介護に関する資格とその難易度

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高齢者が増えている日本では、介護に従事する人への需要が急速に伸びています。

現時点でも慢性的な人手不足の状態ですが、今後も高齢者は増え続けると予測されているため、2025年には約30万人、2040年には約70万人の介護職員が不足すると予測されています。

介護業界は慢性的な人材不足が続いているため未経験でも採用されやすい傾向がありますが、持っている資格に応じて仕事の範囲や待遇、昇給が変わってきます。

ここでは、介護に関する資格とその難易度などを解説しています。

介護の資格とその内容

これまで、ホームヘルパー1・2・3級、介護職員基礎研修、介護福祉士などの資格がありましたが、キャリアパスがわかりにくいということで、厚生労働省は介護の資格制度を見直して下図のように一本化しました。

介護の資格のキャリアパス

  1. 介護職員初任者研修
  2. 介護福祉士実務者研修
  3. 介護福祉士
  4. 認定介護福祉士
  5. ケアマネジャー

これにより、モチベーションを保ちながら介護の仕事を続けていけます。

以下にこれらの介護資格の内容について解説していきます。

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修は、在宅・施設を問わず、介護職として働く上で必要となる知識・技術を習得することが出来る研修です(認定資格)。

介護職員初任者研修は、未資格・未経験の方でも受講可能です。

制度変更により、ホームヘルパーの資格が廃止され、2013年4月から介護職員初任者研修がホームヘルパー2級の後継資格としてスタートしました。

介護職員初任者研修は、介護職としての入門資格なので、介護の資格としては最も簡単に取得しやすく、これから介護の仕事を始める未経験者におすすめの資格です。

無資格者でも介護業界で働けますが、訪問介護員(ホームヘルパー)として働くには、介護職員初任者研修修了などの資格が必要になります。

資格取得には、130時間の研修を終了後、筆記による修了試験(合格率はほぼ100%)に合格する必要がありますが、最短1ヵ月程度で取得できます。

介護職員初任者研修はスクールに通って修了試験をパスする必要があるため通信だけでは取得できません。まずは通学可能な範囲のスクールを複数資料請求し、比較検討する必要があります。

介護福祉士実務者研修

介護福祉士実務者研修は、介護職員初任者研修の上位資格で(認定資格)、介護の即戦力となれる資格です。

介護福祉士実務者研修も、未資格・未経験の方でも受講可能です。

介護福祉士実務者研修は、ホームヘルパー1級と介護職員基礎研修を一本化した後継資格として位置づけられており、初任者研修に比べて、より実践的な技術や知識を習得できます。

さらに、サービス提供責任者(サ責)としての仕事も可能となったり、3年の実務経験を積めば介護福祉士試験(国家資格)の受験資格も得られるようになります。

サービス提供責任者(サ責)とは、訪問介護事業所の人員基準において一定数の配置が必要な役職で、訪問介護事業所の運営の要ともいえる仕事です。

このことからも、介護福祉士実務者研修修了者への需要は多く、資格取得者は、就職・転職でもより有利になり、時給や給料も無資格者より条件が良くなります。

研修の期間は、6か月以上、450時間の授業を受ける必要がありますが、介護職員初任者研修を修了している者は、320時間、約2ヶ月ほどの期間で実務者研修を取得することができます。

尚、修了試験は義務付けされていません(スクールによっては修了試験あり)。実務者研修も、通信講座ではなくスクーリング(通学)で学ぶ必要があります。

介護福祉士実務者研修を修了することで、医療的な「たんの吸引」など、より専門的な業務も出来るようになり仕事の質も向上します。

介護福祉士実務者研修について詳しく知りたい方は下の記事を参照して下さい。

介護福祉士

介護福祉士は、介護福祉士実務者研修の上位資格で介護の唯一の国家資格です。

介護福祉士は、介護の現場におけるリーダー的役割を担います。

例年1月に行われる介護福祉士国家試験に合格することで資格を取得できます。

介護福祉士試験には受験資格があり、一定の学歴がない場合は、

  1. 実務者研修の修了
  2. 3年以上の実務経験

の2つをクリアする必要があります。

介護福祉士試験について詳しく知りたい方は下の記事を参照して下さい。

資格を取得すると介護職員を取りまとめるリーダー的存在になれるほか、生活相談員などの役職に就けるようになり給料などの待遇がアップします。

さらに、介護福祉士の資格を取って実務を5年以上経験すれば、ケアマネージャー試験の受験資格が得られ、「介護福祉士として5年の実務経験」と「 認定介護福祉士養成研修にて600時間の講義を受講していること」があれば、認定介護福祉士にもなることができます。

