情報処理安全確保支援士の難易度は?

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ここでは、情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)試験の概要やその難易度、また、転職や再就職に有利かなどをまとめています。

情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)とは?

情報処理安全確保支援士は、情報セキュリティの重要性が高まっている中、政府機関や企業等における情報セキュリティ確保支援を業とする人材確保のために新設された国家資格です。

急激に増加しているサイバー攻撃などに対抗しうるサイバーセキュリティ対策の専門家です。

2016年10月まで実施されていた情報処理技術者試験(高度試験)の「情報セキュリティスペシャリスト試験(SC)」が廃止され、2017年から新たに「情報処理安全確保支援士試験(SC)」として生まれ変わりました。

そして、合格後、所定の登録手続きをすることで、「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」という情報系国家資格の中で初の登録制「士業」となる資格になりました。

士業として業務に関する秘密保持の義務を負っているため高い信頼性をもち、官公庁の入札の中には資格保持者がいることを条件とするものもあります。

情報処理安全確保支援士資格の変遷

情報処理安全確保支援士 評価
受験資格 なし
就職・転職に役立つか
定年後の再就職に役立つか
独立に役立つか
難易度 難しい

情報処理安全確保支援士は情報セキュリティ国家資格の最高峰資格

需要が増すサイバーセキュリティの人材は、相当数不足しているとされており、その人材確保のために情報系試験も整備されてきています。

その中でも「情報処理安全確保支援士」は、情報セキュリティ国家資格の最高峰の資格とされており、さらに、情報系資格初の登録制「士業」となったことで注目を集めています。

情報処理安全確保支援士の権利と義務

情報処理安全確保支援士の権利

情報処理安全確保支援士(通称登録セキスペ)を名乗るには、試験に合格した後、登録申請が必要であり、さらに3年ごとに更新申請をする必要があります。

試験の合格者はいつでも登録申請ができますが、合格日から3年以上経過した人(例えば合格から5年経った人)は、登録日から1年以内にオンライン講習と集合研修の両方を受講する義務があり、これを怠ると欠格となり、資格は剥奪され、更新もできなくなります。

情報処理安全確保支援士として登録すると、カード型の登録証が交付され、情報処理安全確保支援士の資格名称や、ロゴマーク(登録番号を併記)を名刺やビジネス文書、論文などに掲示することが可能(名称独占資格)となります。

<IPA 独立行政法人 情報処理推進機構より引用>

情報処理安全確保支援士の登録証

登録証は、更新毎に色が変わり2回目の更新以降はゴールドとなります。

また、希望者は登録者として情報が一般公開されます。

尚、情報処理安全確保支援士は情報処理系の国家資格の中で初の「士業」となる資格ですが、現在のところ特に独占的にできる業務が定められている訳ではなく必置資格でもありません。

今後、必置化の検討とともに法整備されていくものと思われます。

情報処理安全確保支援士が必置化に?
社会的なIT依存度の高まりの中、サイバー攻撃の増加・高度化に伴い、企業・組織におけるサイバーセキュリティ対策の重要性が高まっています。

これに伴い、情報処理安全確保支援士制度の普及策が検討されており、企業や組織の経営層への訴求活動として、今後、情報処理安全確保支援士が必置化される可能性がでてきています。

参考:経済産業省の情報処理安全確保支援士制度の普及策

また、これに伴い、独占業務も制度化される可能性もあります。

情報処理安全確保支援士の義務

一方で、情報処理安全確保支援士には、

  • 信用失墜行為の禁止
  • 業務に関して知り得た秘密の保持
  • サイバーセキュリティに関する定期的な講習の受講

といった義務が課せられています。

定期的な講習は、情報処理推進機構が行うオンライン講習が毎年1回、情報処理推進機構または民間事業者等が行う集合講習(実践講習)が3年に1回です。

費用はそれぞれ2万円、8万円ほどとやや高額です。

更新をしないと情報処理安全確保支援士の資格は失効(試験に合格したことは失効しない)し、情報処理安全確保支援士と名乗れなくなります。但し、現在のところ再登録が可能です。

また、これらの義務に違反した場合は、資格名称の使用停止、または、登録の取消の処分などが命じられることもあります。

このような義務も発生するため、試験に合格後登録することを様子見している人もいます。

情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)になるには?

