ここでは、消費生活アドバイザー試験の概要や難易度・合格率などを解説しています。
消費生活アドバイザーとは
消費生活アドバイザーは、内閣総理大臣及び経済産業大臣の事業認定を受けた民間資格です。経済産業省の事業認定を受けた一般財団法人日本産業協会が試験を実施します。
消費生活アドバイザーは、主に企業や行政機関、各種団体等の消費者関連部門に所属し、消費者の苦情相談等に対して迅速かつ適切にアドバイスしたり、消費者の生の声や消費者動向を把握して、商品やサービス等の開発、改善に反映させるのが主な仕事です。
平成28年度からは、消費生活アドバイザー試験は国家資格である消費生活相談員資格試験を兼ねるものとされ、消費生活アドバイザー試験の合格者は、消費生活相談員資格も同時に取得することができるようになりました。
民間資格を取得すると国家資格も同時に取得できる珍しい資格です。
さらに、消費生活アドバイザー資格の第1次試験第1時限において、所定の成績をおさめた者は、お客様対応専門員(CAP)資格の合格者としても認定されます。
消費生活アドバイザーの資格取得者は、行政機関の消費生活相談員としてや、企業のお客様相談室やコールセンター、マーケティング部門、コンプライアンス部門などで働いており、一部はボランティアとして地域社会で高齢者支援等の活動をしています。
消費生活アドバイザーと消費生活相談員との違い
消費生活アドバイザーは民間資格ですが、消費生活相談員は国家資格です。
どちらも消費者の相談に答える仕事ですが、一般的に消費生活アドバイザーは民間企業で、消費生活相談員は国や地方公共団体が設置する消費生活センターや国民生活センターで働きます。
特に、メーカーなどで働く消費生活アドバイザーは商品やサービスの苦情などをもとに販売戦略などについても携わることができます。
また、消費生活アドバイザーは5年毎の更新がありますが消費生活相談員は更新はありません。
消費生活アドバイザー | 評価 |
---|---|
受験資格 | なし |
就職・転職に役立つか | |
定年後の再就職に役立つか | |
独立に役立つか | |
難易度 | 普通 |
消費生活アドバイザー試験の概要
消費生活アドバイザー試験は、一般財団法人日本産業協会が主催しています。
消費生活アドバイザー試験の受験資格
年齢・性別・学歴等に制限はなく誰でも受験できます。
試験日時・試験の方法
試験日時
試験は年に1回、第1次試験と第2次試験に分けて実施されます。
例年、7月から8月末にかけて願書が受付され、10月に第1次試験、12月に第2次試験が実施されます。第1次試験は指定された4日間から都合のいい日を選んで受験できます。
平成23年度の第1次試験は、
- 10月14日(土)13:30-15:30
- 10月15日(日)10:00-12:00
- 10月21日(土)10:00-12:00
- 10月22日(日)13:30-15:30
平成23年度の第2次試験は、
- 12月10日(日)10:00-11:00 論文試験
- 論文試験終了後、11:20から19:00 の間に10分程度の個人面接
で実施。
面接試験の予定時刻は第2次試験受験票に記載されます。
試験の方法
第1次試験は、全30問:択一および○×式(CBT試験)
第2次試験は、論文(筆記試験)と面接試験
試験地
第1次試験は、全国の都道府県
第2次試験は、札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の指定会場
試験の内容
第1次試験
- 消費者問題
- 消費者のための行政・法律知識
(1) 行政知識
(2) 法律知識 - 消費者のための経済知識
(1) 経済一般と経済統計の知識
(2) 企業経営一般知識
(3) 金融の知識
(4) 生活経済
(5) 地球環境問題・エネルギー需給 - 生活基礎知識
(1) 医療と健康
(2) 社会保険と福祉
(3) 衣服と生活
(4) 食生活と健康
(5) 快適な住生活
(6) 商品・サービスの品質と安全性
(7) 広告と表示
第2次試験
論文試験
次の論題から1題を選択して論述(800字以内)
- 消費者問題
- 法律知識
- 企業経営一般知識
面接試験
面接委員による個人面接
消費生活アドバイザー及び消費生活相談員として必要な、見識、相応しい態度、積極性、コミュニケーション能力等の審査
試験の免除
前年度の第1次試験に合格し、第2次試験に不合格となった方は、申請により今年度の第1次試験が免除されます。
受験料
受験手数料:通常受験:16,500円 第1次試験免除:13,200円
消費生活アドバイザー試験の難易度
消費生活アドバイザー試験の合格基準
第1次試験
原則として、全30問(300点)のうち正解率65%(195点)以上が合格基準
第2次試験
論文試験
消費生活アドバイザー及び消費生活相談員として必要な、出題の理解力、課題の捉え方、表現力等の審査において、5段階評価(A~E)のC以上
面接試験
消費生活アドバイザー及び消費生活相談員として必要な、見識、相応しい態度、積極性、コミュニケーション能力等の審査において、面接委員の総合評価が3段階評価(A~C)のB以上
消費生活アドバイザー試験の合格率
第1次試験
第1次試験の合格率は、40%前後です。
令和4年は、1,415人が受験して522人が合格。合格率は、36.9%でした。
第2次試験
第2次試験の合格率は、65%前後です。
令和4年は、680人が受験して478人が合格。合格率は、70.3%でした。
第1次・第2次試験を通して合格率は、30%前後です。
消費生活アドバイザー試験の難易度
消費生活アドバイザー試験の難易度: 普通
合格までの学習時間の目安:300時間
消費生活アドバイザーは転職や定年後の再就職に有利な資格か
お客様からのクレームや相談に対応する人材を確保するという性質上、求人は大手企業や自治体に限られるため地方においては消費生活アドバイザーとしての求人は少な目です。
しかし、資格を取得すると消費生活アドバイザー人材簿に登録することができ、採用を希望する企業が日本産業協会へ照会し、就職につながるという流れも期待できます。
日本産業協会では人材募集情報も掲載しています。
行政機関の消費生活相談員のほか、大手企業では生命保険会社や証券会社、通販会社、家電メーカーなどで需要があり、中には有資格者を優遇する求人もありますが、資格がないとできない仕事でもないので、採用時の面接を重視する企業もあります。
とはいえ、消費生活アドバイザーに需要があるのは相談員としてだけではありません。
消費者目線に立った商品・サービス開発を助言を行い、ニーズに応えることができるため、商品やサービスを開発・提供する会社・部署にも需要があります。
そういう意味においては、資格取得者には多彩な活動の場があります。
また、この資格は定年後の再就職においても役に立つ場合があります。
専門知識と豊かな生活経験を持った人材を求めている消費生活センターもあるので、有資格者は定年後の再就職で有利になる場合もあります。