ここでは、年金アドバイザーとはどのような資格か、年金アドバイザー試験の内容や年金アドバイザー3級の合格率・難易度などを解説しています。
年金アドバイザー検定試験とは?
年金アドバイザー検定試験とは、複雑化する年金制度について基本的な理解を深め、主にお年寄りに対して年金の相談や助言・指導をするスキルを認定する民間の検定試験です。
銀行業務検定協会が主催・実施することから、主な受験者は現役の銀行員や金融機関などで窓口業務を行っている人ですが、年金については知らないと損をすることも多いので、年金の知識を高めたい一般の受験者も増えています。
また、仕事上、よく相談を受ける社会保険労務士やFPが年金の知識を深めたいとして受験する場合や社会保険労務士試験へ向けての準備として受験する人もいます。
金融機関の中には、年金アドバイザー3級の資格取得を窓口業務や渉外業務に従事している方の昇進や昇給の条件にしているところもあります。
金融機関に就職・転職を希望する人であれば取得しておきたい資格ですが、年金の知識を深めたい、年金について他人の相談にのってあげたい、という一般の人にもおすすめです。
試験は、そのレベルごとに最上位の2級から4級まであります。どういう訳か1級はありません。
年金アドバイザー3級 | 評価 |
---|---|
受験資格 | なし |
就職・転職に役立つか | |
定年後の再就職に役立つか | |
独立に役立つか | |
難易度 | やや易しい |
年金アドバイザー検定試験の概要
年金アドバイザー検定試験は、年金アドバイザーとして必要な知識及び能力を有するかどうかを判定することを目的として実施されます。
受験資格
受験資格は必要ありません。
年齢・性別・学歴・職業・経験は問いません。誰でも受験できます。
試験日時
年金アドバイザー検定試験は、級によって、試験の実施回数と試験日が異なります。
級 | 試験の 実施回数 |
原書受付 申込期間 |
試験日 |
---|---|---|---|
2級 | 年1回 | 例年1月の第1月曜日~1月の第3月曜日 | 3月の第1日曜日(13:30~16:30) |
3級 | 年2回 | 例年1月の第1月曜日~1月の第3月曜日 例年8月の第3火曜日~9月の第2火曜日 |
3月の第1日曜日(10:00~12:00) 10月の最終日曜日(10:00~12:00) |
4級 | 年1回 | 例年1月の第1月曜日~1月の第3月曜日 | 3月の第1日曜日(10:00~11:30) |
2級・3級・4級の3月試験は同じ日に実施されるとはいえ、試験の時間帯が異なるので、3級または4級を受験した後、2級を受験することもできます。
試験の方法と内容
級ごとの試験の方法と内容は以下の通りです。
年金アドバイザー2級
年金アドバイザー2級は、年金専担者等を対象に、年金・公的保険に関する顧客相談や内部研修・指導に応じるための実践的・専門的知識について、その習得程度を測定します。
180分(13:30~16:30)
- 記述式:10題:各10点
試験の範囲
- 社会保険制度の概要
- 公的年金制度の仕組み
- 年金給付と支給要件
- 企業年金・個人年金の仕組み
- 年金請求手続と年金受給者の手続
- その他
年金アドバイザー3級
年金アドバイザー3級は、渉外・窓口の担当者等を対象に、顧客からの年金相談に応じるための基本的知識と実践的応用力について、その習得程度を測定します。
試験時間:120分(10:00~12:00)
- 基礎知識:五答択一式 30問:各2点
- 技能・応用:事例付五答択一式 10事例 20問:各2点
試験の範囲
- わが国の社会保険制度とその仕組み
- 年金制度とその仕組み
- 年金給付の種類と支給要件
- 企業年金・個人年金の仕組みと要点
- 裁定請求手続きと年金受給者の手続き
- その他
年金アドバイザー4級
年金アドバイザー4級は、渉外・窓口の担当者等を対象に、年金に関する最も基礎的な知識について、その習得程度を測定します。
90分(10:00~11:30)
- 三答択一式:50問:各2点
試験の範囲
- 年金の基礎:30問
- 老齢給付:10問
- 障害・遺族給付:6問
- セールス・その他:4問
受験地
全国の指定の会場で実施されます。
受験手数料
2022年度に受験料が改定されました。
受験種別 | 受験料(税込み) |
---|---|
2級 | 8,250円 |
3級 | 5,500円 |
4級 | 4,950円 |
年金アドバイザー3級の難易度・合格率
年金アドバイザーの受験者の大半は、3級の受験者ですので主に3級について解説します。
年金アドバイザー3級の合格基準・合格率
合格基準
2級・3級・4級ともに満点の60%以上(試験委員会にて最終決定)。
合格率
3級の合格率は、例年40%前後です。
2022年10月の実績でいうと、
- 3級の合格率は、34%(受験者数3,526人中 合格者1,199人)
合格率は34%と決して易しくはありませんが、年に2回試験が実施されますので、その点、取得しやすい資格と言えます。
ちなみに、4級の合格率は例年60%程度、2級は例年25%前後です。
年金アドバイザー3級の難易度
難易度: やや易しい 年金アドバイザー3級
合格までの学習時間の目安:200時間
合格率は35%程度と3人に2人は不合格になる試験ですが、試験内容が「年金」という誰でもが関心がある事柄なので比較的短時間の学習で済みます。
おすすめの通信講座
年金アドバイザー3級の通信講座はフォーサイトがおすすめです。
2022年3月の実績でいうと、全国の平均合格率が31.87%に対してフォーサイト受講生の合格率は92.3%を誇ります。
年金アドバイザーはこんな人におすすめ
日本の年金制度は複雑で難解です。
会社員と自営業で加入できる年金が異なったり、子どもがいる、いないで年金受給額が変わったり、また、任意加入や付加年金、加給年金、年金の繰り下げや繰り上げ制度など、様々な年金や制度があったり、知らないと損をすることも多々あります。
このため、せっかく年金を増やすことができる手段があるにもかかわらず、それを知らないで損をする人もいますし、自分がどれだけ年金が貰え、自分が亡くなった時の遺族年金がどれくらいあるか、を理解しておらず正確な人生設計を立てることができない人も少なくありません。
また、近年は年金を受給できる年齢(例えば65歳)を超えても働く人が増えてきています。
給与収入によっては年金の支給額が減額されることがありますが、本人に知識があれば効率的に働くことができるようになりますし、会社の担当者に知識がある人がいれば、高齢の労働者を効率的に活かすことができるようになります。
このような複雑な年金制度を理解している証明ともなる年金アドバイザーの資格は、金融機関の窓口業務や渉外業務に従事する方だけでなく、定年退職を迎える前または後のシニアの方でも取得しておくと役に立ちます。
さらに、自分や家族のほか、身近な人や知人で年金についてわからない人がいると、相談に乗ったり、的確にアドバイスすることもできるようになります。
また、試験内容も重複する社会保険労務士やライフプラニングの相談を行うFP(ファイナンシャルプランナー)が年金アドバイザーの資格を取得すると、顧客からより高い信頼が得られます。
独立や転職を考えるのであれば、社会保険労務士やFPの資格を取得しておきたいものです。