ここでは、介護福祉士実務者研修の受講費用や受講内容などを解説しています。
介護福祉士実務者研修とは
介護福祉士実務者研修は、ホームヘルパー1級と介護職員基礎研修を廃止して一本化した後継資格として位置づけられています。
介護の基礎的な知識やスキルを学ぶ介護職員初任者研修のワンランク上の資格で、介護現場のリーダー的存在となるべく、質の高い介護サービスの安定的供給を目標に、より実践に役立つ専門的知識や技術を学びます。
医師や看護師のみにしか原則として認められていなかった医療的ケアである「たん吸引」や胃ろうなどの「経管栄養」の基礎知識も学ぶことができます。

2016年から介護福祉士国家試験の受験資格として、業務経験ルートで受験する場合は、「実務経験3年」と「実務者研修の取得(450時間)」が必須要件となりました。
また、事業所に必ず配置が必要とされるサービス提供責任者(サ責)を目指す方は、介護福祉士実務者研修の修了、もしくは、介護福祉士の資格取得が必要となります。
高齢化社会ということもあり、介護福祉士実務者研修の修了者は、介護保険サービスを提供する介護施設や介護事業所などから多くの需要があります。
| 介護福祉士実務者研修 | 評価 |
|---|---|
| 受験資格 | なし 但し、スクールによっては、初任者研修 を修了していないと受講できない場合もある |
| 就職・転職に役立つか | |
| 定年後の再就職に役立つか | |
| 独立に役立つか | |
| 難易度 | 試験はなし 易しい |
介護福祉士実務者研修の受講費用
保有している資格によって科目の免除があるため、受講内容や時間が異なり、費用も変わってきます。また、学ぶスクールによっても費用は変わってきます。
資格がない場合は、15万円~20万円、介護職員初任者研修を修了している場合は、10万円~15万円というのが相場です。
介護福祉士実務者研修の内容
介護福祉士実務者研修は、20科目(450時間)専門的で深い知識を学習します。
実務者研修は、初任者研修のように修了試験の実施は義務化されていませんが、スクールによっては学習程度を確認するために実施しているところもあります。
介護福祉士実務者研修の受験資格
年齢・性別・学歴・介護経験等に制限はなく誰でも研修を受けることができます。
受講科目と時間数
実務者研修の研修科目及び研修時間数は以下の20科目(450時間)です。
※印がある科目は初任者研修を取得していると免除になります。
| 分野 | 研修科目名 | 研修 時間 |
|
|---|---|---|---|
| 人間と社会 | ※ | 人間の尊厳と自立 | 5 |
| ※ | 社会の理解Ⅰ | 5 | |
| 社会の理解Ⅱ | 30 | ||
| 介護 | ※ | 介護の基本Ⅰ | 10 |
| 介護の基本Ⅱ | 20 | ||
| コミュニケーション技術 | 20 | ||
| ※ | 生活支援技術Ⅰ | 20 | |
| ※ | 生活支援技術Ⅱ | 30 | |
| ※ | 介護過程Ⅰ | 20 | |
| 介護過程Ⅱ | 25 | ||
| 介護過程Ⅲ(通学) | 45 | ||
| こころと からだのしくみ |
発達と老化の理解Ⅰ | 10 | |
| 発達と老化の理解Ⅱ | 20 | ||
| ※ | 認知症の理解Ⅰ | 10 | |
| 認知症の理解Ⅱ | 20 | ||
| ※ | 障害の理解Ⅰ | 10 | |
| 障害の理解Ⅱ | 20 | ||
| ※ | こころとからだのしくみⅠ | 20 | |
| こころとからだのしくみⅡ | 60 | ||
| 医療的ケア | 医療的ケア | 50 | |
| 合計時間 | 450 | ||
研修期間は、6カ月から1年ほどです。
尚、介護職員基礎研修や介護職員初任者研修、ホームヘルパー1級や2級の資格を持っていれば、資格に応じて共通科目の受講が免除され、受講科目数・受講時間が減ります。
| 保有資格 | 受講科目 | 受講時間 |
|---|---|---|
| 介護職員基礎研修 | 1 | 50 |
| 介護職員初任者研修 | 11 | 320 |
| ホームヘルパー1級 | 2 | 95 |
| ホームヘルパー2級 | 12 | 320 |
| 無資格 | 20 | 450 |
介護福祉士実務者研修修了者は転職に有利か
高齢化に伴い、介護業界は人手不足です。
そのため、介護業界は無資格・未経験からでも働ける求人も少なくなく、介護業界においては就職や転職に困ることは少ないのが現状です。
売り手市場ですが、特に、実務者研修は専門性が高いため、求人条件に「介護福祉士実務者研修」を必須としている求人情報も多くみられます。
従って、介護福祉士実務者研修を修了しておくと、その技術や知識、熱意をアピールすることができ、就職や転職にはより有利になる上、無資格者や初任者研修修了者と比較して給与面も優遇されます。
また、指定訪問介護事業所では「利用者数が40人に対して1人以上サービス提供責任者(サ責)を配置する義務」があります。
サービス提供責任者とは、主にケアマネージャーが立てた介護プランを基に、訪問介護サービスの計画立案やヘルパーへの指示・指導を行ったり、利用者の家族とコミュニケーションを図り、介護サービスの説明や同意を得たりする人です。
そして、サービス提供責任者を目指す場合は、その条件として、介護福祉士の資格取得、もしくは実務者研修の修了が必要となります。
さらに、3年間の実務経験を積むと1ランク上の介護福祉士の受験資格も得られます。
介護福祉士実務者研修は、介護業界で生きていく人には、必須とも言える資格です。