年金だけでは不足する老後の生活資金の問題がクローズアップされてきた昨今、定年後・老後の生活に「経済的な不安」を持っている人も多いと思います。
しかし、定年後・老後の不安は経済的なものだけではありません。
ここでは、定年後・老後の生活にみんながどういう不安を持っているかを整理し、それに対してどのような対応策が打てるかを考えています。
定年後・老後に不安に思っていることは何か
老後に関する様々なアンケート調査では、8割以上の人が老後に何らかの不安を感じているという調査結果が出ています。
では、具体的に何に不安を感じているのでしょうか。
メットライフ生命は、2018年6月に全国47都道府県の20〜79歳までの男女1万4,100人を対象に「老後」についてアンケート調査を実施しました。
それによれば、老後に不安を感じることTOP10は以下の通りです。
お金の問題
メットライフ生命の調査結果によれば、老後に不安を感じることのトップはお金に関することですが、その次に健康問題となっています。
続く「認知症」や「介護」の問題も、結果的にはお金や健康の問題に集約されることから、老後の不安のほとんどがお金と健康問題ということができます。
この調査は、2018年の6月に実施されたもので、2019年に公的年金だけでは2,000万円不足するという問題がクローズアップされる前の調査結果です。
2019年以降は公的年金への不信感も増していると考えられるため、お金について不安に思う割合はさらに高くなっていることが予想されます。
特に人生100年と言われる時代、公的年金だけでは生活できなくなったことが明らかになってきてからは何歳まで生きるか分からない(長生きリスク)というのも不安の要因となっています。
健康の問題
認知症や自身の介護を含めると多くの人が健康に関して不安を抱いていることがわかります。
別の生命保険会社が実施した調査では、病気やケガなどの健康問題がお金の不安をおさえてトップという調査結果もあります。
健康を害すると働くこともできなくなりますし、医療費がかかりお金の問題も出てきます。
一方でお金があればある程度の健康問題が解決できるという面もありますが、どんなにお金があっても、心身が不健康な状態では豊かな老後生活を送ることは困難であることから、やはり豊かな老後生活を送るためには、まずは健康であることが第一と言うことができます。
このように、定年後・老後の不安としては、お金の問題と健康の問題が大半を占めますので、この2つの不安材料に対して予め対策を打っておくことで、より有意義な定年後・老後の生活が送れるようになります。
30代から50代といった世代の人が、これらの定年後の不安に備えてあらかじめ打てる対策にはどういうものがあるのでしょうか。
お金の問題への対策
定年後・老後のお金の問題への対策としては、
- できるだけ働いて収入を増やす
- 投資・資産運用でお金を増やす
- 支出を抑える
のいずれか、または全てを実行に移すしかありません。
できるだけ働いて収入を増やす
できるだけ働くことは、お金の不安を払拭するのに最も有効な手段です。
できるだけ働いて収入を増やすには、
- 定年後の再雇用を利用したり再就職をする
- 副業をする
- 起業(独立)をする
といった方法があります。
定年後の再雇用を利用したり再就職をする
定年後の再雇用や再就職で働く期間を長期化することで収入(資産)を増やすことができますし、年金の受給額も増やすことができます。
しかし、再雇用に抵抗があったり、再雇用を会社が認めてくれなければ、再就職を検討することになりますが、定年後の再就職は厳しいのが現実です。
豊富な経験があるからと言ってすぐに雇ってくれるとろこはまずありませんし、雇ってもらえたとしても、令和3年の厚生労働白書:労働力調査によると65歳以上の75%以上(4人に3人)は非正規での雇用形態となっており、嘱託社員やアルバイトのような働き方になっています。
参考:労働力調査(基本集計)令和4年(2022年)平均結果の要約
清掃業務や交通整理、警備員などの求人は比較的多いものの、こういったものはやりたくないという人も少なくありません。
そういったことが心配な40代50代の人は、定年後の再雇用や再就職に向けて早い段階から準備をしておくことをおすすめします。
資格を取得しておくというのもその一つです。
副業をする
定年後まで今の会社で働きたくない、他の会社に再就職したくないと考える人は、若い頃から副業を検討してみることをおすすめします。
幸い、厚生労働省が働き方改革の一環として、モデル就業規則に「副業・兼業に関する規定」を新設したことに伴い、副業を容認する企業も増えてきました。
また、インターネットの普及で副業をする環境も整ってきています。
時間をかけて副業を確立させれば定年後に安定収入を得ることもできるようになります。
