夫が死亡した後、妻はいくら年金が貰えるか

夫が死亡した後、妻はいくら年金が貰えるか

自分が貰える年金額もさることながら、自分が無くなった後、残された妻はいくら年金を貰えるのか、心配事の一つではないでしょうか。

そこで、ここでは、

  1. 夫が会社員で妻が専業主婦の場合
  2. 夫も妻も会社員として働いていた場合
  3. 夫が自営業で妻が会社員として働いていた場合

のパターンごとに、夫が死亡した後、妻はいくら年金が貰えるかについてまとめています。

縁起でもないことですが、残された妻の生活のこともちゃんと考えておく必要があります。

夫が死亡した後、妻はいくら年金が貰えるか

老齢基礎年金と老齢厚生年金

まずは、年金について整理します。

年金が貰えるといった場合の年金は、正確には「老齢年金」といいます。

そして、老齢年金には、

  • 国民年金に加入して要件を満たした人が貰える「老齢基礎年金」と
  • 厚生年金に加入して要件を満たした人が貰える「老齢厚生年金

があります。

老齢基礎年金

老齢基礎年金は、日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人に加入が義務付けられている国民年金に加入している人が貰えますので基本的に全ての人が貰えます。

20歳から60歳になるまでの40年間の全期間保険料を納めた場合、65歳から満額(年間約78万円)の老齢基礎年金が貰えます。

老齢厚生年金

老齢厚生年金は、厚生年金に加入している会社員や公務員等が貰える年金です。

厚生年金には国民年金も含まれているので、会社員や公務員は老齢基礎年金も貰えます。

つまり、会社員や公務員だった人は老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方が貰えますが、自営業者だった人は老齢基礎年金だけしか貰えないということになります。

種別 貰える年金
会社員や公務員等 第2号被保険者 老齢基礎年金+老齢厚生年金
自営業者等 第1号被保険者 老齢基礎年金
第2号被保険者に扶養されている配偶者
(専業主婦など)
第3号被保険者 老齢基礎年金

尚、第2号被保険者に扶養されている配偶者(専業主婦など)は老齢基礎年金が貰えますが、保険料は。第2号被保険者が支払っていますので保険料を支払う必要はありません。

遺族年金

次に遺族年金です。

遺族年金とは、国民年金または厚生年金の被保険者または被保険者であった方が、亡くなったときに、残された遺族が受けることができる年金です。

遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。

亡くなった人が、第1号被保険者である自営業者などの場合は遺族基礎年金が、

亡くなった人が、第2号被保険者である会社員などの場合は遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方が支給されます。

しかし、遺族基礎年金の支給対象者は、死亡した者によって生計を維持されていた子のある配偶者または子となっているため、子供がいない場合は支給されません。

そして、遺族厚生年金の支給対象者は、死亡した者によって生計を維持されていた妻や子などとなっているため、子供のいない配偶者にも支給されます。

死亡した者によって生計を維持されていた、とは、同一の家計で生活をしていた人で、一定の収入以下であれば、生計を維持されていたと見なされます。
そして、ここで言う「子」は、18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子、または、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級に該当し、婚姻をしていない子を言います。
亡くなった方 遺族年金の種類 支給対象
第1号被保険者である
自営業者など
遺族基礎年金 死亡した者によって生計を維持されていた子のある配偶者または子
第2号被保険者である
会社員など
遺族基礎年金
遺族厚生年金
遺族基礎年金:死亡した者によって生計を維持されていた子のある配偶者または子
遺族厚生年金:死亡した者によって生計を維持されていた妻や子など

つまり、子どもがいない、または子供が成人している場合、第2号被保険者が亡くなった場合の遺族年金は遺族厚生年金がありますが、第1号被保険者が亡くなった場合の遺族年金はないということになります。

パターンごとに具体的に見ていきます。

尚、前提条件として、子供がなく、夫も妻も年金が貰える要件をクリアし、65歳以上で年金を受給しているものとします

夫が会社員で妻が専業主婦の場合

夫が会社員で妻が専業主婦

夫が会社員(厚生年金に加入)で妻が専業主婦というモデルケースです。

この場合、夫が死亡すると、妻は、遺族厚生年金として夫の老齢厚生年金の4分の3が貰えます。

夫の老齢年金の全ての部分ではなく、夫の老齢厚生年金の4分の3であることに注意が必要です。老齢基礎年金の部分は計算の対象からは外されています。

専業主婦の遺族年金の額

妻は、第3号被保険者(専業主婦)として、もともと老齢基礎年金を貰える資格がありますので、結果的に貰える年金額は、

  • 妻の年金額 = 妻の老齢基礎年金 + 夫の老齢厚生年金の4分の3

ということになります。

例えば、夫の老齢基礎年金が月額65,000円、老齢厚生年金が100,000円だったとした場合、

夫の遺族厚生年金は、100,000円の4分の3の75,000円となり、結果、妻の年金額は、自分の老齢基礎年金の月額65,000円と合わせて合計140,000円ということになります。

