定年後の仕事の探し方と働き方

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現在の会社員の定年退職の年齢は実質的に60歳から65歳。

しかし、定年退職後、年金収入と貯蓄の取り崩しだけで悠々自適な生活を送れる人はごく僅かです。殆どの人が生活していくために、まだしばらく働かなければなりません。

また、経済的な心配というよりも、やりがいや生き甲斐、社会との繋がりや健康面などに重点をおいて働きたいという人も少なくないと思います。

このように、定年後に働く動機は人それぞれです。

ここでは、定年後の仕事の探し方と働き方についてまとめています。

幸い近年は、社会の高齢化に伴い、定年退職したシニア世代が再び働ける環境が整ってきています。自分の目的に沿った最適なワークスタイルを見つけてほしいと思います。

定年後に仕事を探す場合に留意すべきこと

働く目的を明確にする

定年後に働く理由は、単に経済的なものだけでなく様々な理由があると思います。

やりがいや生き甲斐を持ちたいため、社会貢献がしたいため、社会との接点を持ちたいため、健康維持のため、孤独なため、時間を持て余しているためなど。

目的を明確にすることで探す職業や働き方も変わってきます

経済的な理由で働く場合は必要な収入を計算して探す

定年後、仕事を探す場合は、定年後に必要な収入を計算してから仕事を探すようにします。

年金や貯蓄の取り崩しで不足する額が月額数万円程度であれば、ハローワークや求人サイトで比較的簡単にパートやアルバイトが見つかるでしょうし、在宅ワークや副業、また、起業してフリーランサーとして働くという選択肢も出てきます。

しかし、安定してそれなりに稼ぐ必要があれば、再雇用・再就職をする必要があります。

希望の職に就くのは厳しいという現実があることを理解する

定年後だからといって特別な仕事の探し方がある訳ではありません。

サラリーマン時代と同じように男性・女性を問わず、ハローワークや求人サイトを利用して再就職活動を行う必要があります。

そして、定年後の仕事探しは、現役時代よりも自分の希望に沿った職に就くのは厳しいという現実があります。

例えば、いくつかの求人サイトで定年退職した人でも応募できる求人を検索をかけてみると以下のような求人が多いのがわかります。

求人職種 求人内容
軽作業スタッフ クリーニング工場での衣類整理や運搬業務
シール貼り・販売作業
袋詰め・梱包
工場内軽作業
プラスチック製品の組み立て作業
出荷用の段ボールの組立て
警備スタッフ 物流センター内での警備
商業施設の警備
ビル内でのモニター監視やビル内の巡回
駐車場誘導をはじめとする警備業務
駐車場誘導・交通誘導員
マンション管理員 分譲マンションの管理員
送迎スタッフ マイクロバスで園児の送迎(中型限定解除以上)
スタッフの送迎業務
配達スタッフ 大手宅配企業の営業所間の配送
スーパーへのルート配送
チラシのポスト投函
新聞配達・集金
軽運送宅配・お弁当配達
清掃スタッフ オフィスビルの清掃
マンションの日常清掃
閉店後のパチンコ店内の清掃
接客スタッフ ホームセンターでのレジ業務
ドラックストアの接客・販売
スーパーのレジ業務
コンビニエンスストアのスタッフ
飲食店でのホール・キッチン
調理補助スタッフ 福祉施設での調理業務・お皿の洗浄
ホール・キッチン補助
社員食堂での調理補助
お弁当の調理
包装・梱包スタッフ 加工食品を袋に詰め真空パックにして包装・梱包する作業、検品作業
スーパーでのパック詰め
入出荷スタッフ 製品の荷受け・出荷業務
倉庫内での家具の配送準備作業
お菓子の出荷業務
食品加工・仕分けスタッフ 鮮魚部門での魚のパック詰め・陳列
冷凍食品を出荷先ごとに仕分けする作業
介護・看護スタッフ 介護スタッフ(生活サポート・食事の準備など)
病院での看護補助
オフィスワーク
受付・事務
事務・データ入力
コールセンター(問い合わせ対応スタッフ)
医療事務
個人情報チェック・PC入力
クリニックの受付・電話対応・データ入力・患者の管理・会計等

見てお分かりの通り、殆どが誰でもが簡単にできて体を使う仕事ばかりです。

中でも多かったのが、警備員清掃員介護スタッフといった求人です。

定年後は、これまで培ってきたキャリアや専門性を活かした職に就きたいという希望はあっても、余程の実力やコネがない限り希望する職に就くのは非常に厳しいのが現実です。

自分は体力がないからと、たまにある事務職の求人に応募しても、事務職などのオフィスワークは、求人枠が少ない上に応募も殺到するため、倍率が高いのが実情です。

定年後は、やりたいことと求められることのギャップを受け入れ、求めらるものの中から自分が希望する仕事を探すという心の切り替えが必要になります。

定年後により良い条件で再雇用・再就職をするには

それでも、できるだけ希望の仕事に就きたい、給与面などでよりよい条件で再雇用・再就職を果たしたい、また、単純作業や肉体を使った労働は無理、という方などもいるでしょう。

