スマートファミリープランの電気代が従量電灯Bより高い理由は燃料費調整額

本サイトにはプロモーションが含まれています

電気代の節約や電気代高騰の対策として、九州電力のスマートファミリープランへの加入を検討している人、また既に加入している人も多いと思います。

しかし、電気の燃料費が高騰している時は、スマートファミリープランの電気代は、かえって従量電灯Bより高くなることがあります

その理由は燃料費調整額

ここでは、燃料費調整額とは何か?九州電力のスマートファミリープランと従量電灯Bの燃料費調整額はいくらか、また、それが電気代にどう影響するかを解説しています。

現在、スマートファミリープランを契約している人は燃料費が高騰している間は従量電灯Bへ契約を変更した方がいいかもしれません。

スマートファミリープランの電気代が従量電灯Bより高い理由は燃料費調整額

九州電力のスマートファミリープランとは

九州電力のスマートファミリープランとは、契約電流が10A以上、60A以下の場合に、

  1. 2年契約割引(年間777円の割引)があり、
  2. さらに、300kWh超過分からの電力量料金単価が従量電灯Bに比べ、1.10円/kWh割安に設定されている

電気料金プランです。

例えば、ひと月に500kWh使うご家庭では、

  1. の65円/月額と
  2. の300kWhを超える200kWh×1.10円

とで、月間285円ほど安くなる計算になります。

一見、従量電灯Bよりお得に思えるスマートファミリープランですが、電気の燃料費が高騰している時は、電気代が従量電灯Bよりかえって高くなることもあります。

どういうことか詳しく解説します。

燃料費調整額とは?

スマートファミリープランや従量電灯Bの電気料金の請求書の内訳を見みると、

  1. 基本料金
  2. 電気量料金(従量料金)
  3. 再エネ賦課金

の他に「燃料費等調整額」という項目が掲載されています。

燃料費調整額

そして、これらの料金を全て足したものが電気代として請求されます。

燃料費等調整額とは、燃料費調整制度に基づいて決められる発電の燃料費のことで、火力発電に用いる燃料(原油や液化天然ガス、石炭)の価格変動を利用者の電気代に反映させために設けられた金額です。

事業者の経営環境の安定を図ることを目的として平成8年1月に導入されました。

日本の電力の約70%は火力発電で賄っており、その燃料の殆どを輸入に頼っていますので、世界の経済状況により、燃料代が高くなれば燃料費調整額は引き上げられます

従って、燃料費が高騰している時は、この燃料費調整額に注目する必要があります。

燃料費調整の上限設定

しかし、この燃料費調整には、上限が定められている契約、つまり、上限額を超えた場合は、差額を電力会社が負担する契約と、上限が定められていない契約があります。

そして、九州電力を見てみると、従量電灯Bなどは燃料費調整の上限が設定されていますが、スマートファミリープランにはこの上限の設定がありません

スマートファミリープランは燃料費調整に上限がない

引用:九州電力・スマートファミリープラン

そのため、燃料価格が高騰した場合は、スマートファミリープランの方は燃料調整に歯止めがかからないため、その分燃料費等調整額が高くなり電気代が高くなります

注釈には、「燃料価格が高騰した場合には、スマートファミリープランの方が燃料調整額が高くなる可能性があります」と記載されていますが、実際、高くなるのかどうが、またどれくらい高くなるのか、これを読んだだけではピンときません。

そこで、金額を具体的に見ていきます。

スマートファミリープランと従量電灯Bの燃料費調整単価

下のテーブルは、2023年2月の九州電力の燃料費調整単価です。

2023年2月分の燃料費調整単価

引用:九州電力の燃料費調整単価(低圧供給、2023年2月分)

燃料調整単価とは、我々電気の消費者に燃料調整を請求するためのもとになる単価です。

一般的な契約である従量電灯Bの燃料費調整単価は、燃料費調整額の上限が定められているため、1.86円/1kWhですが、スマートファミリープランの燃料費調整単価は、燃料費調整額の上限が定められていないため、8.43円/1kWhに設定されています。