情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)には、試験に合格するなどして登録資格を得た後、登録手続きを行うことでなることができます。

情報処理安全確保支援士試験の概要

情報処理安全確保支援士試験は、サイバーセキュリティに関する専門的な知識・技能を活用して企業や組織における安全な情報システムの企画・設計・開発・運用を支援し、また、サイバーセキュリティ対策の調査・分析・評価を行い、その結果に基づき必要な指導・助言を行う者を対象者像として試験が行われます。

受験資格

受験資格は必要ありません。

年齢、学歴、国籍、性別、実務経験等に関係なく誰でも受験できます。

試験日時

情報処理安全確保支援士試験は、春と秋の年2回実施されます。

春期試験・秋期試験

春期試験は、例年1月中旬から2月中旬にかけて申し込みを受け付け、4月の第3日曜日に試験が実施されます。

秋期試験は、例年7月中旬から8月中旬にかけて申し込みを受け付け、10月の第3日曜日に試験が実施されます。

試験免除制度

情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験については,次の①~③のいずれかを満たすことによって、その後2年間受験を免除されます。

  1. 応用情報技術者試験に合格する
  2. いずれかの高度試験又は支援士試験に合格する
  3. いずれかの高度試験又は支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績を得る

試験の方法と内容

試験は、午前1・2と午後1・2に分かれて下記の要領で実施されます。

項目 午前Ⅰ 午前Ⅱ 午後Ⅰ 午後Ⅱ
試験時間 9:30~10:20
(50分)
10:50~11:30
(40分)
12:30~14:00
(90分)
14:30~16:30
(120分)
出題形式 多肢選択式
(四肢択一)
記述式
出題数
解答数
出題数:30問
解答数:30問
(高度試験共通)
出題数:25問
解答数:25問
出題数:3問
解答数:2問
出題数:2問
解答数:1問

午前Ⅰの試験

テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系から30問

※四肢択一問題30問×3.4点で合計 100点

午前Ⅱの試験

テクノロジ系、マネジメント系から25問

※四肢択一問題25問×4点で合計 100点

  1. データベース
  2. ネットワーク
  3. セキュリティ
  4. システム開発技術
  5. ソフトウェア開発管理技術
  6. サービスマネジメント
  7. システム監査

の7分野から出題

午後Ⅰ・Ⅱの試験

  1. 情報セキュリティマネジメントの推進又は支援に関すること
  2. 情報システムの企画・設計・開発・運用におけるセキュリティ確保の推進又は支援に関すること
  3. 情報及び情報システムの利用におけるセキュリティ対策の適用の推進又は支援に関すること
  4. 情報セキュリティインシデント管理の推進又は支援に関すること

午後Ⅰは、上記の範囲から3問出題され、2問を選択して解答します。

午後Ⅱは、上記の範囲から長文問題が2問出され、うち1問を選択して解答します。

合格基準・合格率

合格基準

午前Ⅰ・Ⅱ、午後Ⅰ・Ⅱともに100点満点中60点以上が基準点。

高度情報処理試験には以下の足切りがあります。

  1. 午前Ⅰ試験の得点が基準点に達しない場合は午前Ⅱと午後の試験の採点を行わずに不合格
  2. 午前Ⅱ試験の得点が基準点に達しない場合は午後Ⅰ・午後Ⅱ試験の採点を行わずに不合格
  3. 午後Ⅰ試験の得点が基準点に達しない場合は午後Ⅱ試験の採点を行わずに不合格

試験結果に問題の難易差が認められた場合には,基準点の変更が行われることがあります。

合格率

例年15%前後でしたが、ここ数年、合格率が上がり、令和4年春期の合格率は19.2%でした。

11,117人が受験し、2,131人が合格しています。

受験手数料

7,500円

情報処理安全確保支援士登録料

登録手数料:10,700円

登録免許税:9,000円

情報処理安全確保支援士試験合格者の特典

試験の免除

情報処理安全確保支援士試験に合格した者や午前Ⅰ試験で基準点以上の成績をとった者は、その後、2年間、受験申込み時に申請することによって、情報処理技術者試験の高度試験の午前Ⅰ試験が免除され、午前Ⅱ試験から受験することが可能です。

情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験で基準点以上の成績をとった者は、その後、2年間、受験申込み時に申請することによって、情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅰ試験が免除され、午前Ⅱ試験から受験することが可能です。

