ここでは、マンションと一戸建て、老後の終の棲家としてはどちらを選ぶべきか?について、判断する材料になればと思い様々な比較を行っています。
住居の住み替えについては、1970年代からしばらくは、いわゆる「住宅双六(すごろく)」と言われるものが流行していました。
収入のアップとともに「賃貸アパート」から「分譲マンション」へ、そして値上がりした分譲マンションを売却して終の棲家として「庭付き一戸建て」へ住み替えるというものです。
しかし、近年は、人の価値観の多様化に伴い、都心のマンションを売却して地方の一戸建て住宅に移り住んだり、郊外の一戸建て住宅を売却して都心のマンションに移んだりと住宅双六のゴールも多様化してきています。
そこで、ここでは、老後の終の棲家として、「マンションと一戸建て、どちらがいいか」という問題について考えるべく、それぞれの特徴を比較してみたいと思います。
マンションと一戸建て、終の棲家はどちらがいいか
マンションと一戸建て、終の棲家はどちらがいいか、
- セキュリティ
- メンテナンス・維持費
- ご近所付き合い
- 騒音問題
- 駐車場
- ペット
- 利便性
- 災害対策
- 資産価値
の項目で比較しています。
セキュリティ
セキュリティは一般的にマンションの方が優れています。
老後はセキュリティ(防犯性)の面からマンションを選択する方も多いでしょう。
マンションの場合、基本的に個別にセキュリティ会社と契約しなくても自宅の玄関に加えてエントランスやエレベーターホールなどで2重・3重のセキュリティがありますので安全です。
基本的にエントランスで関係者以外の侵入を防ぐことができます。
また、エレベーターをはじめ至る所に監視カメラが設置してあります。
2階以上の階の侵入口は基本的に玄関1カ所だけになりますし、コンクリート造りなので空き巣や放火などのリスクも非常に低くなります。
マンションのセキュリティ費用は管理費で賄われ、一戸当たりの負担は少なくて済むので経済的にも助かります。
メンテナンス・維持費
マンションでは、管理費や修繕積立金、駐車場代などが徴収されますが、共用部分の清掃やメンテナンス、また修繕や大規模修繕なども管理会社が計画立ててしっかりとやってくれます。
管理会社がやってくれますのでゴミ当番といった面倒なこともせずに済みます。
一方、一戸建ては管理費や積立金、駐車場代といったものは不要ですが、その分、自分たちで日々のメンテナンスを行う必要があり、外壁や屋根などの将来の修繕などについても計画立てて行う必要があります。
このようにマンションは有料で委託し、一戸建ては自分で管理するのが一般的です。
一戸建ては、年をとってからのリフォームや管理が大変という面も老後の住家としてマンションが選ばれる理由の一つとなっています。
一般的に維持費は、マンションの方がかかると思われますが、その分、各種メンテナンスや日々の清掃などの煩わしさからは解放され便利といえます。
ご近所付き合い
一般的に、一戸建てはマンションよりもご近所付き合いが親密な場合が多いようです。
マンションと一戸建てのご近所付き合いについては、様々な調査結果があります。
それによると、マンションは、ご近所さんに遭遇した時に軽い挨拶を交わす程度のお付き合いが多いのに対して、一戸建ては、頻繁に挨拶する、お土産やおすそ分けを渡すなど、より親密な関係になる傾向が高いようです。
ご近所さんとの関係が親密になるならないには一長一短ありますでので自分がどちらに合っているかよく考えることが大切です。
騒音問題
騒音問題は、ご近所トラブルになりやすい代表的なものです。
マンションの場合は特に上階の足音などの生活音が気になります。
隣の部屋の音は構造上、意外と遮断され、掃除機や洗濯機の音などは殆ど聞こえませんが、激しい足音や生活音は聞こえてくる場合があります。
一戸建は、上下階からの音などは家族間で解決することができますが、近隣の物音や路上での話声、車の音、犬の鳴き声などはよく聞こえます。
このようにマンションは上階、一戸建ては外の音に注意が必要です。
生活音による騒音問題は、物件により、当たり外れがあります。
ちなみに私が住んでいるマンションでは、管理人にその旨伝えることで、エントランスに「生活音について」という貼り紙をして注意喚起してくれます。
それでも解決しない場合は、管理会社が騒音を出している住民に直接、連絡してそれとなく事情を説明してくれることになっています。
駐車場
マンションの場合、
- 平置きタイプ
- 立体駐車場タイプ
- 機械式駐車場タイプ
といった駐車場が殆どです。
立体駐車場や機械式駐車場の場合、高さ制限や車幅制限がありますので購入する車に制限がかかる場合があります。
さらに一家で2台、3台となると駐車スペースが確保できない事態も出てきます。
その点、一戸建ての場合は、車が侵入できる土地を広めに確保できれば駐車場に困ることはありません。マンションと比較すると十分なスペースを確保でき、高さ制限や車幅制限もありませんので、一戸建ては車好きの方にはポイントの高い項目です。
