筋トレといってもジムに通って重いバーベルを持ち上げる必要はありません。
家の中でも腕立て伏せや腹筋、スクワットなどで十分に筋トレができます。
実は、筋トレには体を鍛えるだけでなく精神にも好影響を及ぼす作用があります。
むしろ、精神への好影響の方が高いとも言えるでしょう。
ここでは、趣味の筋トレについて、その効果を紹介しています。
特に定年退職後は運動不足になりがちで老化が進んでしまいますので、意識して筋トレを日常に取り入れることをおすすめします。
筋トレの効果
筋トレには、以下の効果が期待できます。
- 筋肉量が増えて見た目が変わる
- 加齢による運動機能の低下や病気を予防する
- テストステロン(男性ホルモン)の分泌を促す
- セロトニンの分泌を促す
- ドーパミンの分泌を促す
- 成長ホルモンの分泌を促す
- BDNFを活性化する
- 睡眠の質が高くなる
一つずつ見ていきます。
筋肉量が増えて見た目が変わる
言うまでもなく、筋トレをすると筋肉量が増えて、見た目がたくましくなります。
そして見た目がたくましくなればメンタル面でも自信がつきます。
加齢による運動機能の低下や病気を予防する働きがあるだけでなく、脂肪を落とし、メタボ体系を解消したり、ダイエット効果も期待できるので男性だけでなく女性にもおすすめです。
わざわざジムに行って重いバーベルやダンベルを上げなくても、家で、腕立て伏せや腹筋、スクワットなどを続ければ同じような効果が期待できます。
少し本格的にやりたい場合は、ダンベルを別途購入してもいいでしょう。
特にシニアの方は、足腰を鍛えるスクワットがおすすめです。
身体の中で最も筋肉量が多い太ももの筋肉量を増やせば基礎代謝が上がり、メタボ対策にもなりますし、引き締まった身体になります。
筋トレは加齢による運動機能の低下や病気を予防
筋トレには、加齢による運動機能の低下や病気を予防する働きがあります。
例えば、筋トレは骨を丈夫にし、骨粗しょう症を予防できるということは有名ですが、骨量減少で怖いのは骨折だけではないことが指摘されています。
少し、専門的になりますが、アメリカのコロンビア大学のジェラール・カーセンティ博士の研究によれば、骨の中から血管を通じて全身に届けられる「骨芽細胞」が出すメッセージ物質「オステオカルシン」には、記憶力や筋力、さらには生殖力まで若く保つ力があるとされています。
また、ドイツ、ウルム大学のハームット・ガイガー博士は、「骨芽細胞」が出す別のメッセージ物質「オステオポンチン」が減少すると、骨髄内で生まれる免疫細胞の量が低下することをつきとめています。
つまり、骨量が減少すると骨芽細胞が出すこれらの物質が減少し、記憶力や筋力、生殖力が老化し、免疫細胞の量も低下するという訳です。
中年男性を対象に1年間、骨に刺激を与える筋トレやジャンプトレーニングをさせた実験によれば、骨形成を阻害するタンパク質「スクレロスチン」が減少し、逆に骨形成を促進する「IGF-1」の分泌が増加することもわかっています。
テストステロンの分泌を促す
筋トレをするとテストステロンの分泌が促進されます。
テストステロンとは男性ホルモンの一種です。
テストステロンが増えると、男性機能を向上させるだけではなく、精神にもいい影響を与え、やる気やチャレンジ精神、闘争心をアップさせ、男性らしい精神を作ります。
男性ホルモンは加齢に伴い徐々に分泌量が減少していきますが、筋トレや睡眠、栄養などで減少を食い止めることができます。
テストステロンの減少は、体力の低下だけでなく、善玉コレステロールの減少や内臓脂肪の増加、また、骨密度の低下を招くと言われていますので健康面でも意識しておく必要があります。
セロトニンの分泌を促す
筋トレをするとセロトニンの分泌が促進されます。
セロトニンは幸せホルモンといわれる物質で、精神安定に効果のある神経伝達物質です。
後に説明するノルアドレナリンやドーパミンの分泌が過剰にならないように調節したり、自律神経を整える作用もあります。
日常生活で受ける様々なストレスによって、セロトニンの分泌量は低下し働きが弱まってしまいますが、筋トレでセロトニンの分泌を促すことで、ストレス耐性を強化することができます。
従って、自信がつき、落ち込みにくい性格になりますので、落ち込みやすい人や不安感がある人は筋トレを続けることで改善が期待できます。
