2021年10月にセコム株式会社が20代以上男女(20-29歳、30-39歳、40-49歳、50-59歳、60歳以上/男女各50名の計500名)を対象に実施した「老後の不安に関する意識調査」によると、およそ8割以上の人が老後の生活に不安を抱えているという調査結果が出ています。
そして、その中でも最も不安を感じることとされているのが、「健康に対する不安」と「経済的な負担に関する不安」です。
にもかかわらず、このうちの6割近くの人が対策をしていないと回答し、その理由の多くは、具体的にどのような対策をすればよいかわからないからとされています。
そこで、ここでは、定年後・老後の経済的な問題に対する対策の一つである「副業」について、定年後でも始められる・続けられるシニア向けの副業について解説しています。
定年後を見据えた副業選びのポイント
初期投資が少なく失敗した時のリスクが少ないもの
定年後の仕事の探し方と働き方でも紹介した通り、定年後に需要のある仕事は、警備員や清掃員、介護スタッフといった体力を使う仕事が主流です。
たまにあるオフィスワークも求人枠が少ない上に応募も殺到するため就職は困難です。
まだまだ体力と気力があり、どんな仕事でも楽しんでできるのであれば問題ありませんが、そうでなければ自分の希望する仕事ができるように前もって準備しておく必要があります。
幸いインターネットが生活の一部となった現代は色々な副業があります。
趣味をブログで綴って広告収入を得ることもできますし、ハンドメイド作品をネットで販売したり、得意なことを教えて稼ぐこともできます。
そういった様々な副業がある中で、定年後・老後を見据えた副業を選ぶ場合は、まずは初期投資が少ないもの、そして、失敗した時のリスクが少ないものを選ばなければなりません。
やり直しがききにくいからです。
そして、一時的なお小遣い稼ぎ目的の誰でもができる副業よりも、できれば定年後の安定した収入源に育てるためにもスキルアップができるもの、また、楽しく仕事ができるために、生きがいを意識したものを選ぶのがポイントです。
副業詐欺に注意
近年は、老後2,000万円問題や働き方改革の後押しもあり副業を始める人が増えています。
そして、その人たちをターゲットにした副業詐欺も増えています。
基本的には、簡単に、誰でも、1日たった30分の作業で、などという謳い文句で誘ってくるビジネスは副業詐欺と考えて間違いありません。
先にお金を請求されたらほぼ詐欺まがいのものと考えて間違いありません。取り組む前にビジネスの内容を把握し、先にお金を請求されそうであれば手を出さないのが原則です。
シニアの方であればお分かりだと思いますが、簡単に多くの収入を得られるビジネスはありません。そんなものがあればたちまち世の中に広がり、みんなが既に始めています。
ここで紹介する副業もそうですが、収入を得るには多少の努力が必要です。
まずは月に5万円の収入を目標とする
副業ですぐに何十万円も稼げるようになるのは至難の業です。
まずは、ひと月に5万円の収入を目標にして下さい。
ここで紹介する「定年後でも続けられるシニア向けの副業」も、定年後の安定した収入源になりそうなものをピックアップした結果、月に5万円程度の収入が現実的なものとなっています。
そして、地道に続けてスキルを上げ、徐々に収入を増やしていくことになります。
それでは、定年後でも続けられるシニア向けの副業を具体的に紹介していきます。
ある程度、安全で安定した収入が見込めるものを厳選していますので、株やFXといった投資関連のものや、労力の割には稼げないアンケートや懸賞サイト、ポイントサイト、また、案件が少ない覆面調査といったものは除外しています。
定年後でも続けられるシニア向けの副業
副業の中で最もおすすめなのがインターネットを使った副業です。
今やインターネットを全く無視した副業は成立しないといっても過言ではありません。
インターネットを使った副業は、初期投資も少なくて済み、パソコンとインターネット環境があれば誰でも始められます。
高度な専門知識が必要ないものも多数あります。
失敗して負債をかかえるといったリスクもほぼないのでおすすめです。
ネットビジネスには様々なものがありますが、シニアの方におすすめなのは以下の8つです。
- ブロガー(Google Adsense)
- アフィリエイト
- Webライター
- せどり・転売
- ネットショップ(ECショップ)運営
- 動画編集
- クラウドソーシング
- YouTuber
副業を探している人であれば、どれも見たり聞いたりしたことがあるものばかりかもしれませんが、現在、安定して稼げる副業は限られています。