ペット
多くのマンションは、大型犬を飼うことを禁止しています。
ペットを飼うことを禁止しているところもあります。
ペットとの暮らしを優先させたいのであれば、一戸建てを検討する必要がでてきます。
利便性
都心のマンション、郊外の一戸建てであれば、生活の利便性は文句なしに都心のマンションに軍配が上がります。利便性こそマンションを選ぶメリットです。
マンションによっては、商業施設だけでなく、銀行や郵便局、各文化施設などが徒歩圏内にあり、近くに何でも揃っていますので車が無くても生活が可能です。
車の運転ができなくなった人などはこの利便性を求めて郊外の一戸建てを売却して都心のマンションに移り住んでいます。
年をとってくると何よりも利便性が魅力になります。
災害対策
近年は地震が増えています。南海トラフ地震をはじめ、これから30年以内に高確率で発生するとされている大きな地震は少なくありません。
また、地球温暖化の影響で大雨やより強力な台風も増えてきていると言われています。
今後住む家を考える時も地震や台風などをはじめとする災害への対策については最も優先度の高い事項の一つとして考えなければなりません。
そういう点でいえば、耐震・免震構造で雨風に強いマンションが安心と言えます。
資産価値
一戸建ては建物の価値はマンションと比較して速く下がりますが、土地の資産価値は残ります。
どちらが資産価値があるというのは、
- 築年数・耐用年数
- 一戸建ての場合の土地の価値
- 売りやすさ・貸しやすさ
- 立地・利便性
などによります。
ちなみに税法上の耐用年数をみると、一戸建て(木造住宅)は22年、マンション(鉄筋コンクリート造等)は47年とされています。
つまり、築20年を超える一戸建ては土地だけの価格にしないと売りにくいこともあるようですが、逆に50年経っても土地の価値は残ります。
マンションの場合は建物の資産価値は一戸建てより長期にわたってありますが、50年、60年も経つとその存在すら危うくなります。
子供、孫の代まで考えるとなるとどこかで建て替えるか手放さざるをえなくなります。
資産の価値は一戸建てかマンションかという括りではなく、その物件によることとなります。
マンション・一戸建ての住人の口コミ
世間の主な口コミを一部紹介します。
- 戸建は、道路でのボール遊びが響きます。朝はシャッターの開け閉めの音や犬の鳴き声等気になります。
- マンションから一戸建てに移り住み念願のガーデニングができるようになり、快適なシニアライフを満喫しています。
- 歳をとって運転が億劫になってきました。都心のマンションへの住み替えを検討中です。
- マンションに住んで挨拶以上のつきあいはなくなりました。
- 戸建てに住んでますが、路上駐車に悩まされることがあります。
- 戸建てもマンションも済んだことがありますが、結局、お付き合いや騒音問題はご近所さん次第で変わってきます。そういうのが我慢できない時は一生賃貸という手もあります。
- セキュリティや利便性、今後発生するかもしれない地震などを考えたら私たち夫婦はマンション一択でした。今のところ何も問題なく快適に過ごせています。
- ご近所付き合いも悪いことばかりではありません。旅行などに出かける時はお互い声掛けして留守にしても安心して出かけることができます。
- 一戸建ての場合は、台風や大雨の時が心配です。
- 気に入った車がマンションの立体駐車場の車幅制限で変えないのが残念です。
- リフォームなどの自由度は一戸建てがあります。
- 相続のことを考えると資産価値としては一戸建てがいいと思います。
- 利便性のいいマンションに移り住み、車の免許を返納しました。
- マンションの高層階に住んで10年。ゴキブリや蜘蛛などの虫を見なくなりました。また、蚊にも刺されなくなりました。
マンションと一戸建て、終の棲家はどちらがいいかのまとめ
「老後の終の棲家としてマンションと一戸建て、どちらがいいか」という問題について考えるべく、それぞれの特徴を比較してきました。
比較項目 | ||
---|---|---|
セキュリティ | ○ | △ |
ご近所付き合い | ○ | △ |
騒音問題 | △ | ○ |
メンテナンス・維持費 | ○ | ○ |
駐車場 | △ | ○ |
ペット | △ | ○ |
暮らし・利便性 | ○ | △ |
災害対策 | ○ | △ |
資産価値 | マンションの場合は都心を選択 |
以上の意見や情報を参考に自分の価値観や生活スタイルに合った方を選ぶと良いと思います。
一般的には、マンションが立地や利便性で選ばれる傾向があるのに対し、一戸建ては住戸や土地の広さで選ばれる傾向が高いと言われています。
しかし、近年は、老後の終の棲家として住み替えの場合、一戸建てより利便性や防犯性の高い都心部のマンションの方が買い手や借り手がつきやすい傾向があるようです。