そういう人は、遅くとも50代半ばからそれなりの準備をしておく必要があります。

スキルを身に着けることも有効ですが、残念ながらそのスキルを証明するものがなければ、せっかくの努力も報われません。

資格を取得して再就職を有利にする

そこで、有効な手段の一つが、資格を取得しておくというものです。

例えばオフィスワークを希望する場合は、求人サイトでは、シニア層に向けてパソコンの操作ができる人が求められています。

ビル管理やマンション管理といった職種の需要も増えていますので定年後でも需要の多い資格を取っておくと再就職に有利になります。

シニア歓迎のオフィスワーク募集の一例

例えば、MOSなどの資格を取得しておくと、選考時に人より一歩リードすることができます。

また、オフィスワークの求人以外でも定年後の再就職に役立つ資格はいくつかあります。

資格を取ると絶対に再就職できる、独立できるというものではありませんが、再雇用や再就職、独立時に有利になることは間違いありません。

定年後の再就職や独立に役立つ資格は下の記事でまとめていますので参考にして下さい。

人脈をつくっておく

定年後の再就職として意外と多いのが会社の先輩や同僚、友人などから声がかかるケースです。

一般的には、求人情報を介して働くよりも給与面や待遇面などの条件面が良くなります。

現役時代から友人や知人としっかりコミュニケーションをとっておくことも大切です。

給付金制度を活用するのを忘れずに

定年退職前後には、再雇用や再就職を支援するための制度が充実しています。

例えば「高年齢再就職給付金」と言われる制度は、退職後に失業保険を受給中に再就職した場合に、所定の条件を満たすことで1~2年間、賃金の最大15%の給付金が支給される制度です。

下のページでは、

  1. 専門実践教育訓練給付金
  2. 高年齢雇用継続基本給付金
  3. 高年齢再就職給付金

の3つの制度を解説していますので目を通しておくことをおすすめします。

定年後の働き方と仕事の探し方

定年後は、どういった働き方や仕事の探し方があるのでしょうか。

再雇用や再就職が殆どですが、近年は起業や副業といった働き方も増えています。

再雇用で働く

再雇用は、定年退職後、再び同じ会社で働く方法です。

安定して一定の収入が必要な場合は、再雇用で働くのが一般的です。

高年齢者雇用安定法の改正により、定年後、本人より希望があれば、65歳に達するまでは再雇用することが企業に義務付けられました(継続雇用制度)。

さらに、2020年に高年齢者雇用安定法が改正されたことに伴い、2021年4月1日からは、継続雇用制度の対象年齢を「70歳まで」に引き上げることが企業の「努力義務」となっています。

一旦、定年退職し、嘱託社員として再雇用するとるところが多いようですが、多くの場合は、年収が定年退職前の5割から7割ほどに減額され、役職や業務内容、勤務時間も変わります。

こんな会社、定年で絶対辞めてやると言っていた人でも、定年間近になると経済的な面や再就職という現実的な壁を目の当たりにし、結局、諸々の条件は悪くなっても慣れ親しんだ環境の中で勤務を続けられる再雇用を希望する人が殆どです。

定年後、他の会社に再就職すると肉体的にも精神的にも厳しくなりがちですので、どうせ働き続けなければならないのであれば、余程、今の会社で働き続けることが苦痛でない限り、再雇用で働き続けた方が後悔するリスクが少ないと思います。

再就職をする

再就職は、定年退職後、新しい会社を探して再度、就職する働き方です。

再雇用は、慣れ親しんだ環境で働けるメリットがある一方で、これまで部下だった者が上司になったり、業務内容が庶務的なものになったりと、プライドが傷つけられることもあります。

