一級建築士試験!建築士法の改正後の受験資格や試験の難易度

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ここでは、一級建築士試験の建築士法の改正後の受験資格や試験の難易度を解説しています。

一級建築士とは?

一級建築士は、国土交通大臣から認可を受けた国家資格です。

「設計」と「工事監理」の業務を主に行い、これが建築士の独占業務ですが、いわゆる士業の中でも8士業、10士業と言われるものには属していません。

建築士の資格には、「木造建築士」と「一級建築士」、「二級建築士」の3種類と、より専門的な「設備設計一級建築士」「構造設計一級建築士」があります。

木造建築士と二級建築士には、設計や工事監理できる建物の規模と構造に制限がありますが、一級建築士には制限がありません。

木造建築士や二級建築士では取り扱うことはできない学校や病院、劇場、公共施設、商業施設、集会場、映画館、百貨店などの大規模な建造物でも一級建築士は取り扱うことができます。

そして、設備設計一級建築士と構造設計一級建築士は、一級建築士として5年以上設備又は構造設計の業務に従事した後、国土交通大臣の登録を受けた登録講習機関が行う講習の課程を修了することでなることができます。

一級建築士は、設計事務所をはじめ、ゼネコンやハウスメーカー、デベロッパーなどからの需要があります。

人手不足のため、転職をして高収入も狙えますし、住宅を中心に建築士のニーズは維持されているため、独立して事務所を構えることもできます。

一級建築士になるには、国家試験に合格し、国家資格を取得する必要があります。

一級建築士 評価
受験資格 なし
就職・転職に役立つか
定年後の再就職に役立つか
独立に役立つか
難易度 難しい

一級建築士と二級建築士の違い

免許の交付

一級建築士は、国土交通大臣が認可をして免許を交付しますが、二級建築士は、各都道府県知事が認可をして免許を交付します。

仕事の内容

一級建築士は、設計・工事監理できる建物に制限がありませんが、二級建築士は、以下のように建物の構造や規模に制限があります。

項目

内容と規模

建物の構造 木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、煉瓦造、コンクリートブロック造、無筋コンクリート造、石造の建築物
木造の建築 建物の高さが13m以下で、かつ軒の高さが9m以下。延べ面積は1,000㎡以下
木造以外の建物 建物の高さが13m以下で、かつ軒の高さが9m以下。延べ面積は300㎡以下
公共建築物 建物の高さが13m以下で、かつ軒の高さが9m以下。延べ面積は500㎡以下

試験の難易度の違い

試験の難易度も異なります。

設計・工事監理できる建物に制限がない一級建築士の方が二級建築士より難しくなりますし、収入面も有利になります。

一級建築士試験の概要

受験資格(法改正後の受験資格)

一級建築士試験は受験資格が必要です。

令和2年の建築士試験から、受験資格が改正になりました。

改正のポイント

従来、一級建築士の受験資格には、

  1. 4年制大学で指定科目を修めて卒業。2年以上の実務経験がある
  2. 3年制短大で指定科目を修めて卒業。3年以上の実務経験がある
  3. 2年制短大または専門学校などで指定科目を修めて卒業。4年以上の実務経験がある
  4. 高校を卒業後、建築科・土木科の場合は3年、そうでない場合は7年以上の実務経験があるものが二級建築士試験に合格してさらに4年以上の実務経験がある

といった要件がありました。

しかし、建築士法の改正により令和2年から、この実務経験は、受験資格ではなく免許を受けるための登録要件と変更になりました。

この改正により、

  1. 大学で国土交通大臣の指定する建築に関する科目を修めて卒業すれば、実務経験がなくても一級建築士試験を受験でき、2年の実務経験で一級建築士の免許を受けられる
  2. 短大(修業年限が3年)で国土交通大臣の指定する建築に関する科目を修めて卒業すれば、実務経験がなくても一級建築士試験を受験でき、3年の実務経験で一級建築士の免許を受けられる
  3. 短大や高等専門学校で国土交通大臣の指定する建築に関する科目を修めて卒業すれば、実務経験がなくても一級建築士試験を受験でき、4年の実務経験で一級建築士の免許を受けられる
  4. 高校で国土交通大臣の指定する建築に関する科目を修めて卒業すれば、実務経験がなくても二級建築士試験を受験でき、2年の実務経験で二級建築士の免許を受けられる
  5. 二級建築士は、実務経験がなくても一級建築士試験を受験でき、4年の実務経験で一級建築士の免許を受けられる

ようになりました。

試験日時・試験地

試験日時

試験は、年1回。

例年4月上旬から中旬にかけて願書交付・受付がなされ、例年、

  • 7月に学科試験
  • 10月に設計製図の試験

が行われます。

試験の方法と内容

一級建築士試験の方法と内容

試験は以下の要領で実施されます。

試験 出題形式 出題科目 出題数 試験時間
学科の試験 四肢択一式
(マークシート方式)
125問
学科I
(計画)
20問 計2時間
学科II
(環境・設備)
20問
学科III
(法規)
30問 1時間45分
学科IV
(構造)
30問 計2時間45分
学科V
(施工)
25問
設計製図
の試験
あらかじめ公表する課題の建築物についての設計図書の作成 設計製図 1課題 6時間30分
学科試験の免除の見直し

法改正では、学科試験の免除の見直しも行われました。

従来は、

  • 一級建築士の学科試験に合格した方は、その翌年、翌々年の設計製図試験について学科試験が免除

されていましたが、改正後は、

  • 一級建築士の学科の試験に合格した方は、同年に行われる「設計製図の試験」に不合格となった場合、次の年から4年間にわたり実施される設計製図の試験のうち2回の受験機会が与えられ、
  • また、同年に行われる「設計製図の試験」を欠席した場合は、次の年から4年間にわたり実施される設計製図の試験のうち3回の受験機会が与えられる
  • また、これらの受験機会を利用して「設計製図の試験」を受験する場合は、その年に行われる学科の試験は免除される

という内容に変更になりました。

これにより、令和2年の学科試験に合格して設計製図の試験に不合格となった場合、例えば、令和3年と令和6年の設計製図試験について学科免除で受験することができるようになります。

受験手数料

17,000円(非課税)

一級建築士試験の難易度

合格基準

明確な合格基準はありませんが、学科試験の各科目では5~6割の得点が必要で、総得点は、9割程度が合格基準とされています。

設計製図の試験は、

ランクⅠ:「知識及び技能」を有するもの
ランクⅡ:「知識及び技能」が不足しているもの
ランクⅢ:「知識及び技能」が著しく不足しているもの
ランクⅣ:設計条件及び要求図書に対する重大な不適合に該当するもの

のランクに分けられ、ランクⅠが合格とされています。

合格率

一級建築士試験の合格率は、例年、学科試験が20%前後、設計製図の試験が40%前後となっており、総合合格率が12%前後となっています。

令和元年の合格率は、学科試験が22.8%、設計製図の試験が35.2%、総合合格率が12%でした。

難易度

難易度: 難しい

合格までの学習時間の目安:1200時間