国民年金の任意加入制度で貰える年金額を増やす

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国民年金の任意加入制度をご存じでしょうか?

国民年金の任意加入制度を利用すると、不足していた加入期間を満たして老齢基礎年金の受給資格を得たり、貰える老齢基礎年金額を増やすことができます。

制度や手続きの案内は送付されてきませんので、自分で手続きをする必要があります。

私も先日、市役所で国民年金任意加入の手続きをしてきました。

ここでは、国民年金の任意加入制度とその加入手続きついて解説しています。

国民年金の任意加入制度とは

国民年金は、20歳から60歳になるまで強制加入期間となっています。

40年間(480ヵ月)、つまり満額を支払えば、老齢基礎年金を満額(令和4年度の場合:年間77万7,800円)一生涯受給することができます。

しかし、長い人生の中では、学生だったり、休職期間があったり、無職だったり、またパートやアルバイトなどをして保険料の支払いができなかった時期があったりします。

結果、

  1. 老齢基礎年金の受給資格期間(国民年金の支払い期間10年)を満たしていない人や
  2. 受給資格期間は満たしているけれど老齢基礎年金が満額受給できない人(納付月数が480ヵ月に満たない人)

も少なからずいて、その分、年金を貰えなかったり、貰える年金額も少なくなったりします。

こういう人たちを救済するために生まれた制度が、国民年金の任意加入制度です。

本人の申し出により60歳以降でも納付月数480ヵ月を上限に、国民年金保険料を納めることで、老齢基礎年金の受給資格を得たり、受け取る老齢基礎年金を増やすことができます。

任意加入制度には、

  1. 60歳以上65歳未満の人が加入できる「高齢任意加入」と
  2. 65歳以上70歳未満の人が加入できる「特例高齢任意加入

があります。

高齢任意加入

高齢任意加入は、次の全ての条件を満たす場合に申し出て手続きをすることで国民年金に加入できる制度です。

  1. 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の方
  2. 老齢基礎年金の繰り上げ支給を受けていない方
  3. 20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満の方(保険料の納付期間10年を満たしていない方も)
  4. 厚生年金保険、共済組合等に加入していない方
  5. 日本国籍を有しない方で、在留資格が「特定活動(医療滞在または医療滞在者の付添人)」や「特定活動(観光・保養等を目的とする長期滞在または長期滞在者の同行配偶者)」で滞在する方ではない方

ただし、申し出のあった月からの加入となり、遡って加入することはできません

なお、任意加入は、基本的に一度加入すれば65歳になるまで自動的に継続しますが、受給資格期間を満たすことのみを目的としている場合は、任意加入手続時に、受給資格期間を満たしたらその後の継続は希望しない旨も伝えることができます。

また、保険料納付済期間が480月(40年)に達すると任意加入被保険者の資格を喪失します。

特例高齢任意加入

特例高齢任意加入は、次の条件を満たす場合に申し出て手続きをすることで、最長70歳まで国民年金に加入できる制度です。

  1. 1965年(昭和40年)4月1日以前に生まれた日本国内に住所を有する65歳以上の方で満65歳の時点で老齢基礎年金の受給要件(保険料の納付期間10年)を満たしてない方

つまり、1965年(昭和40年)4月1日以前に生まれた方は、60歳から70歳まで任意加入を利用して老齢基礎年金の受給要件(保険料の納付期間10年)を満たすことができます。

ただし、申し出のあった月からの加入となり、遡って加入することはできません

特例高齢任意加入は、老齢基礎年金の受給要件(保険料の納付期間10年)を満たさなかった場合の救済措置であり、高齢任意加入と異なり年金額の増額を希望して加入することはできません

国民年金の任意加入で貰える年金額を増やす

国民年金の任意加入制度を利用すると、年金受給額を増やしたり、貰えなかった年金が貰えるようになったりします。

例えば、60歳までに450ヵ月保険料を納付していた人は、60歳から65歳までの間に任意加入制度を利用して満額になるまで30ヵ月分を納付して国民年金を満額を受け取ることができます。