人間関係が苦痛だった人もいるでしょう。

納得できない環境で納得できない仕事をするよりも、心機一転、新しい環境で希望する仕事をしたいと考える方も少なくないと思います。

通常、再就職は待遇は下がりますが、それを受け入れられれば契約社員や派遣社員、また、パート・アルバイト雇用で安定した収入を得ることが可能です。

勿論、現役時代にそれなりの準備をしてきた人はより良い条件での再就職も可能です。

再就職先の探し方

再就職先を探す方法には大きく、

  1. ハローワーク
  2. シルバー人材センター
  3. 人材紹介会社や求人情報サイト
  4. 知人からの紹介やコネ

などを活用する方法があります。

ハローワークの活用

地方で最も多くの人が利用しているがハローワークです。

全国各地で地域の求人を中心に扱っており、人材紹介会社や求人情報サイトで募集されていない小さな会社の求人もありますので有効な職探しの拠点です。

ハローワークインターネットサービスでも、ハローワークに設置されているパソコンでも、勤務場所や職種・賃金など希望の条件を入力して求人を探せます。

ハローワークでは、自治体によってはシニアコーナーを設けている施設もあり、窓口でスタッフに直接相談したり、シニア向けのセミナーを受講できるところもあります。

シルバー人材センターの活用

シルバー人材センターは、原則60歳以上の健康で働く意欲のある人に対して、仕事の提供を行っている組織です。公益社団法人なので信頼できる仕事を紹介してくれます。

原則60歳以上の健康で働く意欲のある方は入会することができます。

従来の仕事は、概ね月10日程度で週20時間程度を超えないことを目安とする厚生労働省で定められたルールがあり、求人としては、植木の剪定、除草、清掃、商品管理・棚卸、発送・梱包などが約半数を占め、収入は月額3~4万円が相場でした。

しかし、平成28年4月の高年齢者等の雇用の安定等に関する法律が改正され、都道府県知事が地域・業種・職種を指定した場合に、労働者派遣及び有料職業紹介事業に限り、週40時間を上限として働けるようになりました。

規制緩和に伴い、今後は仕事内容の幅も広がり収入も増えてくることが予想されます。

尚、入会すると年に2~3千円の年会費が徴収されます。

下記のサイトから地域のシルバー人材センターへ遷移することができます。

参考:全国シルバー人材センター事業協会

人材紹介会社や求人情報サイトの活用

民間の人材紹介会社求人情報サイトを活用する方法です。

両者の違いは、人材紹介会社が個別に面談を行い、そこで伝えた自身の経歴や希望をもとに人材紹介会社から求人が紹介されるのに対して、求人情報サイトは自分で数多くの求人情報を比較・検討した上で手軽に応募することができる点にあります。

【人材紹介会社】

人材紹介会社は応募書類作成や面接の際にもサポートを受けることができます。

しかし、人材紹介会社は、高齢化社会に伴いシニア層の求人も増えてきているとはいえ、その道のスペシャリストの求人が多いのが現状です。

特定の分野で高いスキルを持った人でなければ人材紹介会社の活用は無意味と言えます。

逆に特定の分野で高いスキルを持った人が人材紹介会社の利用を希望する場合は、定年を迎える前から準備して定年後に再就職するというのが現実的です。

条件が良ければ定年前に思い切って転職するという手もあります。

非公開の求人も多いので実際に足を運び希望や条件を伝えておきましょう。

参考:リクルートエージェント ミドル・シニア終活支援

【求人情報サイト】

求人情報サイトでは、シニア層に向けた求人が増えています。中には、

のようなシニア専門の求人情報サイトもあります。

少し前までは、正社員の求人は殆どなく、契約社員やパート・アルバイトばかりでした。

仕事内容も植木の剪定や清掃、商品管理・棚卸、梱包作業といった単純作業や警備員や配達員、介護職員などの体を使った作業が中心でしたが近年は少しづつ職種の幅も増えてきています。

但し、人気のオフィスワークはまだまだ求人が少ない上に募集があると応募が殺到するので実際に職に就くのは非常に難しいようです。

知人からの紹介(コネクション)

定年退職後もそれなりの肩書でそれなりの収入を得ることができるのが、元勤務先の先輩や同僚・友人など、知人のコネクションによって紹介されて働くことです。

中には役員や顧問・相談役など高待遇のポストに就く人もいます。

知人から仕事内容や職場環境などを詳しく聞くことができるため、理想的な転職方法と言えるかもしれません。

但し、紹介してくれた人の顔に泥を塗らないよう働かなければなりません。

起業する

60歳以上で起業する高齢者は30年前と比べると4倍以上に増えているといいます。

その理由としては、インターネットの普及もあり昔と比べて起業がしやすくなったこともありますが、平均寿命も延び、働かざるを得ないものの起業(好きなこと)をして働きたい、社会と繋がっていたい、と考えるシニアの方が増えたためということもあります。

起業の仕方

昔は起業するためには必須だったスキルや人脈も今のネット社会では殆ど必要ありません。

しかし、特に定年後の起業はやり直しがきかないだけに失敗は許されません。

そのためには、定年後の起業は極力リスクを抑えた起業を行うべきです。

いくら経験や知識が豊富でも自己資金の範囲内で始めるのがいいでしょう。年金だけでは不足する生活費を補えるくらいで良しとするくらいの多くを望まない起業がおすすめです。