一つづつ解説していきます。
ビジネスへの取り組みやすさ・継続しやすさは難易度(星印)で表しています。
また、パソコンとインターネット環境の準備は済んでいるものとして解説します。
易しい~難しい 期待できる月収
1.ブロガー(Google Adsense)
ブロガーは、ブログを開設して広告を貼り、広告収入を得る副業です。
一般的には、Googleの広告配信サービス「Google Asense(グーグルアドセンス)」を利用して広告収入を稼ぎます。
ブログを開設してGoogle Asenseに登録し、ブログにGoogle Asenseから提供される広告コードを貼ると、記事の内容や訪問者に関連した広告が自動的に配信されます。
そして、ブログへの訪問者が広告をクリックするとそれだけで広告収入が発生します。
ユーザーが物やサービスを購入しないと成果とならないアフィリエイトと異なり、クリックするだけで報酬が発生するクリック報酬型の広告ビジネスなので安定した収入が期待できます。
収入は、ブログへの訪問者数に比例します。
無料ブログといったものもありますが、広告収入を得たい場合は自分でドメインとレンタルサーバーを用意して自らブログを開設する必要があり、この時に少しの手間と費用がかかります。
ブログを開設したらブログ専用のランキングサイトなどに登録すると一定の訪問があります。
ブログを始める手順やブログの運営にかかる費用、また、Google Adsenseの始め方は下の記事で詳しく解説しています。
1万円~5万円2.アフィリエイト
アフィリエイトは、自分ブログやサイトなどで収益化できる商品やサービスを紹介し、広告から売上に繋がったら報酬がもらえるという成果報酬型の広告ビジネスです。
まずは、ブロガー同様、ドメインとレンタルサーバーを準備してブログなどのサイトを開設する必要があります。このサイトのようにまとめサイトでも構いません。
広告主との提携は、広告主とアフィリエイターの間を取り持ってくれるASPに登録した後、広告を探して申請を行います。
そして、提携されれば用意された広告コードを自分のブログやサイトに貼り付けます。
「売上に繋がったら」というようにハードルが高いため報酬単価は高めです。
Google Asenseの1クリックにつき数十円対し、アフィリエイトは1つ売り上げたら数千円といったものが一般的です。中には、万円単位の案件もあります。
当たれば大きな収入になりますが、個人で稼ぐのは年々難しくなってきています。
近年は、Google Asenseとアフィリエイトを併用するやり方が一般的です。
0円~数十万円3.Webライター
Webライターとは、Webサイトなどに掲載する記事の執筆を代行するビジネスです。
例えば、ブログの記事を代行して書く、とか、商品やサービスを使った感想を書く、など複数のクライアントから依頼を受けて課題に沿った記事を執筆します。
自分のサイトを用意する必要もなく初期費用もかかりません。
仕事は、⑦で解説するクラウドソーシングサービスを利用して受注します。
ライターといっても記者のように高度なライティングスキルが求められる訳ではありません。殆どの案件は感想やレビューといったものなので普通に文章が書ければ問題ないのが殆どです。
ただ、続けていくうちに人の目を引く文章だったり、SEOを考慮した文章が書けるようになるため、ライティングスキルは上がっていきます。
実績を積むことで、企業に属して自社メディアの記事を執筆したり、フリーランスとして特定メディアの専属ライターとして活躍することも可能です。
専門的な知識も不要なのでとっかかりやすいこともありシニアの方や主婦にも人気の副業です。
2万円~10万円4.せどり・転売
せどりとは簡単に言うと転売のことです。
一般店舗やリサイクルショップ、ネットショップやオークションサイト、家電量販店などから新品や中古品の本や物品などを購入し(仕入れ)、メルカリやAmazonなどのオンラインサイトで自分が設定した値段で販売する古くからあるビジネスです。
販売された金額から仕入れた金額や出品したサイトの手数料、また、送料などを差し引いた額が利益となります。
安いものを調達し、メルカリやAmazonで転売するといったやり方になりますが、商品選びや価格の設定などにセンスが求められます。
レア物や限定版などを入手できれば大きな利益が期待できる一方で在庫リスクが伴います。
せどりを行う場所はいくつかありますが、初心者にも上級者にもおすすめなのがフリマアプリでも有名なメルカリです。
メルカリは、基本的には自分の家の不要なものをスマホやPCで販売したり買ったりできるフリーマッケットですが、近年はこのメルカリを利用してせどりをする人が増えています。