この合計金額が一般的にどれくらいかネットで調べてみると平均12~13万円程度のようです。

ちなみに、このモデルケースでは、夫が死亡するまでは、夫婦で合計23万円ほどの年金を受け取っており、これがほぼ平均値のようです(夫:16.5万円+妻:6.5万円)。

いわゆる老後2,000万円の問題もこのモデルケースで計算されています。

夫も妻も会社員として働いていた場合

夫も妻も会社員

次に夫も妻も会社員として働いていた場合です。

いわゆる夫婦共働きでどちらも厚生年金に加入しているケースです。

夫も妻も生きている間は、どちらも老齢基礎年金と老齢厚生年金が貰えます。

夫も妻も会社員として働いていた場合の遺族年期の額

この場合において、夫が死亡した場合、妻は自分の老齢基礎年金は引き続き貰えますが、老齢厚生年金については、

  1. 妻の老齢厚生年金
  2. 夫の遺族厚生年金(老齢厚生年金の4分の3)
  3. 夫の遺族厚生年金の3分の2 + 妻の老齢厚生年金の2分の1

比較して最も多いものが貰えます。

例えば、夫の老齢厚生年金が10万円で、妻の老齢厚生年金が8万円だったとします。

この場合、

  1. は8万円
  2. は7.5万円(老齢厚生年金10万円の4分の3)
  3. は9万円(遺族厚生年金7.5万円の3分の2で5万円+ 妻の老齢厚生年金の2分の1で4万円)

となり、一番多い③の9万円から、現在貰っている①の老齢厚生年金8万円を差し引いた1万円がプラス支給されます。

結果、妻は、9万円と老齢基礎年金(6.5万円)の合計額15.5万円が年金として貰えます。

夫が自営業で妻が会社員として働いていた場合

夫が自営業で妻が会社員

夫が自営業で妻が会社員として働いていた場合です。

筆者もこのケースに当てはまります。

第1号被保険者である自営業者が亡くなると、遺族基礎年金が支給対象になりますが、子供がいない場合はこれは貰えません。

遺族厚生年金の支給もありませんので結果的に遺族年金はなしということになります。

自営業を始める前に会社に勤めていた期間があれば、遺族厚生年金も期待できますが、その期間が短ければ、老齢厚生年金の4分の3の額は微々たるものになります。

ちなみに、老齢厚生年金には受給資格期間があり、その条件は、
1.国民年金制度の老齢基礎年金としての受給資格期間が合計25年以上ある
2.厚生年金加入期間が1月以上ある
ことが必要となっています。

結果、自営業の夫が死亡した場合、会社員として働いていた妻の年金額は、自ら加入した国民年金と厚生年金となります。

夫が自営業で妻が会社員として働いていた場合の遺族年期の額

もし、妻が夫の自営業を手伝ったりしていて会社員として働いたことがなければ、年金支給額は、国民年金の老齢基礎年金だけとなり、満額でも6万5,000円ほどとなります。

まとめ

以上、夫が死亡した後、妻はいくら年金が貰えるかについて、

  1. 夫が会社員で妻が専業主婦の場合
  2. 夫も妻も会社員として働いていた場合
  3. 夫が自営業で妻が会社員として働いていた場合

のパターンごとに見てきました。

①と②のケースについては、夫が亡くなっても遺族年金制度が機能しますので、個人年金に加入するなり、ある程度の貯蓄を残せたりできれば残された妻もどうにか生活していけそうです。

尚、年金の受給額は、繰下げ受給で増やすことができますが、繰下げ受給している夫が亡くなった場合でも、遺族年金は、夫が65歳時点で貰うはずだった本来の年金額をもとに計算されることに注意が必要です

一方で、③の自営業の夫が亡くなった場合は、遺族年金制度は殆ど機能しないため、他の年金に加入するなり、それなりの貯蓄を残すなり、自力たちで年金対策を行う必要が出てきます。

例えば、筆者の場合、会社員時代より自営業時代の方が長かったため、筆者が亡くなっても妻が貰える遺族厚生年金は殆どありません。加えて、妻は私より10歳近く年下なので、平均寿命から考えると、妻は筆者が亡くなった後、15年ほど生きなければならないことになります。

残された妻が安心して生活できるよう早めに対策を打つことも夫の責任だと思います。

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