ITストラテジスト試験の難易度!ITストラテジストとして独立が可能か

ここでは、ITストラテジスト試験の概要やその難易度、また、ITストラテジストは独立に有利かなどをまとめています。

ITストラテジストとは?

ITストラテジスト試験は、国家試験である情報処理技術者試験の一つです。

旧試験であるシステムアナリスト試験と上級システムアドミニストレータ試験が統合され、ITストラテジスト試験になりました。

高度IT人材として確立した専門分野をもち、高度なIT技術を活用して企業のシステム戦略、経営戦略を統括・推進できるレベルであるかを問われる国家試験で、合格者は、超上流工程において、企業のトップマネジメントと共に、事業戦略・事業計画からシステム化計画の立案と実行を主導する戦略家としての能力を保有する者と認定されます。

ITストラテジスト試験のレベルは他の高度情報処理技術者試験と同じスキルレベル4に相当しますが、その中でもシステム監査技術者試験と並んで最高峰の試験と捉えられています。

IT系の資格では唯一、医師や弁護士などと同じ専門職(専門的知識等を有する労働者)として厚生労働大臣によって指定され、労働基準法において特例扱いの対象となっています。

人材が不足している情報処理業界において情報処理技術者は重宝されます。

その中において、ITストラテジストの有資格者は、高度なITと経営の知識を兼ね備えた者としてコンサルティング会社への就職や転職が有利になるほか、ITコンサルタントとして独立することも可能です。

ITストラテジスト 評価
受験資格 なし
就職・転職に役立つか
定年後の再就職に役立つか
独立に役立つか
難易度 かなり難しい

ITストラテジスト試験の概要

高度IT人材として確立した専門分野をもち、企業の経営戦略に基づいて、ビジネスモデルや企業活動における特定のプロセスについて、情報技術(IT)を活用して事業を改革・高度化・最適化するための基本戦略を策定・提案・推進する者。また、組込みシステム・IoTを利用したシステムの企画及び開発を統括し、新たな価値を実現するための基本戦略を策定・提案・推進する者を対象者像として試験が行われます。

受験資格

受験資格は必要ありません。

年齢、学歴、国籍、性別、実務経験等に関係なく誰でも受験できます。

試験日時

試験日時

ITストラテジスト試験は、秋の年1回実施されます。例年7月中旬から8月中旬にかけて申し込みを受け付け、10月の第3日曜日に試験が実施されます。

試験免除制度

ITストラテジスト試験の午前Ⅰ試験については、次の①~③のいずれかを満たせば、その後2年間、受験申込み時に申請することによって受験を免除されます。

  1. 応用情報技術者試験に合格する
  2. いずれかの高度試験又は情報処理安全確保支援士試験に合格する
  3. いずれかの高度試験又は情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績を得る

例えば、システム監査技術者試験や情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績をとった者は、合格しなくても、その後、2年間、受験申込み時に申請することによって、ITストラテジスト試験の午前Ⅰ試験が免除され、午前Ⅱ試験から受験することが可能です。

試験の方法と内容

試験は、午前1・2と午後1・2に分かれて下記の要領で実施されます。

試験の方法 午前Ⅰ 午前Ⅱ 午後Ⅰ 午後Ⅱ
試験時間 9:30~10:20
(50分)
10:50~11:30
(40分)
12:30~14:00
(90分)
14:30~16:30
(120分)
出題形式 多肢選択式
(四肢択一)
記述式 論述式
出題数
解答数
出題数:30問
解答数:30問
(高度試験共通)
出題数:25問
解答数:25問
出題数:4問
解答数:2問
出題数:3問
解答数:1問

午前Ⅰの試験

テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系から30問

※四肢択一問題30問×3点または4点で合計 100点

午前Ⅱの試験

テクノロジ系、ITストラテジ系から25問

※四肢択一問題25問×4点で合計 100点

  1. セキュリティ
  2. システム戦略
  3. システム企画
  4. 経営戦略マネジメント
  5. 技術戦略マネジメント
  6. ビジネスインダストリ
  7. 企業活動
  8. 法務

の8分野から出題

特に、①②③④⑥⑦ついて、高度な問題が出題されます。

午後Ⅰ・Ⅱの試験

  1. 業種ごとの事業特性を反映し情報技術を活用した事業戦略の策定または支援に関すること
  2. 業種ごとの事業特性を反映した情報システム戦略と全体システム化計画の策定に関すること
  3. 業種ごとの事業特性を反映した個別システム化構想・計画の策定に関すること
  4. 事業ごとの前提や制約を考慮した情報システム戦略の実行管理と評価に関すること
  5. 組込みシステムの企画、開発計画の策定・推進に関すること