メルカリでのせどりのやり方は下の記事を詳しく書いていますので参考にして下さい。
また、AmazonのFBA(フルフィルメント by Amazon)を利用する手もあります。
FBAは、仕入れた商品を一括でAmazonに納品すると、商品の販売から発送、クレーム対応までをAmazonが行ってくれるというサービスです。
商品は、Amazonの倉庫であずかり、Amazonブランドの力で販売され、商品が売れると配送もちゃんとやってくれるので、自社で在庫を保管するスペースも減ります。
但し、利益とAmazonに支払う手数料のバランスに気をつける必要があります。
1万円~10万円5.ネットショップ(ECショップ)運営
売りたいもの・売れるものがある場合はネットショップの運営もおすすめです。
Amazonや楽天市場、Yahooショッピングが認知度が高いためこれらのショッピングモールを活用するやり方がおすすめですが、特にショップのデザインなど煩わしい設定が不要で個人で出品できるAmazonのFBAが人気です。
1万円~10万円6.動画編集
以前は、集客の場としては、ブログやサイトなどが主流でしたが、近年は、YouTubeやinstagram、TikTokなどの動画配信サービスの普及で動画での集客が主流になってきています。
今後、増々YouTubeなどの動画が集客ツールとして伸びていく可能性があり、それに伴い動画の編集スキルを持った人への需要も増々伸びていくことが予想されます。
動画編集はその手のソフトを使いこなすスキルが必要です。
やる気のある方は独学でもスキルを身に付けられますが、基礎からしっかり学びたい場合は、通信教育の活用もおすすめです。
仕事は、YouTuberなどのSNSで本人に直接声をかけるか、⑦で解説するクラウドソーシングサービスを利用して受注します。
現在は、既に公開されている人気YouTuberの動画のワンシーンを切り抜いて(相手の承諾は必要)YouTubeに再配信する切り抜き動画が人気です。
切り抜き動画は、顔出しする必要もありませんし、編集が上手ければ本人よりも再生回数を伸ばして稼ぐことができます(但し、多くの場合は本人と折半という契約)。
1万円~20万円7.クラウドソーシング
現在は、仕事を依頼したい人と仕事を受けたい人を結び付けるサービス「クラウドソーシングサービス」があります。
クラウドソーシングサービスを利用して、個人でも仕事を請け負うことができます。
実際、手っ取り早く副業にありつけるのは、このクラウドソーシングを利用するやり方です。
登録(無料)すれば、明日からでも稼ぐことができます。
仕事の内容としては、WEBライターやデータ入力、音声の文字起こしといった初心者でもできるものから、プログラミングやロゴデザイン作成、翻訳など専門的なものまであります。
これまでの経験やスキルを活かせたり、得意な分野で効率よく稼ぐことができます。
クラウドワークスでの副業は、企業や個人事業主が依頼している仕事を見つけて応募する形となります。
ココナラでの副業は企業や個人事業主が依頼している仕事を見つけて応募するほか、自分の得意なものを売りこんで仕事を受注するといったやり方もできます。例えば、お墓参り代行、SNSの運用代行、宿題代行、恋愛相談、転職相談、進路相談などなど。
参考:クラウドワークス
参考:ココナラ
登録しておけば、在宅ワークに関する最新のニーズや動向をキャッチすることができ、今後のビジネス展開でのヒントになります。
1万円~10万円8.YouTuber
YouTuberは、YouTubeを利用して広告収入を稼ぐビジネスです。
シニアの方でも得意分野をYouTubeで配信して稼いでいる人が増えています。
料理やキャンプ、英会話、絵画、子育てなど自分が好きなもの、続けられるもの、特にシニアの方であれば健康問題やお金の問題などを配信している方が多いようです。
視聴数を稼ぐのは簡単ではありませんが、日常をアップするだけで多くの人が見てくれるようになる場合もありますので、どういう配信が受けがいいのか研究する必要があります。
得意なものがあれば講座を開設して稼ぐことも可能です。
広告収入は、動画の配信回数によって決まります。
1万円~10万円9.フランチャイズ
フランチャイズにも副業に向いているものがあります。
例えば、ホームページの作成や運営、コインランドリーや自動販売機の設置、トランクルームやネットショップ、結婚相談所といったものから投資型の案件もあります。