下のページでは、定年後でも続けられるシニア向けの副業やサラリーマンや主婦のように本業・家事を持っている人でもはじめられる副業にはどういうものがあるか、また、ネットを使ったビジネスにはどういうものがあるかを紹介しています。
起業(独立)する
近年は、起業をする高齢者が増加しています。
ネットが発達した現在は、昔ほど起業が難しいものではなくなりました。
特にインターネットを使った起業は、最も成功しやすく最も失敗しにくいローリスクハイリターンのビジネスだと言えます。
勿論、インターネットに関するビジネスに限らず、フランチャイズを利用して独立したりといった起業もあります。
定年後は組織に属さず、一人でやってみたいという思いが強い方は、あくまでも老後の生活に支障をきたしたり無理しない範囲で起業を検討してみるのもいいと思います。
また、定年退職まで時間がある人は、計画立てて独立に有利な資格を取得し、場合によっては、補助者として1~2年の実務を経験し、定年退職後に独立開業するという方法もあります。
特に、独占業務がある資格(業務独占資格)は起業に有利になります。
投資・資産運用でお金を増やす
限られた収入の中でお金・貯蓄を増やすには資産を運用(投資)を活用するしかありません。
金融庁も令和元年の6月3日に公開した「高齢社会における資産形成・管理」の報告書中で分散・長期・積立を基本とした投資を推奨しています。
しかし、投資といっても大半の人が素人です。何に手を出したらいいかわかりません。
余裕資金でない限り株やFXといったハイリスクな商品に手を出すのはやめ、インフレリスクに対応した投資信託や外貨預金、また、不動産投資などをおすすめします。
特に、長期保有でリターンが見込める分散・長期・積立を基本としたものや現物が残り生命保険変わりになる不動産投資がおすすめです。
年金を増やす
年金は、知らないと損をする制度が多いものです。
年金を増やせる方法を下でまとめていますのでチェックしてみて、お得になりそうなものがあれば早めに手続きをして下さい。
支出を抑える
お金の問題への対策としては収入や貯蓄を増やすだけでなく出費を抑えることも有効です。
例えば、現在、月額30万円で生活している人が月に15万円で生活できることが分かったら心強くなり、老後の不安も少なくなります。
効果的な生活費の削減策としては、通信費や車関係の費用、住宅費の見直しなどがあります。
今すぐできて即効性があるものもありますので必要に応じてトライしてみて下さい。
健康の問題に対する対策
次に健康の問題に対する対策です。
豊かで自由な老後生活を送るには、心身の健康が必須です。
健康であれば働くこともできますし、そうでなければ医療費もかさみます。
心身の健康を維持し、できるだけ長く元気に働くことで、老後のお金に関する問題も解決させることができます。
身体の健康
学歴と健康が相関するというデータは、学歴の高い人は健康維持への関心が高く、健康診断も毎年受けているからだと考えられています。
このことからも健康の問題に対する対策としては、日ごろから自分の健康に関心を持ち、その都度適切な対策を打っていくことが有効であることは間違いありません。
身体の健康は、
- 栄養バランスの取れた食事
- 適当な運動
- 質の良い睡眠
が培います。
この3点を意識しながら生活するよう心掛けることが大事です。
心の健康
そして心の健康です。定年後にうつ病を発症する人も少なくないといいます。
特に男性の場合は、定年後は肩書を失い、社会との繋がりが希薄になります。人間関係も変わり、1日の殆どの時間が自由な時間になるなど会社勤めの時から環境が大きく変化します。
この環境の変化に適応できずうつ病になるケースが少なくないようですが、これに対しては、やはり趣味を持つ、運動をすることなどが有効です。
仕事を離れることで失った生き甲斐も趣味を通して見つけることができるかもしれません。
ワクワクする楽しみを持ったり、毎日適度に身体を動かすことで心の健康だけでなく身体の健康にもいい影響を与えます。
まとめ
定年後・老後の生活にみんなはお金と健康問題に不安を持っています。
お金の問題に対してはできるだけ働く、できるだけ出費を抑えることが有効な対策です。
自分の人生をできるだけ有意義にするためには、再雇用・再就職・副業・起業など、どういう働き方をするのか現役の時から計画立て、すぐに準備を始めることが大切です。
そして、元気に働くためには心身ともに健康でなければなりません。
健康の問題は日頃から健康問題に関心をもつことが大切です。
老後を迎えて後悔しないためにも今から体や脳によい趣味を持ったり、運動を始めて下さい。
運動、特に有酸素運動は、脳と体の健康に良い影響を与えることがわかってきていますので、是非、日常に取り入れることをおすすめします。