2016年4月の規制緩和による電力自由化によって、多くの新電力会社が様々なサービスを打ち出してきており、一般家庭でも、自分の意志で自由に電力会社を選べるようになりました。
しかし、月々の電気料金が安くなる上にキャンペーンなどでキャッシュバックするところもあるというのに電力会社を変えていない人は少なくありません。
面倒そう、本当に安くなるのか?電気の品質が落ちるのではないか?停電でもするのではないか?などと考えて無難な今の電力会社を使い続けている人が殆どだと思います。
実はつい最近まで私もその一人でした。
しかし、家計の節約の一環として新電力会社についてよく調べてみると、乗り換えると本当に電気代が安くなり、電気の品質も全く変わらないことがわかり、電力会社を乗り換えることに。
ここでは、九州電力エリアで最安値の新電力会社はどこか?実際に比較して新電力会社に乗り換えた体験談と感想をまとめています。
そもそも新電力会社の変えて大丈夫なのか?という点については、下の記事で新電力会社に乗り換えるメリット・デメリットの部分でまとめていますので参考にして頂ければと思います。
尚、この記事を書いた後、電力卸売市場の価格高騰により、2022年以降、殆どの新電力会社が電力供給を停止し、新規申し込みの受付を停止しました。
残念ながらエルピオでんきもその一つです。
九州電力での契約(料金プラン)内容を把握する
例えば、新電力会社のホームページにアクセスすると、現在契約している電力会社と使用アンペア数、そして電気使用月のkWh数などを入力させて、年間○千円あるいは年間○万円お得になりますよ、というように大雑把な目安を結果として表示していたりします。
しかし、その結果をもとに安易に契約するのはおすすめしません。
やはり、契約にあたっては、どうして安くなるのか、その根拠を理解して契約すべきです。
そのためには、まずは、現在の契約内容を把握し、新電力会社の契約内容も把握。
そしてそれらを比較して乗り換えで本当に安くなるのかどうか確認する必要があります。
という訳で、まずは、現在の契約内容を把握する必要があります。
九州電力での料金プラン
長崎県在住の私は、乗り換え前は、九州電力の従量電灯Bで40Aで契約していました。
その場合の基本料金と電力量料金は以下の通りです。
区分 | 単位 |
---|---|
基本料金 40A | 1,188円00銭 |
最初の120kWh | 1kWhごとに17円46銭 |
120kWh超過300kWhまで | 1kWhごとに23円06銭 |
300kWh超過分 | 1kWhごとに26円06銭 |
従って、例えば、1ヵ月に400kWh使用した場合の電気料金は以下の通りとなります。
区分 | 単位 | 金額 |
---|---|---|
基本料金 40A | 1,188円00銭 | 1,188円00銭 |
最初の120kWh | 17円46銭×120kWh | 2,095円20銭 |
120kWh超過300kWhまで | 23円06銭×180kWh | 4,150円80銭 |
300kWh超過分 | 26円06銭×100kWh | 2,606円 |
合計金額 | 10,040円 |
燃料費調整額と再エネ賦課金
しかし、実際の請求書を見ると、電気代は少し高い。
調べてみると、上の金額に燃料費調整額と再エネ賦課金というものがプラスされていました。
再エネ賦課金は、再生可能エネルギー発電促進賦課金のことで、再生可能エネルギーの固定価格買取制度によって電力の買取りに要した費用を、電気のご使用量に応じて消費者が負担するものです。請求金額にプラスされます。
ちなみに九州電力の燃料費調整額の単価は、2021年4月分で1kWhにつき-1.54円。
400kWh使用すれば、616円、請求額から差し引かれていました。
再エネ賦課金の単価は、2021年4月分で1kWhにつき2.98円。
400kWh使用すれば、1,192円請求額に加算されていました。
結果、請求額は、10,040円 – 616円 + 1,192円で10,616円となっていました。
新電力会社で燃料費調整額と再エネ賦課金はどうなるのか
新電力では、電力会社からの切り替えにより電気料金が削減されることを明確にするため、燃料費調整額も再エネ賦課金も該当エリアの電力会社と同じ料金とすることが一般的でした。
しかし、2022年末からの燃料費高騰に伴い燃料費調整額を抑えきれず、従来の電力会社より電気代が高くなる新電力会社が増えています。
以上をもとに、九州電力エリアで電気料金の安い新電力会社を探してみました。
九州電力エリアで最安値の新電力会社は?比較してみた
比較対象とした電力会社は、以下の10社です。
- ソフトバンク:くらしでんき
- ENEOSでんき 九州Bプラン
- シン・エナジー きほんプラン
- HISでんき
- Looopでんき おうちプラン
- 楽天でんき
- あしたでんき 標準プラン 九州電力エリア
- エルピオでんき 使った分だけSプラン