また、トレーニングによって鍛えられた筋肉自体に、うつ病などの精神疾患の原因物質を「解毒」する機能があるとされています。
特に定年退職後は、運動不足でセロトニンの分泌が減少しますので意識して筋トレやウォーキングなどの運動を取り入れることをおすすめします。
ドーパミンの分泌を促す
筋トレをするとドーパミンの分泌が促進されます。
ドーパミンは快楽物質といわれるホルモンで、苦痛を和らげたり、精神安定に効果のある神経伝達物質です。
筋トレの後やお酒を飲んだ後に気持ちよくなるのはドーパミンのおかげです。
ドーパミンが分泌されるとやる気が出たり落ち込みにくい性格になり、セロトニンと同じく幸せな気持ちになったりポジティブ思考が多くなります。
ド-パミンが分泌が不足すると、物事への関心が薄れ、運動機能、学習機能、性機能が低下する可能性があります。
逆に、ドーパミンが過剰に分泌されると統合失調症や過食症、その他アルコール依存症やギャンブル依存症など様々な依存症を引き起こす可能性があります。
カフェインを含むコーヒーの飲みすぎや、スパイスを含むカレーや激辛料理などの食べ過ぎ、また、ドーパミンの分泌を促すサプリメントなどはドーパミンの分泌を必要以上に促進する可能性があるので過剰摂取には注意しなければなりません。
成長ホルモンの分泌を促す
筋トレを行えば加齢とともに少なくなっていく成長ホルモンの分泌を増やすことができます。
成長ホルモンは、若返りホルモンとも言われています。
筋トレで筋肉を損傷するとその筋肉を修復するために成長ホルモンが分泌されます。
成長ホルモンは成長に関する作用と代謝をコントロールする作用があるとされており、脳の疲労回復や免疫力向上にもつながるとされています。
また、筋肉を成長さたり脂肪を燃焼させたり、骨を強化したり生殖機能や免疫機能を維持したりと人の健康面に重要な働きをします。
BDNFを活性化する
BDNFとは聞きなれない言葉ですが、脳の神経細胞の成長に欠かせない物質です。
脳や血中に存在するタンパク質の一種で、認知症予防に必要不可欠な存在として、脳科学や精神医学の世界で注目を集めている物質です。
脳内で記憶を司る「海馬」に多く含まれています。
BDNFは、具体的には、以下のような働きが確認されています。
- 脳の神経細胞を増やす
- 脳内の情報伝達を担っているシナプスの形成を促す
- 記憶力や学習能力を向上させる
つまりBDNFというのは”いい頭”をつくる栄養分のようなもので、これを増やすには筋肉を動かすこと。よく”運動は脳に良い”と言われるのも、BDNFの働きが大きかったわけです。
参考:筋トレは脳トレ!”筋肉を鍛えてBDNFを活性化
睡眠の質が高くなる
筋トレは睡眠の質の改善に役立ち、夜中に目が覚めることも減ると言われています。
睡眠の質が高くなるということは、深い睡眠と言われるノンレム睡眠の時間が増えるということです。加齢とともに不眠に悩んでいる方にも改善が期待できます。
例え、週に1~2回筋トレをしても毎日のように筋トレしている人と変わらない睡眠の質の高さが得られると言われています。
筋トレを行う頻度
筋トレは、週に1~3回程度、1回につき30分程度行うのが望ましいとされています。
筋トレの効果を上げるポイントは食事と休息(筋トレから筋トレまで)の時間です。
食事は、タンパク質を十分に摂取し、休息は、24~48時間程の間を置くことです。
食事よって得た栄養と休息により、筋肉は激しい運動にも耐えられるよう、自力で修復し、筋トレ以前のカラダより強くなろうとします。
逆に毎日のように筋トレを行うと筋肉が強くなろうとする働きを阻害すると言われています。
まとめ
以上、趣味に筋トレを取り入れることの効果を紹介してきました。
筋トレには様々な効果があることがわかりますね。
これまで筋トレをしてこなかった方がいきなりはりきって筋トレを始めると続きません。
特にシニアの方は、身体を痛めてしない続けられなくなるのがオチです。
ですので、自分の体力の状態に合わせて始めて、徐々に負荷を上げていくのがコツです。
スクワットだけでも毎日続けると違ってきますので運動不足の方はまずはスクワットから始めてみることをおすすめします。
そして、ある程度筋トレをやれるようになった後は、プロテイン(ホエイ)を飲むのがおすすめです。プロテインは、筋トレをやるやらないにかかわらず、多くのメリットがあります。
習慣化するのが重要で、継続は力なりです。