通して出される問題です。

テクノロジ系(技術)、マネジメント系(管理)、ストラテジ系(経営)から30問出題

※四肢択一問題30問×3.4点で合計100点

午前Ⅱの試験

テクノロジ系(技術)、マネジメント系(管理)、ストラテジ系(経営)から25問

※四肢択一問題25問×4点で合計100点

  1. コンピュータ構成要素
  2. システム構成要素
  3. データベース
  4. ネットワーク
  5. セキュリティ
  6. プロジェクトマネジメント
  7. サービスマネジメント
  8. システム監査
  9. 法務

の9分野から出題

特に、セキュリティとプロジェクトマネジメント、サービスマネジメントについて高度な問題が出題されます。特にサービスマネジメントについては例年10問以上と出題比率が高い傾向があります。

午後Ⅰ・Ⅱの試験

出題範囲は次の通りです。

  1. サービスマネジメントに関すること
  2. サービスマネジメントシステムの計画及び運用に関すること
  3. パフォーマンス評価及び改善に関すること
  4. サービスの運用に関すること
  5. ファシリティマネジメントに関すること

午後Ⅰは、上記の範囲からシナリオ問題が3問出題され、2問を選択して解答します。

各50点×2問で合計100点

午後Ⅱは、論述式問題です。上記の範囲から問題が2問出題され、うち1問を選択して解答(課題について実務体験をもとに概ね2200~3600文字程度で論述)します。

A、B、C、Dの4段階で評価され、Aのみ最終的に合格となります。

受験手数料

7,500円

ITサービスマネージャ試験合格者の特典

他の情報処理関連試験の免除

ITサービスマネージャ試験に合格、又は、午前Ⅰに基準点以上を得れば、その後2年間、受験申込み時に申請することによって、他の高度情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰの科目免除され、午前Ⅱ試験から受験することが可能です。

その他の試験の科目の免除

また、ITサービスマネージャ試験の合格者は、

  1. 弁理士試験の科目免除(理工V・情報)
  2. 技術士試験の科目免除(情報工学部門)
  3. ITコーディネータ(ITC)試験の科目免除

などの科目免除があります。

任用資格

任用資格とは、特定の職業ないし職位に任用されるための資格のことです。

ITサービスマネージャ試験の合格者は以下の任用資格が与えられます。

  1. 技術陸曹・海曹・空曹及び予備自衛官補(技能公募)の任用資格
  2. 警視庁特別捜査官の4級職(警部補)のサイバー犯罪捜査官の任用資格

ITサービスマネージャ試験の難易度

合格基準

午前Ⅰ・Ⅱ、午後Ⅰともに100点満点中60点以上が基準点です。

午後Ⅱの論述式は、

  1. 設問で要求した項目の充足度
  2. 内容の妥当性
  3. 論理の一貫性
  4. 見識に基づく主張

で評価され、A、B、C、Dのランクのうち、評価ランクがA(合格水準にある)で合格となります(Aランク以外の場合は不合格)。

評価ランク 内容 合否
A 合格水準にある 合格
B 合格水準まであと一歩である 不合格
C 内容が不十分である
問題文の趣旨から逸脱している
D 内容が著しく不十分である
問題文の趣旨から著しく逸脱している

尚、ITサービスマネージャ試験(高度情報処理試験)には以下の足切りがあります。

  1. 午前Ⅰ試験の得点が基準点に達しない場合は午前Ⅱと午後の試験の採点を行わずに不合格
  2. 午前Ⅱ試験の得点が基準点に達しない場合は午後Ⅰ・午後Ⅱ試験の採点を行わずに不合格
  3. 午後Ⅰ試験の得点が基準点に達しない場合は午後Ⅱ試験の採点を行わずに不合格

試験結果に問題の難易差が認められた場合には,基準点の変更が行われることがあります。

合格率

ITサービスマネージャ試験の合格率は例年13%前後です。

令和4年度は、1,954人が受験して合格者は303人。合格率は、13.6%でした。

午前の問題を免除された受験者(午前の問題が合格レベルに達した者)がおよそ半数いる中での合格率ですので、かなり難易度の高い試験と言えます。

情報処理技術者試験の中では、ITストラテジジスト、システム監査技術者、プロジェクトマネージャ試験に次ぐ難易度となっています。

ITサービスマネージャ試験の難易度

ITサービスマネージャ試験のレベルは、他の高度情報処理技術者試験と同じスキルレベル4に相当します。

合格率は13%前後とさほど低くはありませんが、これは受験者のレベルが高いためです。

応用情報技術者やその他の高度情報処理試験の合格者やそれらの1次試験をクリアした者、または、それとほぼ同等の者が受験しますので、言わば、合格率においては2次試験的な意味合いを持つ試験と考えていいでしょう。

難易度: かなり難しい

合格までの学習時間の目安:1200時間

合格までの学習時間の目安は、知識ゼロから合格を目指す場合です。

経験やその他保有資格により目安より短期間で合格することが可能です。

ITサービスマネージャは転職や定年後の就職・再就職で有利に

ITシステムが適切に運用管理されるための中核を担うITサービスマネージャは、表向きの需要は情報処理技術者の中では低めですが、隠れた需要は多いことが予想されます。

さらに今後はシステムの複雑化に伴い、需要も伸びてくることが予想されますので将来性も高い職業です。

今やIT企業だけに限らず、どこの企業でもクラウドコンピューティングを始めとした業務システムを採用して、業務の効率化を図っています。

そして、そのシステムを安定して稼働させ、障害が発生した時は迅速に対応でき、また既に運用されているシステムの課題点を解決する人材は企業にとっては必要な人材です。

そのため、企業は優秀なエンジニアを喉から手が出るほど欲しがっており、企業によっては厚遇で迎えるところも少なくありません。

特に経験のあるITサービスマネージャはシステム運用のスペシャリストとしてその実力を証明できますので就職や転職時もその実力を客観的にアピールして有利に進めることができます。

勿論、定年後も経験と資格を活かして有利な条件での再転職が期待できます。