介護には期間と費用がどれくらいかかるのか。自分の収入で介護費用を捻出して介護サービスを受けることができるのか。
介護は先の見通しが立たないためそのようなことを心配されている方は少なくないと思います。
ここでは、介護には実際どれくらいの期間と費用がかっているのか解説します。
介護にかかる期間と費用
実際に介護にかかっている期間と費用はどれくらいでしょうか。
生命保険文化センターが過去3年間に介護経験がある人に行った「生命保険に関する全国実態調査」によれば、令和3年度の介護期間と介護費用はそれぞれ以下のようになっています。
介護期間
介護期間 | 全体に占める割合 |
---|---|
6カ月未満 | 3.9% |
6カ月~1年未満 | 6.1% |
1~2年未満 | 10.5% |
2~3年未満 | 12.3% |
3~4年未満 | 15.1% |
4~10年未満 | 31.5% |
10年以上 | 17.6% |
不明 | 3.0% |
平均 | 54.5ヵ月(4年7ヵ月) |
介護の期間の平均値は、5年1ヵ月。
4~10年が31.5%と最も多く、4年以上が全体の52%ほどと半分以上を占めています。
介護費用
介護にかかる一時的な費用の合計
介護にかかる一時的な費用とは、介護にあたって実施するバリアフリーなどの住宅のリフォームや介護用ベッド、車イスなどの購入費用などです。
介護にかかる一時的な費用 | 全体に占める割合 |
---|---|
掛かった費用はない | 15.8% |
15万円未満 | 18.6% |
15~25万円未満 | 7.7% |
25~50万円未満 | 10.0% |
50~100万円未満 | 9.5% |
100~150万円未満 | 7.2% |
150~200万円未満 | 1.5% |
200万円以上 | 5.6% |
不明 | 24.17% |
平均 | 69万円 |
介護にかかる一時的な費用の平均は74万円で、年々増加傾向にあります。
介護にかかる月額費用
介護にかかる月額費用 | 全体に占める割合 |
---|---|
支払った費用はない | 0% |
1万円未満 | 4.3% |
1万~2万5千円未満 | 15.3% |
2万5千~5万円未満 | 12.3% |
5万~7万5千円未満 | 11.5% |
7万5千~10万円未満 | 4.9% |
10万~12万5千円未満 | 11.2% |
12万5千円~15万円未満 | 4.1% |
15万円以上 | 16.3% |
不明 | 20.2% |
平均 | 8.3万円 |
引用:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/令和3年度
これらの費用の殆どは、介護保険による介護サービス利用額の自己負担分です。
月に平均8.3万円とこちらも増加傾向にあります。
介護にかかる総費用
以上のように、令和3年の調査では、介護の期間は平均5年1カ月、また、介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は、住宅改造や介護用ベッドの購入などの一時費用の合計が平均74万円、月々の費用が平均8.3万円となっています。
これらはあくまでも平均値ですが、これらのデータをもとに計算すると、およそ580万円が介護に必要な金額ということになります(8.3万円×5年1ヵ月+一時費用74万円)。
在宅介護と施設に入所して行う介護とでは当然、金額も変わってきますし、一人暮らしで介護にかかわる家族がいない場合は、日常生活のあらゆることに関して介護サービスを利用しなければならなくなるためその分お金がかかってきます。
介護にかかる期間と費用のまとめ
以上、生命保険文化センターが過去3年間に介護経験がある人に行った「生命保険に関する全国実態調査」による介護にかかる期間と費用について解説してきました。
要介護度が高くなるにつれ、介護サービスに頼ることも多くなり、その分、費用もかかってきますので、そうなる前に日頃から健康を意識した生活を心がけることが重要です。
それでも介護が必要な状態になってきたら、まずは家族で話し合いの場をもち、介護される方本人の年金や貯蓄内で収まる介護を検討しましょう。
勝手にお金を建て替えたりするのはトラブルのもととなりますし、計画立てて介護を行わなければ介護破産にもなりかねません。
そういう事態に陥らないためには、どういう制度があるのかを知り、その制度を理解することも重要です。申請すべきものは忘れないように申請し、制度を有効活用するようにしましょう。