ここでは、気象予報士試験の受験資格や難易度・合格率などを解説しています。
気象予報士とは
天気予報は私たちの毎日の生活だけではなく、レジャー施設や建設業、農家や漁業、運輸業、販売業、イベント業など自然を相手にする様々な産業で重要な情報となっています。
気象予報士は、気象庁の観測データや予測データをもとに、天気や気温、湿度、降水確率などの予想を行う天気予報のスペシャリストで、気象予報士という試験に合格して名乗れる国家資格です(名称独占資格)。
天候の予測は生命に関わることもあるため、気象予報士の資格を持たない人が、業務として気象を予報することは法律で禁止されています。
需要としては、メディアでの気象解説だけでなく、天気予報の観点から建設作業時期のアドバイス、イベントでの食料・飲料水などの需要予測、船の最適航路の予測、気象予報資格に関する講師やテキスト作成といったものがありますが、絶対数は少ないのが現状。
一つには、民間気象会社には、気象予報士の資格取得者を置くことが義務づけられており(必置資格)、天気予報は、気象予報士の独占業務とされていますが、その他のメディアでの気象解説などは資格を持たなくてもできる仕事だからという点も需要が少ない要素です。
メディアでの気象解説は自ら気象予報士の資格を取得して解説している人もいますが、気象予報士が予測した台本を読んでいる人もいます。
そういう背景もあり、気象予報士は、難関試験であるにも関わらず、活躍の場は少ないとあって就職や転職に有利と言うには厳しい状況で、受験者数は年々減少傾向にあります。
気象予報士 | 評価 |
---|---|
受験資格 | なし |
就職・転職に役立つか | |
定年後の再就職に役立つか | |
独立に役立つか | |
難易度 | 難しい |
気象予報士試験の概要
気象庁長官の許可を受けて予報業務を行う民間の気象会社などは、現象の予想を気象予報士に行なわせなければならないとされています。
気象予報士試験は、それを的確にできる能力を持つことを認定するために行うものです。
気象予報士になるには、一般財団法人 気象業務支援センターが実施する気象予報士試験に合格し、気象庁長官に「気象予報士」として登録してもらうことが必要です。
気象予報士試験は、テレビのお天気キャスターなどの影響もあり、気象関連業務に携わる人はもちろん、自己啓発やスキルアップ、また、趣味で受験する方も少なくありません。
気象予報士試験の受験資格
年齢・性別・学歴に関係なく、誰でも受験できます。
試験日時・試験の方法
試験日時
試験は、年に2回。例年、
- 願書の受付が6月中旬~7月上旬になされ、試験が8月の最終日曜日
- 願書の受付が11月中旬~12月上旬になされ、試験が1月の最終日曜日に実施されます
試験時間は、
- 学科試験一般(9:40~10:40:60分)
- 学科試験専門(11:10~12:10:60分)
- 実技試験1(13:10~14:25:75分)
- 実技試験2(14:55~16:10:75分)
となっています。
試験の方法
試験は、
- 学科試験(一般と専門)
- 実技試験(1と2)
からなり、いずれも筆記試験です。
学科試験はマークシートによる多肢選択式(5者択一)、実技試験は記述式です。
試験地:北海道、宮城県、東京都、大阪府、福岡県、沖縄県
試験の内容
試験の内容は以下の通りです。
試験 | 試験科目 | 試験の内容 |
---|---|---|
学科試験 | 予報業務に関する 一般知識 (15問 60分) |
・大気の構造 ・大気の熱力学 ・降水過程 ・大気における放射 ・大気の力学 ・気象現象 ・気候の変動 ・気象業務法その他の気象業務に関する法規 |
予報業務に関する 専門知識 (15問 60分) |
・観測の成果の利用 ・数値予報 ・短期予報・中期予報 ・長期予報 ・局地予報 ・短時間予報 ・気象災害 ・予想の精度の評価 ・気象の予想の応用 |
|
実技試験 | 気象概況及びその変動の把握 | 与えられた情報をもとに気象予測を行う記述試験 実技試験1と2に分かれ、試験時間は各75分ずつ |
局地的な気象の予報 | ||
台風等緊急時における対応 |
試験の免除
学科試験に合格し、実技試験に不合格であった場合は、申請により、合格発表日から1年間学科試験が免除になります。
2科目の学科のうち、どちらか1つが合格であればその科目が免除となります。
試験は年に2回あるため、例えば、
- 8月の試験に学科の一般知識に合格
- 次の1月の試験に学科の専門知識に合格
- 次の8月に実技だけ受けて合格
といった受験の仕方が可能です。
また、気象予報士の資格を持っていると社会保険労務士試験の受験資格を満たします。
受験料
免除なし:11,400円
1科目免除:10,400円
2科目免除:9,400円
気象予報士試験の難易度
気象予報士試験の合格基準・合格率
合格基準
学科試験(予報業務に関する一般知識):15問中11問以上の正解
学科試験(予報業務に関する専門知識):15問中11問以上の正解
実技試験:総得点が満点の70%以上
※上記の基準を満たした者全員が合格する試験ではなく点数順で合格者が決まっていく試験なので調整する場合があります。
合格率
気象予報士試験の過去の平均合格率は、約5%です。
2022年度は、8,339人が受験して449人が合格。合格率は、5.4%でした。
気象予報士試験の難易度
精神保健福祉士試験の難易度: 難しい
合格までの学習時間の目安:1,000時間
気象予報士は転職・定年後の再就職に有利な資格か
社会的な影響が大きいため、ウェザーニューズなどの民間の気象予報会社は、気象予報士を配置することが義務づけられています(独占業務・必置資格)。また、気象予報士の資格を持たない人が、業務として気象を予報することも法律で禁止されています。
気象の予報自体は、メーカー、流通、運輸、農業、林業、水産業など多様な分野でニーズがありますが、民間の気象会社からデータを提供してもらって気温や降水確率など、できる限り正確な天候を予測して準備を行います。
こういった場合、民間の気象会社の気象予報士は、季節や地理的条件などさまざまな要素から総合的に予報を行います。
そういった民間の気象会社も少ないですし、今では、天気アプリでも精度の高い予報を確認できるので、気象予報士の受け皿は少なく転職や定年後の再就職に有利とは言えないのが実状です。
既にそういった場所で働いている方や趣味や自己啓発で受験する人が多い資格です。
尚、気象予報会社などで経験を積んだ後、気象コンサルタントとして独立する人もいます。