- はなカメくん電気 従量電灯B
- シン・エナジー 【昼】生活フィットプラン
他にも、まちエネやリミックスでんき、J:COM電力、CDエナジーダイレクト、TOELLでんきなどありますが、「九州電力・従量電灯B」相当で比較すると上記の新電力会社よりあからさまに電気料金が高かったので比較対象から外しました。
勿論、2021年のはじめ頃に問題になった市場連動型プラン(市場の取引価格に連動して 従量料金単価が決まるプラン)は除外しています。
簡単に今の契約と契約内容を比べてみます(2021年7月現在)。
この記事を書いた後、世界情勢の変化で電気の燃料代が高騰し、日本の電気事情も大きく変化しました。以下は2021年時点の参考としてお読みください。
各業者とも、ただ単に「電気代が安くなります」といったことだけでなく、契約内容を公開していますので、それで比較することが重要です。
⇒スクロールできます。
新電力会社 | 基本料金 40A |
最初の 120kWh |
120kWh超過 300kWhまで |
300kWh 超過 |
---|---|---|---|---|
九州電力 | 1,188円00銭 | 17円46銭 | 23円06銭 | 26円06銭 |
ソフトバンク くらしでんき |
1,188円00銭 | 17円28銭 | 22円36銭 | 24円75銭 |
ENEOSでんき | 1,188円00銭 | 17円28銭 | 22円25銭 | 23円97銭 |
シン・エナジー きほんプラン |
1,152円36銭 | 17円26銭 | 21円39銭 | 23円43銭 |
HISでんき | 1,092円96銭 | 16円06銭 | 21円22銭 | 23円98銭 |
Looopでんき | 0円 | 23円40銭 | ||
楽天でんき | 0円 | 23円50銭 | ||
あしたでんき | 0円 | 23円00銭 | ||
エルピオでんき | 0円 | 22円91銭 | ||
はなカメくん 電気 |
635円52銭 | 20円81銭 | ||
シン・エナジー 【昼】生活フィット プラン |
1,164円24銭 | 平日9時~18時まで15円50銭 平日8~9時、18~22時 休日8時~22時まで22円51銭 平日休日ともに22時~8時まで19円80銭 |
こうやって見てみると、
- 基本料金と従量料金があるもの
- 基本料金がなく1kWhでの料金が固定もの
- 基本料金があり1kWhでの料金が固定もの、または時間帯によって1kWhでの料金が決まっているもの
の3パターンがあることがわかります。
比較していくと、基本料金と従量料金があるものでは、
- シン・エナジー(きほんプラン)
- HISでんき
基本料金がなく、1kWhでの料金が固定ものでは、
- エルピオでんき
基本料金があり、1kWhでの料金が、固定もの、または、時間帯によって1kWhでの料金が決まっているものでは、
- はなカメくん電気
- シン・エナジー【昼】生活フィットプラン
が安いので、これらを300kWhと400kWh使った場合で電気料金を計算してみます。
乗り換え前の九州電力から一つずつ見てみます。
九州電力
⇒ 九州電力
基本料金 40A |
最初の 120kWh |
120kWh超過 300kWhまで |
300kWh 超過 |
---|---|---|---|
1,188円00銭 | 17円46銭 | 23円06銭 | 26円06銭 |
※初期費用・解約手数料:無料
電力使用量 | 電気料金計算式 | 電気料金 |
---|---|---|
300kWh使用時 | 1,188円+ 17.46円×120+23.06円×180 | 7,434円 |
400kWh使用時 | 1,188円+ 17.46円×120+23.06円×180 +26.06円×100 | 10,040円 |
シン・エナジー(きほんプラン)
現在、シン・エナジーは新規申し込みの受付をしていません。
⇒ シン・エナジー
基本料金 40A |
最初の 120kWh |
120kWh超過 300kWhまで |
300kWh 超過 |
---|---|---|---|
1,152円36銭 | 17円26銭 | 21円39銭 | 23円43銭 |
※初期費用・解約手数料:無料
電力使用量 | 電気料金計算式 | 電気料金 |
---|---|---|
300kWh使用時 | 1,152.36円+ 17.26円×120+21.39円×180 | 7,073円76円 |
400kWh使用時 | 1,152.36円+ 17.26円×120+21.39円×180 +23.43円×100 | 9,416円76円 |
HISでんき
現在、HISでんきは新規申し込みの受付をしていません。
⇒ HISでんき
基本料金 40A |
最初の 120kWh |
120kWh超過 300kWhまで |
300kWh 超過 |
---|---|---|---|
1,092円96銭 | 16円06銭 | 21円22銭 | 23円98銭 |