また、60歳までに例えば7年しか保険料を納付していなかった人は、老齢基礎年金を貰う資格がありませんが、60歳から65歳(1965年4月1日以前に生まれた方は70歳)までの間に任意加入制度を利用して3年分以上納付することで、老齢基礎年金を貰う資格を得ることができます。

国民年金保険料の追納制度との違い

尚、よく似た制度に国民年金保険料の追納制度というものがあります。

追納制度は、収入が減ったり、失業したりして、国民年金保険料の免除や納付猶予を受けたり、また、学生時代に支払う余裕がなく学生納付特例を受けた期間がある場合に、後から納付(追納)することで、老齢基礎年金の年金額を増やすことができる制度です。

付加保険料の納付もおすすめ

国民年金の任意加入を行う場合は、月額400円の納付で受け取る年金額が増える付加保険料の納付を合わせて行うのがおすすめです。

付加年金とは、国民年金保険料に付加保険料月額400円上乗せして納めることで、付加保険料の納付月数×200円が一生涯支払われる制度です。

付加年金は、第1号被保険者65歳未満の任意加入被保険者が加入できます。

任意加入制度を利用する方は、付加年金も合わせて加入するようにしましょう。

任意加入で支払った保険料も付加保険料も社会保険料控除の対象となり、節税対策になります。

国民年金の任意加入の加入手続き

60歳以上65歳未満の方は、60歳の誕生日の前日より任意加入の手続きをすることができます。

60歳になったから、と特に案内が送付されてくることはありませんので60歳になったら自分で任意加入の手続きをしに行く必要があります。

任意加入の申し込み窓口は、住んでいる市区役所・町村役場の国民年金担当窓口、または、近くの年金事務所となります。

  1. 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
  2. 年金手帳または基礎年金番号通知書
  3. 預貯金等通帳・金融機関届出印(口座振替の場合)
  4. クレジットカード(クレジットカード払いの場合)

を用意して手続きをしに行きます。

市区役所・町村役場によっては、クレジットカードに対応していないところもあります。

また、本人確認書類と年金手帳または基礎年金番号通知書は、マイナンバーカードでOKとするところもあります。

詳細は、お住まいの市区役所・町村役場に確認して下さい。

市区役所・町村役場の国民年金担当窓口、または、近くの年金事務所に行くと任意加入ができる期間が調べられた後、何枚もの書類に必要事項を記入して手続きが完了します。

納付の仕方には、前納も選択できますので、どうせ支払うのであれば利用したいものです。前納することで納付額を少なくすることができます。

手続きをした後は、ハガキで引落し時期の確認の通知が届きます。問題がなければ返信や確認をする必要はありません。

ちなみに私は、30ヵ月ほど未納の期間があったので、2年前納も利用しました。現時点で既に全額納めていますので、国民年金は全額、そして30ヵ月分の付加保険料分も受け取ることができます。

まとめ

国民年金の任意加入制度とは、

  1. 老齢基礎年金の受給資格期間(国民年金の支払い期間10年)を満たしていない人や
  2. 受給資格期間は満たしているけれど老齢基礎年金が満額受給できない人(納付月数が480ヵ月に満たない人)

が、本人の申し出により60歳以上65歳未満(65歳誕生日の前月まで)の5年間に、納付月数480ヵ月を上限に、国民年金保険料を納めることで、65歳から年金を受け取れる資格を得たり、受け取る老齢基礎年金を増やすことができる(高齢任意加入)制度です。

さらに、

  1. 1965年(昭和40年)4月1日以前に生まれた日本国内に住所を有する65歳以上の方で満65歳の時点で老齢基礎年金の受給要件(保険料の納付期間10年)を満たしてない方

は、本人の申し出により65歳以上から70歳未満までの間も国民年金保険料を支払って受給資格を得ることができます(特例高齢任意加入)。

但し、老齢基礎年金の繰り上げ支給を受けている人や厚生年金保険、共済組合等に加入している人は加入することはできません。

該当する人は長生きリスク対策として是非活用したい制度です。