本部(フランチャイザー)に加盟金やロイヤリティを支払うことで、ブランド力と経営のノウハウをすぐに手に入れることができます。
5万円~10.アルバイト
ここからはインターネットを離れた副業です。
アルバイトは、最も手っ取り早い副業です。
パソコンやインターネットといったものは苦手という人は、空き時間を見つけて単純にアルバイトをするという手もあります。
近年はシニアを歓迎するアルバイトも増えてきました。
バイトの求人情報サイトでは、バイト、アルバイト、パートの求人情報の中から、様々な条件で絞り込み検索し、自分のライフスタイルに適した条件で検索することができます。
バイトルやタウンワークなどではシニアを歓迎する求人が多く見つかります。
求人が多いのは、店舗スタッフ、警備員、梱包や仕分け作業、送迎ドライバーなどです。
1日8,000円~11.家事代行
家事が好きな女性は、家事代行という仕事があります。
家事代行とは、一般家庭の掃除や洗濯、料理や洗い物、買い物やアイロンがけなどの家事を主婦に代わってお手伝いすることでお金を稼ぐというものです。
家事代行サービスを展開するカジタクやタスカジ、CaSyなどでは、勤務地(地域)が限られますが、家事代行スタッフを募集しています。
お住まいの地域がこれらの地域ではない場合でも家事代行の募集をしているところは少なくありません。Googleなどで検索してみましょう。
家事代行サービスは、金曜日に3時間といったように空いた時間を使ってお仕事ができます。
短い時間で、お客様の感謝の気持ちと達成感を味わえるやりがいのある仕事です。
通常は、デビューから継続訪問まで、トレーナー・本社スタッフみんなでフォローします。
家事代行業者 | 勤務地 | その他 |
---|---|---|
CaSy | 【関東】東京都23区・東京都市部・神奈川県・千葉県・埼玉県 【関西】大阪府・兵庫県・京都府 【中部】愛知県 |
時給 1,500円~ |
カジタク | 東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、愛知、兵庫 | イオングループ展開 時給 1,300円~ |
タスカジ | 【関東】東京都, 神奈川県, 千葉県, 埼玉県(さいたま市、川越市周辺) 【関西】大阪府, 兵庫県, 京都府, 和歌山県, 奈良県, 滋賀県 |
平均時給1800円 |
12.資格を取得して副業
資格の中には、副業ができるチャンスを広げることができるものが多々あります。
例えば、業務独占資格はその資格を持つものしかできない業務が法律で定められている資格です。業務独占資格を取るとその資格を活かして副業ができるチャンスも広がります。
また、業務独占資格ではなくても、中小企業診断士のように、市役所などの公的機関から企業支援事業のアドバイザーとしての需要などがあるものもあります。
今はネット社会なので資格を取得した後、WEB上で営業して仕事を受注することも可能です。
ココナラでは、各種契約書の作成業務を受注している行政書士も多数見られます。
空いた時間に副業として経験を積み、定年後は、独立することも可能。定年後に再就職を選択する場合も資格は役に立ちます。
3万円~10万円定年後におすすめできない副業
ポイントサイトやアンケートサイト
- 難易度:
- 期待できる月額収入:~1万円
広告をクリックしたり動画を視聴したり、また、アンケートに答えたりしてポイントを稼ぐポイントサイトやアンケートサイトがあります。
スマホやパソコンから無料で登録してポイントを稼ぐことができますが、これははっきり言って時間の無駄。労力の割には稼げませんのでおすすめできません。
治験
- 難易度:
- 期待できる月額収入:~1万円
治験とは、新薬など発売前の薬の効果や安全性を確認するための臨床試験のことです。
副業やアルバイトとして紹介しているサイトもありますが、厳密には副業ではなく、職業や性別を問わず多くの人の協力で多くの人が救われるという社会貢献度の高いボランティアです。
継続できる副業にはなりませんが、自分にとって有益な治験があればアルバイト感覚で応募してみてもいいと思います。
参考:治験モニター募集
まとめ
以上、定年後・老後の経済的な問題に対する対策の一つである「副業」について、定年後でも続けられるシニア向けの副業について解説してきました。
簡単に始められる副業はそれだけ競争も激しく収入も割に合わないという特徴があります。
定年後も見据えた副業を選ぶ場合は、多少面倒でもスキルアップできるものを選ぶべきです。
計画を立てて一つ一つこなしていけば、いつの間にか一つ高い次元にいることに気づき、副業だけでなく起業という選択肢も見えてきます。