この数字は、消費者が1kWh消費するごとに消費者が負担する金額ですので、これをひと月に500kWh使用した場合の電気代で計算してみると、燃料費調整額はそれぞれ、

  • 従量電灯B : 1.86円×500kWh = 930円
  • スマートファミリープラン : 8.43円×500kWh = 4,215円

となります。

これが電気代に盛り込まれて我々利用者に請求されます。

このように、ひと月に500kWh使用したケースだと、スマートファミリープランのほうが従量電灯Bよりひと月に3,285円高くなります

従って、スマートファミリープランの「2年契約割引(年間777円の割引)」や「300kWh超過分からの電力量料金単価が従量電灯Bに比べ、1.10円/kWh割安になる」という特典をもってしてもスマートファミリープランの電気代が高くなることがわかります。

仮に、ひと月に200kWhしか使用しなかった場合でも、燃料費調整額はそれぞれ、

  • 従量電灯B : 1.86円×200kWh = 372円
  • スマートファミリープラン : 8.43円×200kWh = 1,686円

となり、1,000円以上、従量電灯Bがお得になります。

ちなみに、2023年3月の燃料費調整単価は、スマートファミリープランは8.11円/1kWhに、従量電灯Bは1.86円/1kWhに設定されています。

しばらくは、燃料代の高騰は続きそうなのでスマートファミリープランが従量電灯Bより高くなる傾向は変わらないことが予想されます。

新電力会社も燃料費調整の上限が定められていない場合が多い

スマートファミリープランは燃料費調整の上限が設定されていないので燃料が高騰している時は、上限が設定されているプランよりも電気代が高くなるということが分かりました。

しかし、これは新電力会社も同じことが言えます。

新電力会社も燃料費調整の上限が定められていない場合が殆どです。

従って、ここのところの経済情勢で燃料費が高騰し、上記の理由で大手電力会社の電気代の方が安くつくケースが増えています。

しばらくは、燃料代の高騰は続きそうなので、上限を撤廃した新電力会社と契約している人は大手電力会社に戻した方がいいかもしれません。

電気代値引きの影響

電気代・ガス代高騰対策として政府が負担軽減策「電気・ガス価格激変緩和対策事業」を開始し、2023年1月から電気代やガス代から一定額が値引きされています。

電気代が値下げされる期間とその額は、

  • 2023年1月〜8月までは1kWh当たり7円
  • 2023年9月は1kWh当たり3.5円の値引き

となり、実際の請求に反映されるのは2月検針分から10月検針分までになります。

九州電力の料金値引き

そして、この値下げは、従量電灯Bだけでなくスマートファミリープランにも適用されます

電気代値引きの影響

上のテーブルのように、この値引きを適用した結果、2023年2月の燃料費調整単価は、

  • 従量電灯Bは1.86円がマイナス5.14円
  • スマートファミリープランは、8.43円が1.43円

なっています。

これをひと月に500kWh使用した場合の電気代で計算してみると、燃料費調整額はそれぞれ、

  • 従量電灯B : -5.14円×500kWh = -2,570円
  • スマートファミリープラン : 1.43円×500kWh = 715円

となり、値引き前の金額から3,500円安くなっています(500kWh×7円)。

当然、従量電灯Bとスマートファミリープランの価格の差(3,285円)は割引前と同じです。

まとめ

以上、燃料費調整額とは何か?九州電力のスマートファミリープランと従量電灯Bの燃料費調整額はいくらか、また、それが電気代にどう影響するかを解説してきました。

これからもわかるように、燃料費が高騰している間は、ほぼ九州電力のスマートファミリープランは従量電灯Bと比較すると電気代は高くなります

九州電力のホームページでは「燃料価格が高騰した時はスマートファミリープランの方が燃料費調整額が高くなる可能性があります」とは書いてありますが、今現在どういう状況なのか、今後の見通しはどうか、また、現在の燃料費調整額はいくらか、などは一緒に書かれていません。

従って、自分で調査して契約しなければなりません。

燃料費調整単価は前もって掲載されますので、その数値を見てスマートファミリープラン、従量電灯Bのいずれを契約するか、決める必要があります。

基本的には、スマートファミリープランの燃料費調整単価が、従量電灯Bのそれより1円でも高くなれば、スマートファミリープランの電気代の方が安くなります。

ちなみに新電力会社も燃料費調整単価の上限を廃止しているところが殆どです。

そのため従来は安かった電気代も燃料の高騰で電気代は高くなる可能性があります。新電力会社もこういったことは親切に説明していないところが多いため自分で調べて選ぶ必要があります。

スマートファミリープランから従量電灯Bへも、また、新電力会社から大手電力会社へもオンラインで簡単に契約を変更することができます。

尚、新電力会社と契約中の人は解約に伴い違約金等が発生する可能性もありますので、確認するようにしましょう。