技術士試験の難易度と合格率

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ここでは、技術士とはどういう資格か、技術士の試験の難易度や合格率などを解説しています。

技術士とは?

技術士は、公益社団法人日本技術士会により実施される国家資格で、科学技術に関する分野において高度な専門知識と応用能力を持つ者であることを証明する国家資格です。

認知度はあまり高くありませんが、技術分野では最高位の資格と評されています。

技術士が業務を行うことができる技術部門には、機械部門、船舶・海洋部門、航空・宇宙部門、建設部門、農業部門などの21部門があり、各技術分野において、計画、研究、設計、分析、試験、評価、または、これらの指導業務などを行うことを業務としています。

ちなみに、技術士の有資格者数の割合は建設部門が多く、半数近くを占めています。

建設部門では、建設コンサルタントのほか、道路や鉄道の設計・計画、特定指定建物の設計・計画、地質調査といった業務を行います。

就職先は、建設会社をはじめ、民間コンサルタント企業、官公庁が一般的ですし、資格を活かして独立開業も可能です。

技術士は、例えば、建設業を営む場合は、舗装工事業、土木工事業、土工・コンクリート工事業の営業所ごとに必ず置かなければならない専任技術者になることができますし、公共事業の入札審査の際には、技術士の人数が重要な判断材料になりますので、安定した需要があります。

従って、特に建設業界での就職・転職には非常に有利になるほか、民間企業だけでなく官公庁で働く選択肢も見えてきますし、収入面においても高収入が期待できます。

技術士 評価
受験資格 なし
就職・転職に役立つか
定年後の再就職に役立つか
独立に役立つか
難易度 かなり難しい

技術士になるには

技術士になるには、技術士の試験に合格後、登録を受けることでなることができます。

試験は、一次試験と二次試験で構成されますが、二次試験は、一時試験合格後に、

  1. 技術士補として登録し指導技術士の下での4年を超える実務経験
  2. 職務上の監督者の下での4年を超える実務経験
  3. 指導者がいない場合は7年を超える実務経験

のいずれかが必要になります。

指導者がいる場合は、修習技術者になってからの実務経験がカウントされますが、指導者がいない場合の実務経験は修習技術者となる前の経験もカウントすることができます。

技術士試験の仕組み

技術士補とは?

技術士補とは、「技術士となるのに必要な技能を修習するため、登録を受け、技術士補の名称を用いて、技術士の業務について技術士を補助する者」のことです。

  1. 技術士第一次試験合格者又は指定された教育課程を修了し、同一技術部門の補助する技術士を定めて、法定の登録を受けていること
  2. 技術士補の名称を用いて、技術士の業務を補助する業務を行うこと

という要件を満たした者です。

従って、第一次試験に合格しただけでは技術士補を名乗ることはできません。指導技術士の下で登録手続きを行う必要があります。

技術士補となる資格の特例として「指定された教育課程の修了者」とありますが、これは「大学その他の教育機関における課程であって科学技術に関するもののうち、その修了が第一次試験の合格と同等であるものとして文部科学大臣が指定したものを修了した者」のことです。

参考:公益社団法人 日本技術士協会 指定された教育課程の修了者

技術士試験の概要

技術士試験は、技術士第一次試験、技術士第二次試験に分けて実施されます。

技術士第二次試験合格者が登録手続きを行うと、技術士となることができます。

受験資格

第一次試験

第一次試験は、年齢・学歴・国籍・業務経歴等による制限はなく誰でも受験できます。

第二次試験

第二次試験を受験するには、受験申込みを行う時点で、以下の①及び②の要件を満たす必要があります。①②の両方とも満たす必要があることに注意が必要です。

  1. 技術士第一次試験合格者又は指定された教育課程の修了者
  2. 下記の1~3のうち、いずれかの科学技術に関する実務経験を有していること
    1.技術士補として、技術士の指導の下で、4年(総合技術監理部門は7年)を超える実務経験(技術士補登録後の期間に限る)
    2.職務上の監督者の指導の下で、4年(総合技術監理部門は7年)を超える実務経験(技術士第一次試験合格後の期間、指定された教育課程修了後の期間に限る)
    3.指導者や監督者の有無・要件を問わず、7年(総合技術監理部門は10年)を超える期間の実務経験(技術士第一次試験合格以前の実務経験、指定された教育課程修了以前の実務経験も含む)

試験日時・試験地

試験日時

第一次試験は、例年、6月中旬~7月初旬に願書が配布・受付され10月に試験が行われます。

第二次試験は、例年、4月初旬~4月下旬に願書が配布・受付され7月に試験が行われます。令和2年は新型コロナウイルスの影響で試験は9月に変更されました。

試験地

筆記試験の試験地は、例年、北海道、宮城県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県です。

口頭試験は東京都のみで実施されます。

試験の方法と内容

第一次試験

試験は、総合技術監理部門を除く20の技術部門について、基礎科目、適性科目、専門科目に分けてマークシート形式(五肢択一式)で行われます。

基礎科目(1時間:配点15点満点)

科学技術全般にわたる基礎知識(次の5分野)