認定介護福祉士

認定介護福祉士は、介護福祉士の上位資格で(民間資格)、介護関連では最上位の資格です。

スタッフやチームリーダーの教育・指導・マネジメントをはじめ、各機関との連携調整や地域の方の介護サポート、また、介護計画を立案したりします。

認定介護福祉士を取得するには、

  1. 介護福祉士の資格を取得して5年以上の実務経験があること
  2. 認定介護福祉士養成研修の受講を修了すること

の2つが必要です。

認定介護福祉士養成研修はⅠ類とⅡ類に分かれており、合計で600時間の受講が必要です。

研修費用は、各介護福祉士会の会員・非会員でも大きく異なります。相場は会員で30~35万円程度、非会員で60万円程度です。

尚、認定介護福祉士資格は、5年ごとに更新手続きが必要です。

ケアマネジャー

ケアマネジャーは、2000年の介護保険法とともに誕生した介護支援専門員です。国家資格ではなく各都道府県が管轄する公的資格です。

介護を必要としている人やその家族の相談に乗り、その人の身体の状況に応じた最適な介護サービスを見極め、介護保険サービスを受けられるようにケアプランを作成したり要介護者や要支援者と市町村・サービス事業・施設をつなぐサポートを行います。

ケアマネジャーになるには、勤務先または住居地の都道府県で年に1回実施されるケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)に合格後、介護支援専門員実務研修を修了し、各都道府県に登録する必要があります。

ケアマネジャー試験には受験資格があり、

  1. 保健・医療・福祉に関する法定資格を持ち、それに基づく業務に従事した期間が通算5年以上かつ従事した日数が900日以上
  2. 介護老人福祉施設や介護老人保健施設等、特定の施設などで生活相談員、支援相談員、相談支援専門員、主任相談支援員として業務に従事した期間が通算5年以上かつ従事した日数が900日以上

のいずれかをクリアしいておく必要があります。

また、ケアマネジャーには、独立型ケアマネという選択肢があり、新たに法人を立ち上げるなどして独立開業することが可能です。

ケアマネジャー試験について詳しく知りたい方は下の記事を参照して下さい。

介護に関する資格とその難易度

介護に関する資格とその難易度は以下の通りです。

介護資格 資格の種類 資格の特徴 難易度
介護職員初任者研修 認定資格 介護職としての入門資格。130時間の研修を終了後、筆記による修了試験に合格して取得 非常に易しい
介護福祉士実務者研修 認定資格 介護職員初任者研修の上位資格。6か月以上、450時間の授業を受けて取得。試験はなし
介護福祉士 国家資格 介護福祉士実務者研修の上位資格。介護福祉士国家試験に合格して取得。実務者研修の修了と3年以上の実務経験が受験資格 易しい
認定介護福祉士 認定資格 介護福祉士の上位資格。介護福祉士の資格を取得して5年以上の実務経験があり、認定介護福祉士養成研修600時間の受講後、書類審査 やや易しい
ケアマネジャー 認定資格 ケアマネジャー試験に合格後、介護支援専門員実務研修を受講し、修了して取得。一定の職種で通算5年以上かつ900日以上の実務経験が受験資格 普通

試験自体の難易度は高くありませが、受験資格に研修を受講したり実務経験が必要だったりしますので時間と根気が必要になります。研修には費用もかかります。

介護業界はミドル世代が活躍している職場でもありますので、定年後でも働くことができます。

介護の資格には、その他にもレクリエーション介護士、認知症介護士、介護補助、介護予防、また介護事務といった認定資格がありますが、主要な資格は、ここで紹介した資格となります。

介護の仕事は資格がなくてもできますが、資格があると職場での業務内容や待遇や給与が変わったり、職場の選択肢が広がります。