税理士試験の概要と独立開業にあたっての留意点

ここでは、税理士試験の概要と独立開業にあたっての留意点を解説しています。

税理士とは?

税理士は、企業や個人に対して、税務処理のサポートをしたり、税金に関するアドバイスをしたり、また、依頼者に代わって税務署と折衝をしたりする税務の専門家です。

企業や個人経営者など納税者の依頼を受けて、書類作成や税務申告の代理、税金に関する税務相談の業務を行うほか、税務調査時の立会いなども担当し、税務署の処分などが不服である場合は、異議申し立てや審査請求の手続きを行って納税者の権利を守ります。

  • 納税者の代わりに確定申告を行う「税務代理」
  • 確定申告書などの作成を行う「税務書類の作成」
  • 納税者の税金に関する相談を受ける「税務相談」

は税理士の独占業務です。

資格取得後は、企業内税理士として活躍する人も増えていますが、ほとんどの人が税理士事務所などで経験を積んだ後、独立開業を果たしています。

公認会計士との違い

公認会計士との違いは、公認会計士が監査業務の専門家であることに対して、税理士が税務の専門家であることです。

公認会計士は監査業務が、税理士は税務関連業務が独占業務とされています。

税理士になるには?

税理士になるためには、次にいずれかに該当する者が税理士会に登録する必要があります。

そして、①②に該当する者は、2年以上の実務経験があることが必要です。

  1. 税理士試験に合格した者
  2. 試験科目の全部について、法律の規定により税理士試験を免除された者
  3. 弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む。)
  4. 公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む。)

税理士試験の概要

税理士試験は、必須科目である会計系の簿記論、財務諸表論と法学系である法人税や所得税、消費税、資産税、国税徴収法などの中から3科目を選択して合計5科目に合格する必要があります。

一般的には、科目合格(1科目~3科目)時点で税理士法人や会計事務所等へ就職・転職をし、働きながら残りの科目の合格を目指します。

受験資格

税理士試験は受験資格が必要です。

主な受験資格は以下の通りです。いずれかに該当すれば受験できます。

  1. 大学・短大・高等専門学校を卒業し、法律学または経済学を1科目以上履修した人
  2. 大学3年次以上で、法律学または経済学を1科目以上含む62単位以上取得した人
  3. 専修学校の専門課程を修了した者等で、これらの専修学校等において法律学又は経済学に属する科目を1科目以上履修した者
  4. 司法試験合格者
  5. 公認会計士試験の短答式試験に合格した人
  6. 日商簿記検定1級または全経簿記検定上級に合格した人
  7. 税務官公署の事務またはその他官公署の国税・地方税事務に2年以上従事した人
  8. 法人または事業を行う個人の会計事務に2年以上従事した人
  9. 銀行・信託会社・保険会社などで、資金の貸付・運用事務に2年以上従事した人
  10. 税理士・弁護士・公認会計士などの補助事務に2年以上従事した人

その他、公認会計士試験短答式試験全科目免除者や、会計士補、会計士補となる資格を有する者、弁理士・司法書士・行政書士・社会保険労務士・不動産鑑定士等の業務を行っている者、国税審議会より受験資格に関して個別認定を受けた者などにも受験資格が与えられます。

試験日時・試験地

試験日時

試験は、年1回。

例年5月中旬に願書交付・受付がなされ、8月上旬に試験が実施されます。

試験の方法と内容

試験科目は全部で11科目。そのうち5科目を受験・合格する必要があります。

税理士試験は科目合格制を採用しているため、1年で全ての試験科目に合格する必要はなく、複数年で5科目を合格すればよいことになっています。

合格した科目に関しては生涯にわたって有効です。

日程 試験科目 科目選択
1日目 簿記論
財務諸表論
酒税法または消費税法
・簿記論、財務諸表論の2科目は必須
・酒税法または消費税法、法人税法、所得税法、相続税法、固定資産税、国税徴収法、事業税または住民税のうち3科目を選択(但し、法人税法、所得税法のうち最低1科目を選択:2科目選択も可)
2日目 法人税法
所得税法
相続税法
3日目 固定資産税
国税徴収法
事業税または住民税

受験手数料(平成30年実績)

1科目:4,000円(1科目追加ごとに1,500円追加)

合格基準・合格率

合格基準

各科目で満点の60%を得点すると合格。

合計5科目に合格すると税理士試験合格となります。

合格率

税理士試験の合格率は科目によってばらつきがありますが、例年10~15%前後(全科目合格者ではなく科目ごとの合格率平均)で推移しています。

税理士試験の難易度

難易度: 非常に難しい

合格までの学習時間の目安:3000時間

税理士として独立開業にあたっての留意点

税理士は数ある資格の中でも最も独立しやすい資格と言えます。

日本では申告納税方式を採用しているため、所得税・法人税・相続税などの税金は、自分で税務署に申告して納税しなければなりません。

しかし、税法や税金の計算は複雑で、知識のない個人が自分だけで申告と納税を行うことは難しいのが現実です。

潜在需要への的確なアプローチで独立後も安定

特に近年は、インターネットでを使ったビジネスや副業で収入を得ている人が増えており、納税のことで悩まれている方は多いと言います。

しかし、このような隠れた需要があるとはいえ、今の時代は税理士といえども、開業すれば仕事が舞い込んでくるという時代ではありません。

これは潜在している需要に的確にアプローチできていないのが一つの要因と考えられます。

開業税理士として成功するためには、税理士としての能力はもちろん、他の士業と同様、営業力・集客力が必要になります。

例えば、税理士会や商工会議所が提供する無料相談会への参加や他の士業との異業種交流会などに積極的に参加することも有効ですが、近年は上記のような顧客をターゲットにしたインターネットによる集客が有効です。

今は、税理士を探すにしてもまずはインターネットで検索する人が多いようですので、ホームページを開設しておくことは必須。

開設しておくだけで半永久的に営業をしてくれますし、自分の得意分野・専門分野をアピールしたり、ブログを書いたりできますので何よりも強い営業ツールになります。

やり方次第で殆どお金をかけずにホームページが作れ、色々な検索需要に対応することができますので費用対効果の高い集客方法です。

また、ネットには、税理士を探している人と税理士を結びつける税理士マッチングサイトや税理士の仕事・案件を探すサイトなどのサービスもありますのでそれらを活用するのも有効です。

得意分野を持つ

税務に関する業務には様々なものがあります。

他の税理士と差別化を図るには、得意分野を持ち、それをアピールしていく必要があります。

例えば、近年は、法律が改正されて相続税の基礎控除額が大幅に縮小されたことで、相続税・贈与税対策を検討する人も増えてきました。

こういう人たちの相続税や贈与税の負担を軽くして、円満な相続を実現できることをアピールすることで安定した需要が見込めます。

定年後に独立する場合

定年後に税理士として独立する場合は、それまで税理士事務所や経理関係の仕事をしていた場合は別ですが、他の士業と同様、55歳くらいまでに資格を取得し、税理士事務所で2年~3年の実務経験を積む必要があります。

私が自営業時代にお世話になっていた税理士さんは、税理士事務所に勤めていた50歳くらいの時から受験勉強をはじめ58歳でめでたく合格。

すぐに私を含めた顧客を引き継いだまま独立しました。その後2人の事務員を雇い、10年以上経った今でも現役で頑張られています。ちなみに女性の方です。

税理士は定年後、独立しても十分やっていける資格です。