全国通訳案内士の難易度や合格率

ここでは、全国通訳案内士とはどういう職業か、全国通訳案内士になるにはどうしたらよいか、また、試験の内容や難易度などを解説しています。

全国通訳案内士とは?

全国通訳案内士は、英語関連の資格では国土交通省の認定を受けた唯一の国家資格で、日本を訪れる外国人観光客を相手に通訳や観光案内を行う通訳のスペシャリストです。

昨今のインバウンドの盛り上がりで徐々に知名度を増してきており、それと同時に、現在増えている外国人観光客に対応するため、平成30年に通訳案内士制度は大きく変わりました。

平成30年1月4日に改正通訳案内士法が施行され、「通訳案内士」の名称は「全国通訳案内士」と変更。通訳案内士の業務独占規制も廃止され、資格を持たない方でも、有償で通訳案内業務を行えるようになりました。

しかし、資格を取得すると旅行業界への就職・転職で優遇されるだけでなく、不定期で依頼を受けることも優先される現状があります。

尚、全国通訳案内士と名乗れるのは全国通訳案内士の国家試験に合格し、都道府県の登録を受けた人のみという名称独占は残ります。

全国通訳案内士になるには?

全国通訳案内士になるには、国家資格である全国通訳案内士試験に合格し、都道府県に名前や住所を登録する必要があります。

全国通訳案内士試験では語学力はもちろんのこと、日本の地理や歴史、産業、文化など幅広い知識が問われます。

尚、全国通訳案内士には、旅程管理の実務や災害時の対応等の通訳案内士が実務において求められる知識について、登録研修機関が行う研修「登録研修機関研修」を5年ごとに受講することが義務づけられています。

全国通訳案内士試験の概要

全国通訳案内士試験は、全国通訳案内士として必要な知識及び能力を有するかどうかを判定することを目的として毎年1回実施されます。

受験資格

年齢・性別・学歴・国籍に関係なく、誰でも受験できます。

試験日時

例年5月から6月にかけて願書が配布・受付され、

・8月の第3日曜日に筆記試験(1次試験)
・12月の第2日曜日に口述試験(2次試験)

が実施されます。

口述試験は、筆記試験に合格した方が受験できます。

試験の方法と内容

筆記試験(1次試験)

試験科目 試験時間
午前 英語(マークシート方式)
中国語、韓国語(記述式とマークシート方式)
その他フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語などから一つを選択
120分
午後
マークシート方式
日本地理 40分
日本歴史 40分
産業・経済・政治および文化に関する一般常識 20分
通訳案内の実務 20分

口述試験(2次試験)

2次試験(口述試験)は、筆記試験(1次試験)に合格した方が受験できます。

2次試験の試験時間は、筆記試験の結果通知で知らせられます。

約10分間の口述試験では、

  1. プレゼンテーション
  2. コミュニケーション(臨機応変な対応力、会話継続への意欲等)
  3. 文法及び語彙
  4. 発音及び発声
  5. ホスピタリティ

を評価項目として評価します。

受験手数料

11,700円(税込)

科目の免除

以下の条件を満たしたものは、特定の科目が免除になります。

平成30年度実施の試験から、業務独占規制の廃止により、質の高い通訳案内士を確保する観点から、通訳案内士試験(筆記)の免除対象の基準の引き上げや資格の有効期限の設定などについて見直されました。

条件 免除科目
前年の1次試験で合格点に達した科目がある場合は、翌年の受験時にその科目の免除。但し、「通訳案内の実務」の受験は必要 その科目の免除
実用英語技能検定1級、TOEIC(900点以上)、TOEICスピーキングテスト(160点以上)、TOEICライティングテスト(170点以上)
※試験日から1年以内
英語科目
地理能力検定日本地理1級、地理能力検定日本地理2級 日本地理
歴史能力検定日本史1級、歴史能力検定日本史2級 日本歴史
大学入試センター試験(日本史B)60点以上※試験日より5年以内 一般常識
過去の通訳案内士試験合格者が、さらに他の外国語による通訳案内士試験を受ける。但し、「通訳案内の実務」の受験は必要 外国語以外の科目

公式サイト

公式URL:日本政府観光局(JNTO)

全国通訳案内士の難易度・合格率

全国通訳案内士の合格基準・合格率

合格基準

筆記試験の合格基準は、以下の通りです。

試験科目 全体の特典 合格基準点
英語
中国語、韓国語
その他
100 70
日本地理 100 70
日本歴史 100 70
産業・経済・政治および文化に関する一般常識 50 30
通訳案内の実務 50 30

口述試験の合格基準は、従来の6割から7割に変更になりました。

合格率

2018年の英語の試験でいうと、

・筆記試験(1次試験)の合格率は25.2%(5,754人中1,450人合格)
・口述試験(2次試験)の合格率は43.1%(1,355人中584人合格)

で、最終合格率は、10.1%でした。

全体的には、最終合格者は9.8%でした。

2016年は23.8%あった合格率は年々が下がってきています。

さらに、観光客が増加している中国の中国語に目を向けると最終合格率は、7.9%とさらに狭き門となっています。

全国通訳案内士の難易度

難易度: 難しい

合格までの学習時間の目安:1,000時間

全国通訳案内士の試験が例えば他の英語の試験と比べてどれくらい難しいのかということが話題になります。

全国通訳案内士の試験は、英検やTOEICといった試験にはない一般常識や日本の地理・歴史といった知識が問われますので比較が難しいとされていますが、英語力としては、従来まで、

  • TOEICでは800点
  • 英検では準1級

レベルとする声がありました。

しかし、平成30年度実施の試験から通訳案内士試験(筆記)の免除対象の基準の引き上げや資格の有効期限の設定などについて見直されたこともあり、少し難易度が上がったように感じます。それは合格率の低下にも表れています。

また、たとえ、英語のレベルがこれらに達していても一般常識や日本の地理・歴史も決して易しい問題とは言えず、一通り勉強していなければなりません。

そういった意味からしてもかなり難易度の高い試験と言えます。

全国通訳案内士の資格取得後の働き方

全国通訳案内士の国家資格を取得した後は、観光関連企業やグローバル企業などからの需要も少ないこともあり、就職するよりフリーランスとして独立して仕事をする人がほとんどです。

そして、フリーランスで活躍している全国通訳案内士の多くは、「日本観光通訳協会(JGA)」という一般社団法人に登録(年会費)し、そこからガイドの仕事を斡旋してもらっています。

日本観光通訳協会(JGA)は、全国通訳案内士に無料で仕事を紹介するほか、エージェントとのマッチング会を開催したり、ガイド検索システムを提供したり、また、ガイディングに役立つ会誌を発行したりなど、全国通訳案内士の活動を支援しています。

とはいえ、需要は思うほど多くないのが現実。

新型コロナウイルスが流行する前でも通訳案内士の年間就業日数は30日以下が半数以上と言われており、年収も半数の人が200万円以下と言われています。

そのため、日本観光通訳協会(JGA)に登録している人はシニアの人が多く、外国語に関係した仕事をしていた人が定年退職後に、副業として働いている人が殆どのようです。

女性の方も多く活躍しています。

全国通訳案内士として独立してやっていくには、積極的に営業活動を行い、実績を積み重ねていくことが重要です。