ゆる起業という言葉が流行っているように定年後の起業は多くを望まず小さく始めるのがコツ。

できれば、会社員時代に副業として始め、定年後に起業して少しずつ規模を拡大していくというやり方が最も現実的で失敗しないやり方です。

また、定年後の起業は、廃業リスクも考慮しておきましょう。

極力、設備投資などをしなくて済むもの、自宅でパソコンと電話1本あれば始められるなど、廃業する時に借金や在庫が残らないようにすることも重要です。

下のページでは、定年後の起業に失敗しない起業ネタの選び方や取得すると独立も可能な資格を解説していますので興味のある方は目を通して頂ければと思います。

フランチャイズに加盟して起業する

自己資金内で資金が用意できる方はフランチャイズに加盟して起業するという方法もあります。

フランチャイズの加盟店は、ロイヤリティーを本部に支払わなければならないとはいえ、本部が培ってきた経営のノウハウや看板を活用できるため、個人で起業するより失敗のリスクが断然少なくなります

しかも短期間で独立開業を果たすことができるので効率的でもあります。

未経験者でも加盟を歓迎する企業もあり、新しいセカンドキャリアを描くことも可能です。

但し、定年後の仕事としてフランチャイズを選ぶ場合も、個人の起業と同じで初期費用が極力少ないものを選ぶべきです。また高齢がゆえに契約年数等考慮しておくべきこともあります。

場合によっては家族の協力も必要になってきます。

少ない資金で、利益もそんなになくていいというのであればフランチャイズも悪くありません。そういう視点で探せば希望するフランチャイズ店が見つかるかもしれません。

在宅ワークや副業で働く

在宅ワークや副業には、インターネットを使ったものとそうでないものがありますが、やはりインターネットを使った在宅ワーク・副業がおすすめです。

在宅ワーク・副業の探し方

インターネットを使った在宅ワーク・副業には、

  • ブログを書いたり、アフィリエイトをしたりして広告収入を稼ぐやり方や
  • クラウドソーシングを利用して仕事を受注するやり方

などがあります。

YouTubeも流行ってますが、シニア世代には色んな意味でハードルが高すぎてその道を究めた有名人でない限り現実的ではありません。

ブログやアフィリエイトで広告収入を得る

アフィリエイトは当たれば大きいというネットビジネスでしたが、近年は個人では稼ぎにくくなっていますし、ブログの広告収入も月に2~3万円稼ぐのがやっとです。

しかし、中には、特定の分野で秀でた記事を書いて安定した収入を稼いでいる人もいます。

例えば、元看護師が看護について、資格取得者が資格取得に関して、また、投資をしている人が投資に関する記事を書いたりするなどがそうです。

年金と貯蓄でどうにかやりくりできるものの少しばかり小遣いが欲しいという少し余裕のある人におすすめの働き方です。

ブログやアフィリエイトを始める手順は下の記事が参考になると思います。

クラウドソーシングを利用して働く

クラウドソーシングとは、企業や個人事業主などが不特定多数の外部の人に向けて業務を発注し、受注者は業務を完了することで報酬が得られるビジネス形態です。

近年は、仕事を発注する企業と請け負う人を仲介するクラウドソーシングサービスを提供する企業も増えてきており、テレビでもCMが流れたりして利用者も増えてきています。

フリーランスとして働く人の多くがクラウドソーシングサービスを活用しています。

ただ、誰でもできるライティング(記事の作成)やデータ入力といった作業は作業単価が安く労力の割には稼げないのが実情です。

年金で足りない数万円を稼ぐ場合はそれでも構いませんが、定年後もある程度の収入が必要な人がクラウドソーシングで稼いでいくとなると、翻訳やホームページ制作、プログラミングなど専門的なスキルが必要となります。

その他のインターネットを使ったビジネスやサラリーマン、またシニア世代におすすめの副業にはどのようなものがあるかは以下で紹介しています。

自分の得意分野で稼ぐ方法もありますので参考にして下さい。

まとめ

定年後の仕事の探し方と働き方について解説してきました。

定年後の働き方には、再雇用・再就職・起業・副業などがあります。

今まで働いてきた会社での再雇用が最も望ましいと思いますが、それができない場合は、再就職・起業・副業などから希望の働き方を見つけるしかありません。

定年後は、体力的なものもあり、男女ともに事務職を希望する人が圧倒的に多いのですが、実際の求人は、警備員や清掃員、介護スタッフといった誰でもができて体を使う仕事ばかりです。

このように、定年後は、自分の希望に沿った職に就くのは厳しいという現実がありますので、できるだけ希望に合う仕事に就きたい場合は前もって準備をしておく必要があります。

現役時代のうちに定年後に必要な収入を割り出し、希望する働き方が実現できように、早いうちに準備に取り掛かることをおすすめします。