※初期費用・解約手数料:無料
電力使用量 | 電気料金計算式 | 電気料金 |
---|---|---|
300kWh使用時 | 1,092.96円+ 16.06円×120+21.22円×180 | 6,839.76円 |
400kWh使用時 | 1,092.96円+ 16.06円×120+21.22円×180 +23.98円×100 | 9,237,76円 |
エルピオでんき
エルピオでんきは、電力卸売市場の価格高騰により、令和4年4月30日をもって電力供給を停止しました。現在は、ENEOSでんきを勧めています。
但し、ENEOSでんきは2022年12月分の電気料金から、燃料費調整における上限価格設定を廃止しましたので、電気料金は高くなります。
⇒ エルピオでんき
基本料金 40A |
最初の 120kWh |
120kWh超過 300kWhまで |
300kWh 超過 |
---|---|---|---|
0円 | 22円91銭 |
※初期費用・解約手数料:無料
電力使用量 | 電気料金計算式 | 電気料金 |
---|---|---|
300kWh使用時 | 0円+ 22,91円×300 | 6,873円 |
400kWh使用時 | 0円+ 22,91円×400 | 9,164円 |
はなカメくん電気
現在、はなカメくん電気は新規申し込みの受付をしていません。
⇒ はなカメくん電気
基本料金 40A |
最初の 120kWh |
120kWh超過 300kWhまで |
300kWh 超過 |
---|---|---|---|
635円52銭 | 20円81銭 |
※初期費用:無料 解約手数料:1年未満の解約の場合、2,200円の解約違約金が必要
電力使用量 | 電気料金計算式 | 電気料金 |
---|---|---|
300kWh使用時 | 635,52円+ 20.81円×300 | 6,878.52円 |
400kWh使用時 | 635,52円+ 20.81円×400 | 8,959.52円 |
シン・エナジー【昼】生活フィットプラン
現在、シン・エナジーは新規申し込みの受付をしていません。
⇒ シン・エナジー
シン・エナジー【昼】生活フィットプランは他と違い、時間帯で単価が変わってきます。
【昼】生活フィットプランは、平日の昼間に電気をよく使うご家庭に、【夜】生活フィットプランは、夜に電気をよ使うご家庭におすすめのプランです。
基本料金 40A |
最初の 120kWh |
120kWh超過 300kWhまで |
300kWh 超過 |
---|---|---|---|
1,164円24銭 | 【昼】生活フィットプラン 平日9時~18時まで15円50銭 平日8~9時、18~22時、休日8時~22時まで22円51銭 平日休日ともに22時~8時まで19円80銭 |
||
【夜】生活フィットプラン 平日9時~18時まで26円46銭 平日8~9時、18~22時、休日8時~22時まで22円51銭 平日休日ともに22時~8時まで18円70銭 |
※初期費用・解約手数料:無料
我が家は二人家族。
平日は私がエアコンをかけながらこうやってPC作業をしている場合が殆どです。
夜は一時期を除き冷暖房をつけっぱなしで寝ます。休日はあまり家にいません。
洗濯や掃除、炊事などは、平日の8~9時、18~22時に行いますので、少し大雑把ですが、
- 平日8~9時、18~22時、休日8時~22時までを6割
- 平日9時~18時までを2.5割
- 平日休日ともに22時~8時までを1.5割
で計算してみます。
電力使用量 | 電気料金計算式 | 電気料金 |
---|---|---|
300kWh使用時 | 1,164.24円+15.5円×75+22.51×180+19.8×45 | 7,269.54円 |
400kWh使用時 | 1,164.24円+15.5円×100+22.51×240+19.8×60 | 9,304.64円 |
九州電力エリアで最安値はエルピオでんき
新電力会社 | 300kWh使用時 | 400kWh使用時 |
---|---|---|
九州電力 | 7,434円 | 10,040円 |
シン・エナジー きほんプラン |
7,073円76円 | 9,416円76円 |
HISでんき | 6,839.76円 | 9,237,76円 |
エルピオでんき | 6,873円 | 9,164円 |
はなカメくん 電気 |
6,878.52円 | 8,959.52円 |
シン・エナジー 【昼】生活フィット プラン |
7,269.54円 | 9,304.64円 |
こうやって見てみると、従量電灯B型で40Aの場合、全て九州電力より安いことがわかります。
人それぞれ、生活スタイルが異なるので、どの会社が最安値とは言えませんが、私の生活スタイルで比較すると、はなカメくん電気が最安値で続いてエルピオでんきが安くなります。