科目の免除

また、情報処理安全確保支援士試験の合格者は、

  1. 弁理士試験の理工V・情報
  2. 技術士試験の情報工学部門
  3. ITコーディネータ(ITC)試験の科目免除
  4. 情報セキュリティ監査人補の筆記試験免除

などの科目免除があります。

任用資格

任用資格とは、特定の職業ないし職位に任用されるための資格のことです。

情報処理安全確保支援士試験の合格者は以下の任用資格が与えられます。

  1. 警視庁特別捜査官の3級職(警部補)のサイバー犯罪捜査官の採用資格
  2. 技術航空幹部(1等空尉・2等空尉)の採用資格
  3. 技術陸曹・海曹(2等海曹・1等空曹)の任用資格

登録名簿の一般公開

情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)として登録した場合は、登録名簿が一般公開されます。ここには、得意分野やその他の保有スキルなども記載できるため、自己アピールとして活用することができます。

情報処理安全確保支援士試験の難易度

情報処理安全確保支援士は、情報セキュリティ国家資格の最高峰の資格です。

高度試験から独立した情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)試験ということで、難易度が問題となることがありますが、難易度は、これまでの高度試験「情報セキュリティスペシャリスト試験」と同じ、レベル4とされています

合格率は15%~20%程度と、さほど低くはありませんが、これは受験者のレベルが高いためです。応用情報技術者やその他の高度情報処理試験の合格者が受験しますので、言わば、合格率においては2次試験的な意味合いを持つと考えていいでしょう。

但し、他の高度試験は試験が年に1回なのに対して情報処理安全確保支援士試験は年に2回実施されますので、取得できるチャンスは多いと言えます。

他の情報処理技術者試験と比較した場合は、最難関とされるITストラテジスト試験システム監査技術者試験、またプロジェクトマネージャ試験に次ぐ難易度と言われています。

その他の資格では、中小企業診断士と同等レベルだと考えられます。

難易度: 難しい

合格までの学習時間の目安:1200時間

尚、合格までの学習時間の目安は、知識ゼロから合格を目指す場合です。経験やその他保有資格により目安より短期間で合格することが可能です。

情報処理安全確保支援士試験のおすすめ講座

情報処理技術者試験は制度や資格の名称がコロコロ変わるため、講座を開講するところは少ないのが現状です。

おすすめの講座は、資格の大原やTACの通信講座です。

特に、資格の大原は、学習レベルに応じて3つのコースをご用意。

  1. 情報処理の学習が初めての方は「IT初学者のための総合本コース」
  2. 基本情報技術者試験レベルの知識からの復習・確認からスタートする「応用情報から学ぶ総合本コース」
  3. 午前Ⅰ試験免除者のための「午前Ⅰ免除者コース」

の3種類から選ぶことができます。

参考:大原の情報処理安全確保支援士

情報処理安全確保支援士は転職や定年後の再就職に有利か

社会的なIT依存度の高まりから、サイバー攻撃による社会的脅威が急速に増大していおり、セキュリティの強化やその対策に関する業務を強化する企業は今後、ますます増えてきます。

このため、セキュリティに関する国家資格の頂点である情報処理安全確保支援士の資格取得者は就職や転職、また、定年後の再就職には間違いなく有利になります。

特に、中堅・大手企業は、情報セキュリティに関しては特に敏感になっていることから、この資格があれば、大手企業への就職・転職も夢ではなくなります。

また、情報処理業界に従事する人で定年退職を迎えた人は、この資格があれば良い条件での再雇用が可能になりますし、経験次第で定年後の再就職にも強い武器となります。

必置化されれば需要はさらに増えますので就職や転職ではますます有利となります。

一方で独立はというと、政府関連機関や情報セキュリティシステム開発企業、大手企業のセキュリティシステム部署などで実績や経験を重ねると、セキュリティコンサルタントやセキュリティアナリストとして独立できる可能性もあります。

但し、士業とはいえ、現在のところ独占業務もなく、また、セキュリティに関する問題の性質上、個人に依頼する企業は少ないことが予想されます。

従って、当面は顧客次第ということになりますが、少なくとも今後は情報処理安全確保支援士制度の普及策が整備され、個人への需要も増えていくと思われます。

定年後の再就職に役立つ資格や独立できる資格については下の記事でまとめています。