午後Ⅰは、上記の範囲から4問出題され、2問を選択して解答します。

50点×2問で合計100点

午後Ⅱは、上記の範囲から長文問題が3問出され、うち1問を選択して解答(課題について実務体験をもとに概ね2000~3000文字程度で論述)します。

100点×1問で合計100点

ITストラテジスト試験の難易度

合格基準・合格率

合格基準

午前Ⅰ・Ⅱ、午後Ⅰともに100点満点中60点以上が基準点。

論述式の午後Ⅱは、A、B、C、Dのランクで採点され、評価ランクがA(合格水準にある)で合格となります(Aランク以外の場合は不合格)。

ITストラテジスト試験(高度情報処理試験)には以下の足切りがあります。

  • 午前Ⅰ試験の得点が基準点に達しない場合は午前Ⅱと午後の試験の採点を行わずに不合格
  • 午前Ⅱ試験の得点が基準点に達しない場合は午後Ⅰ・午後Ⅱ試験の採点を行わずに不合格
  • 午後Ⅰ試験の得点が基準点に達しない場合は午後Ⅱ試験の採点を行わずに不合格

合格率

ITストラテジスト試験の合格率は例年15%前後です。

受験手数料

5,700円

試験の難易度

ITストラテジストは、IT関連の資格の中では最も難易度が高い資格と言われており、IT系の資格では唯一、厚生労働大臣によって「専門的知識等を有する労働者」に指定されるなど、労働基準法において特例扱いの対象となっている資格です。

合格率は15%前後とさほど低くはありませんが、これは受験者のレベルが高いためです。

応用情報技術者やその他の高度情報処理試験の合格者が受験しますので、言わば、合格率においては2次試験的な意味合いを持つと考えていいでしょう。

このことを知らずに宅建や行政書士試験と同等レベルとしている資格サイトもありますが、これは誤りで、技術系資格の中では最高棒と言われている技術士と同等レベルだと言われています。

コンサルタント系資格としてよく比較されるITコーディネータや中小企業診断士より難易度は高いと言われています。

難易度: かなり難しい

合格までの学習時間の目安:1500時間

尚、合格までの学習時間の目安は、知識ゼロから合格を目指す場合です。経験やその他保有資格により目安より短期間で合格することが可能です。

ITストラテジスト試験合格者の特典

科目免除

ITストラテジスト試験の合格又は午前Ⅰに基準点以上を得れば、2年間、他の高度情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の午前Iの科目免除が受けられます。

また、ITストラテジスト試験の合格者は、

  • 弁理士試験の理工V・情報
  • 中小企業診断士試験の経営情報システム
  • ITコーディネータ試験の選択問題
  • 技術士試験の情報工学部門

などの科目免除があります。

任用資格

任用資格(にんようしかく)とは、特定の職業ないし職位に任用されるための資格のことです。

ITストラテジスト試験の合格者は以下の任用資格が与えられます。

  • 技術陸曹・海曹・空曹及び予備自衛官補(技能公募)の任用資格
  • 警視庁特別捜査官の4級職(警部補)のコンピュータ犯罪捜査官の任用資格

ITストラテジストは独立が可能か

ITストラテジストは、ITの知識に加えて、企業の経営にも精通し、経営戦略や製品・サービスの企画等、経営のさまざまな点においてアドバイスをすることができます。

時代のニーズにマッチした資格ではありますが、一般的には、ITに精通した技術者とのイメージがあり、認知度もさほど高くありません。

このため、これまでお付き合いのある企業の業務を請け負う形で独立することは可能ですが、広く経営コンサルタントとして活躍していくためには、認知度の高い中小企業診断士の資格を併せて取得するのがおすすめです。

IT関係に特化した経営コンサルタントという線で攻めれば、独立後も他の経営コンサルタントより優位に立つことができます。

現時点では、両者のダブルライセンス保持者は少なく希少価値があります。

ちなみに、ITストラテジストの資格を保有していると、中小企業診断士1次試験において経営情報システムの科目が免除になります。

但し、ITストラテジストも中小企業診断士も独占業務がありませんので、独立して安定するまでには、営業力や行動力、またコミュニケーション能力が必要となります。

ITストラテジストは定年後の再就職や独立に有利か

ITストラテジストは、企業の経営とITに精通した者として企業内でも重宝されます。

IT時代において、企業はITに精通した高度な人材を喉から手が出るほど欲しがっています。

このため、定年後でも取締役や部長クラスとして再雇用が可能となりますし、経験次第では、よりよい条件での再就職も可能となります。

また、人脈があれば、定年後の独立も可能ですし、上にも書いたように中小企業診断士などの資格を併せ持つことで経営コンサルタントとして幅広く活躍することができます。