  1. 設計・計画に関するもの(設計理論、システム設計、品質管理等)
  2. 情報・論理に関するもの(アルゴリズム、情報ネットワーク等)
  3. 解析に関するもの(力学、電磁気学等)
  4. 材料・化学・バイオに関するもの(材料特性、バイオテクノロジー等)
  5. 環境・エネルギー・技術に関するもの(環境、エネルギー、技術史等)
適性科目(1時間:配点15点満点)

技術士法第4章(技術士等の義務)の規定の遵守に関する適性

専門科目(2時間:配点50点満点)

20の技術部門のうち、受験者があらかじめ選択する1技術部門に係る基礎知識及び専門知識(尚、総合技術監理部門については、当分の間実施されません)

第一次試験の免除

情報処理安全確保支援士試験合格者及び情報処理技術者試験の高度試験合格者などは、専門科目(情報工学部門)を免除、中小企業診断士第2次試験合格者等は、専門科目(経営工学部門)が免除されるなど、一部試験の免除があります。

第二次試験

筆記試験及び口頭試験により行い、口頭試験は、筆記試験に合格した者について行われます。

筆記試験

筆記試験は、必須科目と選択科目で実施されます。

必須科目は、文部科学省令で定める次の21の技術部門の中から、あらかじめ1技術部門を選択。

選択科目は、各技術部門に設定された科目の中から、あらかじめ選択する1科目を選択。

  1. 機械部門
  2. 船舶・海洋部門
  3. 航空・宇宙部門
  4. 電気電子部門
  5. 化学部門
  6. 繊維部門
  7. 金属部門
  8. 資源工学部門
  9. 建設部門
  10. 上下水道部門
  11. 衛生工学部門
  12. 業部門
  13. 森林部門
  14. 水産部門
  15. 経営工学部門
  16. 情報工学部門
  17. 応用理学部門
  18. 生物工学部門
  19. 環境部門
  20. 原子力・放射線部門
  21. 総合技術監理部門

①機械部門から⑳原子力・放射線部門までの20技術部門において、

  • 必須科目(記述式2時間)
    技術部門全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの
  • 選択科目(記述式3時間30分)
    1.選択科目についての専門知識及び応用能力に関するもの
    2.選択科目についての問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの

㉑総合技術監理部門において、

  • 必須科目(択一式2時間及び記述式3時間30分)
    総合技術監理部門に関する課題解決能力及び応用能力
  • 選択科目(記述式2時間及び記述式3時間30分)
    1.技術部門全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの
    2.選択科目についての専門知識及び応用能力に関するもの
    3.選択科目についての問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの
口頭試験(20分)

口頭試験は、筆記試験の合格者に対して、技術士としての適格性を判定することに主眼をおき、筆記試験における記述式問題の答案及び業務経歴を踏まえ実施されます。

第二次試験の免除

技術士第二次試験の合格者が、総合技術監理部門を受験する場合は、既に合格している技術部門・選択科目に対応する選択科目が免除されます(総合技術監理部門の必須科目のみを受験)。

受験手数料(令和元年実績)

第一次試験:11,000円(非課税)

第二次試験:14,000円(非課税)

技術士合格者の特典

名称独占資格

技術士(技術士補も)は、業務独占資格ではありませんが、名称独占資格です。

有資格者として認められているもの

  1. 建設業法の一般建設業及び特定建設業における営業所の専任技術者等
  2. 建設コンサルタント又は地質調査業者として登録する専任技術管理者
  3. 公共下水道又は流域下水道の設計又は工事の監督管理を行う者
  4. 鉄道事業法の鉄道事業における設計管理者
  5. 中小企業支援法による中小企業・ベンチャ-総合支援事業派遣専門家その他

資格試験の一部または全部の免除

技術士の二次試験合格者は、次の資格試験の免除を受けることができます。

  • 弁理士:論文試験免除(全技術部門)
  • 中小企業診断士:筆記試験一部免除(情報工学)
  • 気象予報士:学科試験免除(応用理学)
  • 消防設備士試験:技術の部門に応じ、筆記試験の一部免除
  • 労働安全コンサルタント(筆記試験一部免除)その他

技術士試験の難易度と合格率

試験の合格基準と合格率

合格基準

第一次試験は、基礎科目、適性科目、専門科目ともに50%以上の得点で合格。

第二次試験は、各科目ともに60%以上の得点で合格(口頭試験も6割)。

合格率

第一次試験の合格率は、例年30~50%前後で推移しています。

令和4年度は、17,225人が受験し、7,251人が合格。合格率は、42.1%でした。

第二次試験の合格率は、例年10%前後で推移しています。

令和4年度は、22,489人が受験し、2,632人が合格。合格率は、11.7%でした。

ちなみに第二次試験のうちの口頭試験の合格率は例年90%程度です。

技術士試験の難易度

技術士試験は技術系の国家資格の中でも最難関の資格試験です。

第二次試験の合格率は、10%程度ですが、第一次試験に合格した人や社会に出て専門的な実務経験を経た人だけが受験してこの数字ですのでかなり難易度の高い試験です。

難易度: かなり難しい(第二次試験)

合格までの学習時間の目安:1500時間

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