公認会計士の試験概要と公認会計士が独立開業しやすい理由

ここでは、公認会計士の試験概要と公認会計士が独立開業しやすい理由を解説しています。

公認会計士とは?

公認会計士は、監査・会計の専門家として、独立した立場において監査業務を行ったり「会計」「税務」「コンサルティング」などの業務を行う専門家です。

監査業務とは、企業や公益法人などの財務諸表を独立した第三者の立場でチェックし、財務情報の信頼性について専門家として担保したり意見を述べたりします。

監査業務は、公認会計士の独占業務です。

多くの公認会計士試験合格者は、監査補助を経験できる監査法人への就職を希望しています。

そして経験を積んだ後は、独立する会計士も少なくありません。

税理士との違い

税理士との違いは、税理士が税務の専門家であるのに対して、公認会計士は監査業務の専門家であることです。税理士は税務関連業務が、公認会計士は監査業務が独占業務とされています。

但し、公認会計士は登録して税理士として活動することも可能です。

一般的に公認会計士のクライアントは大企業や上場企業で、税理士のクライアントは中小企業や個人事業主になります。

公認会計士になるには?

公認会計士になるためには、公認会計士試験の合格し、その後、2年間の実務経験と実務補習所での単位取得を経て、最終試験(修了考査)に合格する必要があります

公認会計士の修了考査とは

公認会計士試験に合格後は、監査法人や会計を専門的に行っている企業に就職して、2年以上の業務補助経験一定期間の座学の実務補習が必要となります。

そして、実務経験と実務補習を終えた人が公認会計士として登録するために最後に受けるのが実務補習の修了試験である「修了考査」です。

修了考査は、年に一度、12月に2日間に渡って行われます。

修了考査に合格後、公認会計士の資格取得者として登録することができます。

修了考査の合格率は、65%前後で推移してきましたが、このところ下がってきており、令和2年度は49.5%という厳しい合格率でした。

公認会計士試験の概要

公認会計士試験は会計系の最高峰の国家試験で、司法試験、国家公務員1種と並んで、三大国家試験と称されることもあります。

国家試験の中では司法試験と並んで最難関の試験とされています。

試験はマークシート方式の「短答式」と「論文式」の2つで実施され、短答式試験の合格者のみ、論文式試験を受験することができます。

受験資格

短答式試験は、年齢・性別・学歴に関係なく誰でも受験できます。

試験日時・試験地

短答式試験

短答式試験は、年2回。例年、

・8月上旬~9月中旬に願書が配布され12月
・1月中旬~2月下旬に願書が配布され5月

にそれぞれ試験が行われます。

短答式試験に合格すると以後2年間は短答式試験が免除され論文式試験から受験が可能です。

論文式試験

論文式試験は、短答式試験の合格者のみ受験することができます。

論文式試験は、年1回。例年、

・1月中旬~2月下旬願書が配布され、8月中旬の3日間(11月中旬)で行われます。

論文式試験が不合格の場合でも、一部科目合格制度により合格した論文科目は、以降2年間免除されます。

試験地

平成31年度は、短答式試験、論文式試験ともに、東京都・大阪府・北海道・宮城県・愛知県・石川県・広島県・香川県・熊本県・福岡県・沖縄県で実施されました。

試験の方法と内容

短答式試験

4科目(マークシート方式による択一式試験)

科目 時間 配点
企業法 09:30~10:30(60分) 100点
管理会計論 11:30~12:30(60分) 100点
監査論 14:00~15:00(60分) 100点
財務会計論 16:00~18:00(120分) 200点
短答式試験の免除

税理士となる資格を有する者や税理士試験の簿記論及び財務諸表論の合格者及び免除者などは財務会計論が、司法試験合格者は短答式試験全体が申請により免除になります(その他あり)。

論文式試験

必須科目:会計学(財務会計論、管理会計論)、監査論、企業法、租税法

選択科目:経営学、経済学、民法、統計学の科目から1つ選択。

科目 時間 配点
1日目 監査論 10:30~12:30(120分) 100点
租税法 14:30~16:30(120分) 100点
2日目 会計学(午前) 10:30~12:30(120分) 100点
会計学(午後) 14:30~17:30(180分) 200点
3日目 企業法 10:30~12:30(120分) 100点
選択科目 14:30~16:30(120分) 100点
論文式試験の免除

税理士となる資格を有する者は租税法、不動産鑑定士試験合格者は経済学または民法、司法試験合格者は企業法及び民法が申請により免除になります(その他あり)。

合格基準・合格率

合格基準

短答式試験の合格基準は、総点数の70%(500点満点中350点)を基準として、公認会計士・監査審査会が相当と認めた得点比率。

論文式試験の合格基準は、52%の得点比率(偏差値52.00)を基準として、公認会計士・監査審査会が相当と認めた得点比率。但し、一科目40%に満たない場合、不合格になる場合もあります。

合格率

短答式試験の合格率が、25%ほどで、論文式試験の合格率が、35%ほどです。

受験手数料(平成30年実績)

19,500円

難易度と合格までの時間の目安

難易度: 非常に難しい

合格までの学習時間の目安:3500時間

公式サイト

公式URL:日本公認会計士協会

公認会計士が独立開業しやすい理由

公認会計士試験に合格後は、監査法人などの企業に就職することになりますが、監査法人などが相手にするクライアントは殆どが上場している会社です。

そして、監査法人などの組織から飛び出して独立する場合、いきなり個人で上場している会社と取引することは現実的ではありません。

そこで、多くの公認会計士は独立すると中小の監査法人と業務受託契約を結んだり、一人でもできる税務業務を業務の一つに取り込んだりします。

税務業務は税理士の独占業務ですが、実は、公認会計士になると税理士と行政書士にも登録することができ、税理士の独占業務である税務業務も行えるようになります。

公認会計士が税務業務を中心とした独立をする場合は、税理士と競争することになり、税理士同様、クライアント獲得のための営業活動が必要になります。

ただ、公認会計士は監査の非常勤の仕事もありますので、それをやりながら独立の準備ができることを考えると税理士よりも独立しやすいと言えるかもしれません。

非常勤の仕事とはいえ、日給3万円からと高額ですので、積極的に活動すればそれだけでも十分な収入になります。公認会計士の特権です。

また、仮に独立してうまくやっていけない場合でも監査法人や会計事務所に戻れるというのも公認会計士の強みでもあります。

独立して成功するためには、業務の遂行能力はもちろん、営業力・集客力が必要になります。

例えば、税務業務を中心とした独立をする場合は、税理士会や商工会議所が提供する無料相談会への参加や他の士業との異業種交流会などに積極的に参加することも有効ですし、近年はインターネットによる集客も欠かせません。

また、ネットには、税理士を探している人と税理士を結びつける税理士マッチングサイトや税理士の仕事・案件を探すサイトなどのサービスもありますのでそれらを活用するのも有効です。

定年後の独立が可能か

定年退職後に公認会計士の資格を取得して独立するということも不可能ではありません。

専門的で高度な仕事なので、全くの未経験者がシニアから資格取得を目指し、定年後に独立するというのは非現実的ですが、会計事務所に勤めている人などが若いうちから資格取得を目指し、シニアになって資格を取得し、定年後に独立といったことは当然可能です。

中堅中小の監査法人や中堅の税理士法人からのニーズは常にありますし、近年は、50代以降のシニアの方への需要も増えてきています。

いずれにしても資格だけではなく経験も必須です。