特に、この2社は1kWh使用時の単価が安いので、電気をたくさん(300kWh以上)使う夏場や冬場は他の電力会社との電気代の差が大きくなります(安くなります)。
契約が30Aだったとしても順位は似たような結果になります。
そこで、2つに絞って検討したところ、2021年8月現在、エルピオでんきが、40Aの場合8,000円のキャッシュバックキャンペーンを実施していたのでエルピオでんきに決めました。
※尚、エルピオでんきは、電力卸売市場の価格高騰により、令和4年4月30日をもって電力供給を停止しました。
⇒ エルピオでんき
仮に月に400kWh使用するとすれば、はなカメくん電気とエルピオでんきの差額は204円ほど。
8,000円を回収するには、39ヵ月(8,000円÷204円)ほどかかる計算になるためそれまでは、エルピオでんきが最安値ということになります。
しかも、電気代自体、九州電力より1年で10.500円ほど安くなります。
しばらく使っていて、まだ条件のいい電力会社が出てきたら、乗り換えることも可能です。
エルピオでんきは、解約手数料などもありません。
また、万が一、新電力会社が倒産するということがあっても電力の供給はストップすることはありませんので、その時に他にいい条件のものに乗り換えれば済みます。
ライフラインなので、セーフティネットもしっかりしています。
ちなみにエルピオでんきを提供する株式会社エルピオは、1965年設立以来、エネルギー販売50年の実績を持つ企業です。
九州電力エリア以外の場合
九州電力エリア以外にお住まいの場合は下のサイトで一括比較できます。
サイト限定で特典もありますので是非、比較してみて下さい。勿論、無料でできます。
参考:電気料金一括比較|電気代を賢く節約-でんきの比較インズウェブ
エルピオでんきに乗り換えてみた
以上により、九州に住む私はエルピオでんきに申し込みを行いました。
申し込みは、インターネットで完結します。
電話をしたり、契約書にサインしたり、解約の連絡や立ち合いなどをする必要はありません。
支払い方法はクレジットカード又は口座振替になります。
入力項目のうち「前事業者お客様番号」と「供給地点特定番号」だけは、現愛、電力会社から送られてくる請求書を見ないとわからないので、請求書は手元に用意しておく必要があります。
ハイフン「-」は無しで入力します。
登録が完了すると切替の手続きが開始されます。
下記のような供給開始日のご案内メールが送信されてくると記載の日に電力が切り替わります。
九州電力への解約の連絡もエルピオでんきがやってくれますので自分でする必要ありません。
あとはただ、切替日を待つだけです。
停電したり瞬電したりせずいつの間にか電力が切り替わります。
エルピオでんきでの電力使用量の確認
実際にエルピオでんきに切り替わると、マイページで電力の使用状況が確認できます。
電力の使用状況は、エルピオでんきのマイページで確認できます。
残念ながらリアルタイムではありませんが、1時間ごとに電気の使用量がわかります。
九州電力ではこういった確認ができなかったので安心ですね。
例えば、この日の合計使用電力量は、15.4kWh。
エルピオでんきは、基本料金がなく、1kWhにつき22円91銭ですので、この日の電気代は352円80銭(15.4kWh×22.91円)ほど。
このペースで1ヵ月(31日間)使えば、10,936.8円になります。
もしこれが以前の九州電力のままだったとすると、31日間477.4kWh(15.4kWh×31日)で、
区分 | 単位 | 金額 |
---|---|---|
基本料金 40A | 1,188円00銭 | 1,188円00銭 |
最初の120kWh | 17円46銭×120kWh | 2,095円20銭 |
120kWh超過300kWhまで | 23円06銭×180kWh | 4,150円80銭 |
300kWh超過分 | 26円06銭×177.4kWh | 4,623円 |
合計金額 | 12,057円 |
となり、エルピオでんきと九州電力の差は1120円(12,057円 – 10,936.8円)となります。
このままのペースだとしたら、1年間に13,440円の節約ができるということです。
我が家は、春と秋の電気使用量は少ないものの、冬場はエアコンで暖房をしていますので、月に550kWhほど使うこともあります。
やはり、年間を通して少なくとも1万円以上の節約ができそうですね。
まとめ
以上、九州電力エリアで最安値の新電力会社はどこか?実際に比較してエルピオでんきに乗り換えた体験談を解説してきました。
尚、この記事を書いた後、電力卸売市場の価格高騰により、2022年以降、殆どの新電力会社が電力供給を停止し、新規申し込みの受付を停止しました。
電力自由化によって、電力も携帯電話のように自分の意志で自分に合ったものを選ぶ時代になり、切替申請手続きもものの5分で終わる時代になりましたが、上記のように電気の燃料の高騰により大手電力会社が一番あんしんできる電気の供給元となりました。
また、事情が変われば記事を変更したいと思います。