ここでは、応用情報技術者試験とはどういう資格か、応用情報技術者は転職や再就職に有利か、また、応用情報技術者試験の内容や難易度などを解説しています。
応用情報技術者とは?
応用情報技術者は、高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者として経済産業省から認定された人です。
経済産業省が認定している情報処理技術者試験の応用情報技術者試験に合格することで応用情報技術者の水準であることが認定されます。
この試験区分の歴史は長く、昭和45年から平成12年まで第一種情報処理技術者試験、平成12年から平成20年までソフトウェア開発技術者試験として試験が実施されていました。
応用情報技術者試験のレベルは、情報処理技術者試験の3(ミドルレベル)に相当しますが、専門に特化せずIT技術者としての総合力を問われる試験としては、最難関クラスの試験です。
応用情報技術者は、技術から管理、経営まで、幅広い知識と応用力を持ち、システム設計や開発などの局面で、上位者の方針を理解し、目的の達成のために自ら高いパフォーマンスを発揮することができる人材として高いニーズがあります。
合格者後、仕事を通して自分の得意とする分野を見つけ、より専門性の高い高度レベル4に相当する高度情報処理技術者試験を目指してもいいでしょう。
応用情報技術者試験 | 評価 |
---|---|
受験資格 | なし |
就職・転職に役立つか | |
定年後の再就職に役立つか | |
独立に役立つか | |
難易度 | 難しい |
応用情報技術者試験の概要
受験資格
受験資格は必要ありません。
年齢、学歴、国籍、性別、実務経験等に関係なく誰でも受験できます。
試験日時
応用情報技術者試験は年2回(春期、秋期)実施されます。
春期試験・秋期試験
春期試験は、例年1月中旬から2月中旬にかけて申し込みを受け付け、4月の第3日曜日に試験が実施されます。
秋期試験は、例年7月中旬から8月中旬にかけて申し込みを受け付け、10月の第3日曜日に試験が実施されます。
春期試験、秋期試験ともに、
- 午前9:30~12:00(150分)
- 午後13:00~15:30(150分)
に分けて実施されます。
試験の方法と内容
試験は、午前と午後に分かれて下記の要領で実施されます。
試験の方法 | 午前 | 午後 |
---|---|---|
試験時間 | 9:30~12:00 (150分) |
13:00~15:30 (150分) |
出題形式 | 多肢選択式 (四肢択一) |
記述式 |
出題数 解答数 |
出題数:80問 解答数:80問 |
出題数:11問 解答数:5問 |
午前の試験
四肢択一80問(80問×1.25点で合計 100点)
- テクノロジ系(約50問)
- マネジメント系(約10問)
- ストラテジ系(約20問)
午後の試験
記述式:11問中5問解答(必須1科目+選択4科目)
必須:情報セキュリティ1問
選択:以下10問の中から4問を選択して回答
- 経営戦略・情報戦略・戦略立案・コンサルティングの技法
- システムアーキテクチャ
- IT サービスマネジメント
- プロジェクトマネジメント
- ネットワーク
- データベース
- 組込みシステム開発
- 情報システム開発
- プログラミング
- システム監査
合格基準・合格率
合格基準
午前・午後ともに60%以上が基準点。
午前試験で不合格となった場合、午後の解答は採点されません(足切り制度)。
基準点を満たした者の中から20%程度が合格となります。
合格率
例年20~25%前後。
令和4年度秋期は、36,329人が受験して9,516人が合格。合格率は、26.2%でした。
合格率だけ見るとさほど難しくなさそうに思いますが、応用情報の受験者は基本情報技術者試験の合格者レベルのエンジニア実務経験者が殆どです。基本情報技術者試験と比較すると難易度が大幅にアップします。
受験手数料
7,500円
応用情報技術者試験の難易度
難易度: 難しい
合格までの学習時間の目安:1000時間
情報処理技術者試験は、通信講座が殆どありませんので独学で学習する必要がありますが、独学でも十分に合格が可能です。
試験も年2回となり合格するチャンスもまた合格率も上がってきていますので以前よりは取得しやすい資格になっているようです。
応用情報技術者試験のおすすめ講座
応用情報技術者試験は、独学でも合格は可能ですが、効率的に学習するには講座を利用するのがおすすめです。
情報処理技術者試験は制度や資格の名称や内容がコロコロ変わるため、講座を開講するところは少ないのが現状です。
その中でも近年伸びてきているのが、スキマ時間で資格を取る!をキャッチフレーズとしているスタディングです。
応用情報技術者試験合格者の試験免除の特典
応用情報技術者試験の合格者は、合格の日から2年間、高度情報処理技術者試験の午前Ⅰの科目が免除されるほか、
などの特典があります。
この試験免除の特典は、応用情報技術者試験の前身である第一種情報処理技術者及びソフトウェア開発技術者の合格者も対象になります。
応用情報技術者は転職に有利か
実は、近年、IT業界では人手不足と大量の人余りが同時発生していると言われています。
これはどういうことかと言うと、新しい技術に対応できる優秀な人材は不足しているものの、そうでない技術者が大量に余っているということです。
つまり、企業は優秀な人材を欲しています。
そして、それを証明できる一つの手段が情報処理技術者試験の合格証という訳です。
IT業界で働いていた私も、この資格(当時は第一種情報処理技術者と言ってました)を40年近く前に取得しましたが、20代の転職では随分と役に立ちました。
この資格が転職に非常に役立った経験があるため、応用情報技術者の資格を保有していると就職や転職で非常に役に立つと言いたいところですが、現在は、試験が年2回になり、合格率もアップしていますので、希少価値も少なくなってきているようです。
しかも、現在は上位の試験としていくつもの高度試験も出来ており、応用情報技術者の資格がIT業界で果たしてどれくらいの効力があるのか気になるところです。
現在は、試験制度も大きく異なっているので改めて色々と調べてみましたが、結論的には、現在でもそれなりの評価があり、控えめに言っても就職や転職にも有利であることが分かりました。
この資格を持った人の転職活動の実体験として、役に立たなかったという記事は殆ど見当たらず、殆どの人が役に立ったと述べています。
高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者というのが対象者像で、決して易しい試験ではないので、高い評価を受けるのは当然です。
特にIT業界は需要が多く人手不足なので、応用情報技術者の資格を保有して転職に困るということは無いでしょう。
結論として、人材が不足している情報処理業界において情報処理技術者は重宝されますが、特にミドルレベルである応用情報技術者以上の資格保有者は転職でもより有利に働くと言えます。
応用情報技術者は定年後の再就職に役に立つか
応用情報技術者が定年後の再就職に役立つかという点は、経験者であれば、という条件付きでやはり有利になります。やはり情報処理技術者だけでなく技術者は経験がものをいう職業です。
未経験者がこの資格を取得して定年後の再就職に役立つかといえば全く役に立たないでしょう。未経験者は知識はあっても実務にはついていけません。
しかし、経験者が資格を持つと一定の実力を証明できます。
資格取得者は、定年後の再就職だけでなく、社内でも一定の評価を受け、定年後の再雇用に役に立ちますので、応用情報技術者はIT業界に身をおく人には是非取得してほしい資格です。
そして、定年後の再就職をよりよい条件で実現させるためには、高度レベルの資格取得を取得するのがおすすめです。専門性の高い技術者として好条件で迎え入れらる可能性があります。